【3月10日号】 東日本大震災の発生から3年が経過した。月曜連載「地域防災最前線」第44回は、これまであまり表に出てこなかった被災自治体職員の生の声を紹介する。現職の公務員でもある筆者の「被災地の自治体職員が一体、どのような経験をされ、どんな思いで災害対応をしたのかを、多くの方にどうしても共感、共有していただきたい」という願いが込められている。震災で家族や同僚を失い、同じ被災者の立場にありながらも、地域住民と県などとの板挟みの中で、懸命に職責を果たそうとする自治体職員たち。淡々と語られる言葉の一つ一つが胸に迫る。
【3月13日号】 「公務組織の資本は人である。よって人に投資することは、良質な行政サービスを提供する使命を全うするためにも重要である」。木曜隔週連載「公務員講座」第8回は、「人材育成」について考える。公務員に限らず、民間でも大きな課題と言えるが、「人材育成の具体策は常に決定打に欠け、喫緊の課題とされることが常態化している」のが現状ではないだろうか。予算、人員が削減される中、効果を最大限上げるための、研修の具体的な見直し策を提言する。
【東日本大震災3年インタビューの第1回は、奥山恵美子仙台市長。2014年度は被災者の住まい確保に全力を挙げる姿勢を強調した。今後の大災害への備えについては「何よりも効果があるのは法整備」と、震災を教訓にした法制度の見直しを訴える。
【3月11日号】 東日本大震災と東京電力福島第1原発の事故から3年。巻頭コラム「ひとこと」は、杉昭重福島県教育長による「子どもの夢の実現を目指して」。福島県民は、いまだに14万人弱が故郷を追われ県内外で避難生活を送り、原発事故の影響を受けた地区では、いずれの学校も事故前の在籍数を大幅に下回っているという。「しかし、子どもたちは元気だ。必ずしも十分でない教育環境の中でも、児童生徒は、けなげに頑張っている。(中略)その子どもたちの夢の実現を支援するのが、私の役目である」─。被災地の子どもたち、そして支える大人たちに、心からエールを送りたい。
【3月14日号】 一般財団法人コンピュータ教育推進センター(CEC)の「教育の情報化」推進フォーラムの模様を紹介する2回目は、分科会のうち「つながり依存とは何か?─子どもが落ち込むネットの深淵(しんえん)」を取り上げる。「リアル」(現実)社会に居場所がない子がインターネットにはまるというより、リアルにつながる手段を求めて「依存」に陥るのが実態であることなど、ネット社会を生きざるを得ない子どもたちの生の姿を分析した専門家の報告が興味深い。
【3月11日号】 東日本大震災から3年。被災地に通い続ける障害者授産施設コンサルタントの中谷靖氏に、就労をはじめとする障害者福祉の現状と課題を3回に分けてリポートしてもらう。第1回は、地震発生当時の状況を振り返ってつづる(特集「東日本大震災 被災障害者の状況と課題(上)」)。使われなくなった羽毛布団が、障害者就労と地域福祉に貢献─。三重県明和町社会福祉協議会や羽毛の精製加工最大手の「河田フェザー」などが、羽毛製品をリサイクルし、赤い羽根共同募金に寄付する「UMOUプロジェクト」に取り組んでいる。リサイクル過程の一部を授産施設通所者が担当。羽毛価格の高騰と募金額の減少という課題を同時に解決する「赤い羽根と白い羽根のコラボレーション」が注目を集めている(「地域を支える」)。特集「都道府県・政令都市2014年度厚生・労働・環境関係予算」5回目は、千葉市、奈良県、沖縄県。2月後期の「社説拝見」は、年金や高齢者医療などをめぐる各紙の社説を取り上げた。
【3月14日号】 特集「多様化する保育所と経営」56回目は、2015年度にも本格施行される新たな子育て支援制度の中で特に注目を集める小規模保育を取り上げ、制度の内容や関係者の反応などを見ていく。「インタビュールーム」は、福井市で在宅医療に特化したクリニックを始めた紅谷浩之さんを紹介する。多職種連携により、24時間365日、在宅患者を支える仕組みを確立しようと奔走しており、「医療もまちの一部、まちづくりの中に医療がある」とのスタンスで、医療・福祉関係者のみならず市職員や建築の専門家らも含めたタウンミーティングを開催。今後の高齢化・多死社会に向け、おおいに示唆に富んだ内容だ。特集「都道府県・政令都市2014年度厚生・労働・環境関係予算」6回目は、札幌市、大阪府、福岡県。
【3月11日号】 恒例の全国特集「都道府県・政令市 2014・2013年度の税収見通し」の連載が始まった。第1回は山形県、愛知県、鳥取県、仙台市を掲載、景気回復などによりほぼ全ての自治体で税収が伸びており、大震災で被災した仙台市も震災前の収入水準に回復したという。各自治体の税収動向を知る手掛かりにしていただきたい。巻頭言「フォーラム」では、片山善博慶大教授が全国で行われている「ふるさと納税」について疑問を挟んでいる。各自治体はふるさと納税の「見返り」として特産物などを贈呈。納税者は納税額の大半を控除され、プレゼントももらえる。双方ホクホクだが、片山氏は「全国の見返りを合計すれば財源は確実に目減りし、ロスを生じさせる」と指摘し、「個人と自治体が目先の損得勘定で結ばれる結果、国と地方の財政に思わぬ犠牲とロスをもたらしている。まさしく合成の誤謬(ごびゅう)だといえないか」と警鐘を鳴らしている。「私の苦心」は広島県廿日市市を紹介。01年度に収納率が県内2位だったが、その後4町と合併したところ、思わぬ高額滞納を抱えて下位へ転落。再び上位返り咲きを目指して地道な努力を重ねる姿をリポートしている。
【3月14日号】 「私の苦心」は、京都府税務課長が執筆。駆け出しの税務職員だったころ、突然の呼び出しを受けて滞納者宅を訪問した際に、同行したベテランの行動によってトラブルを回避できたことを振り返り、こうしたノウハウの承継の大切さを力説している。マニュアルでは解決しきれないノウハウの価値に、今改めて注目したい。全国特集の地方自治体税収見通しは、大阪府、鹿児島県、京都市を掲載した。
【3月10日号】 「成長パターンを変えつつある世界経済」と題して、世界経済についての解説記事を載せた。同記事は「世界経済はリーマン・ショック以降、先進国の不振を新興国が補いながら、全体としてはそこそこの成長を遂げていくという図式であったが、それがここへ来て変わりつつあるようだ。米国経済は基本的には力強さを増しているようであり、また欧州経済も最悪期を脱した感がある。一方、新興国経済では、米国の金融緩和度合いの調整に伴う国際的な資金フローの変化もあって、それぞれの国の構造的な問題が改めて浮き彫りになっている。そうした外部環境の変化の中にあって、今後、日本経済が持続的な成長を遂げていくためには、改善した収益環境の下での企業のダイナミックな行動が重要になる」と述べている。
【3月13日号】 「駆け込み需要が盛り上がる日本」と題して、日米経済についての解説記事を載せた。同記事は「2013年12月から14年2月にかけて米国は数次にわたり極めて強い寒波に見舞われ、内需、生産活動に大きな下押し圧力を受けた。4〜6月期以降は、13年後半の成長ペースに復する見込みだが、今年の成長率が3%に達するのはほぼ無理な状況となった。日本経済は消費税率引き上げ前の駆け込み需要で盛り上がっている。しかし、4〜6月期の反動落ち後の回復の道筋が不透明だ。いかに回復を実現していくか、政策運営能力の真価が問われるのはこれからだ」と述べている。