【3月31日号】 「企業であろうと学校であろうと、災害時に安全配慮義務は法的責任を伴って高度に存在する」。月曜連載「地域防災最前線」第46回は、最近出された注目すべき二つの判決を題材に、企業などの災害時の安全配慮義務について考察している。東日本大震災で発生した大津波により、七十七銀行女川支店では、屋上に避難した行員ら13人のうち12人が死亡、行方不明となった。仙台地裁は、遺族の銀行側に対する損害賠償請求を棄却する一方、「安全配慮義務」に関する重要な判断基準を示した。使用者に課せられる義務を明確化した今回の判決の意味合いを、防災の専門家である筆者が詳しく解説する。何よりも災害時に優先されるべきなのは人命を守るということ。判決は、銀行側が対策を尽くしてさえ、人命を守れなかったという事実を浮き彫りにした。法的責任を伴う最低限の対策を取ればよいのではなく、さらなる防災対策の質的向上、量的充足が求められる、という筆者の主張が重く響く。
【4月3日号】 「県都と政令市、仲が悪いんじゃないかといわれる中で、こんなふうにやれば県民市民のサービス向上、効率的な行政展開ができるという好事例」。広島県と広島市は、湯崎英彦知事と松井一実市長のトップ会談を通じ、住みよい県都づくりの作業を加速させているという。冒頭に引用したのは、県と市の連携の意義を強調する湯崎知事のコメント。類似の事務を所管し対立することも多いとされる道府県と政令市だが、広島においてはトップ同士の友好関係により、行政の歯車がうまくかみ合っている(「トップ会談で住みよい県都追求」)。苦情の対応にも確たる技術があり、出たとこ勝負では事態の収拾は難しい。木曜連載「行政への苦情」(11)は、最良の苦情対応とはどういったものか、プロの技術の一端を披露する。プロには到底及ばないが、とにかく、苦情の詳細を正確に記録し、次につなげることが大切なようだ。このほか「住民の申し出は、真摯(しんし)な態度で聞く」など8カ条の苦情対応の心構えも紹介している。
【4月1日号】 独立行政法人日本学生支援機構はこのほど、2012年度「学生生活調査」の結果をまとめた。それによると、大学生の1年間の生活費が12年ぶりに増えたことが分かった。しかし、保護者からの仕送りなどは逆に減っており、学生の収入全体も微増にとどまっている。増えた生活費を賄うために、アルバイトや奨学金でやり繰りしているというのが、現在の多くの大学生の実情のようだ。また、国公私立別に大学生の生活を見ると、国公立に比べて私立大学の学生は、授業の予習・復習、授業以外の学習時間などが短く、逆に、アルバイトの時間が長くなっている。詳しくは本誌で。
【4月4日号】 佐賀県武雄市教育委員会は2014年度から、タブレット型端末を児童生徒が自宅に持ち帰って授業内容を予習し、授業では疑問点を議論する協働に充てる「反転授業(Flipped Classroom)」を全市立小学校で始める。自治体単位で実施するのは、全国初。民間企業のノウハウも積極活用し、従来の「詰め込み」型教育からの転換を図る取り組みの詳細をリポートした。
【4月4日号】 岩手県陸前高田市気仙地区は日本産椿の北限栽培地であり、東北地方唯一の食用椿油の生産地として知られていた。東日本大震災では、椿の製油所も被災し、社長は跡継ぎにと考えていた長男ともども全てを失った。廃業やむなしの椿製油事業を守ろうと立ち上がったのは、同じく被災し仕事を失った障害者授産施設だった─。陸前高田市の被災障害者の復興の足音を伝える(特集「東日本大震災 被災障害者の状況と課題(中)」)。妊婦の喫煙率など、子どもの健康環境に大きな都道府県格差のあることが、厚生労働省研究班の調査で分かった。同省は2015年度から始まる「健やか親子21」次期計画で、格差解消を目指すとしている(調査・統計「子どもの健康環境に地域格差」)。「地域を支える」は、障害を持つ人の才能を絵画や音楽といった芸術活動で引き出し、自立につなげる一般社団法人「アート・インクルージョン」の活動を紹介する。多彩な人材が本物の芸術を教え、自由な創作活動を支援。出来上がった作品は販売するなどし、生きがいにもつながっている。特集「都道府県・政令都市2014年度厚生・労働・環境関係予算」10回目は、山形県、神奈川県、岡山市。
【4月1日号】 新年度がスタートし、消費税率が8%に引き上げられたが、滑り出しは無難だったとみられているようだ。税務経理では、消費税アップにより国民生活にどのような影響が出るか、来年10月に予定される税率10%への引き上げをめぐる動きなど、注意深く取り上げていきたい。「私の苦心」は、福岡県の福岡市西部などをカバーする西福岡県税事務所を紹介。同事務所の調定額は法人事業税と自動車税で計51%を占めるのに、収入未済額の構成比では不動産取得税が30%、自動車税19%、法人事業税16%が上位という。特に「車検時に自動車税を納付すればよいと考えている人も依然として多い」と、納税意識の低さに嘆いているが、この傾向は都市部の特徴だろうか。全国特集「都道府県・政令市 2014・2013年度の税収見通し」は、福島県、静岡県、福井県、兵庫県を掲載した。
【4月4日号】 消費税増税に関する記事をはじめ、13年度のラスパイレス指数、国家戦略特区の第1弾指定などのニュースが並んだ。「私の苦心」は新潟市を紹介。同市では、国保料、保育料など14債権を含む集中的な債権管理を行っており、未済債権130億円を2年間で100億円に圧縮する成果も上げている。中でも注目したいのは、全国初となる固定資産税の毎月口座払い制度を導入していることだ。通常の4期分納ではどうしても負担が一時的に重くなることから、毎月引き落としは市民にも好評で、利用者は2万件に上るという。都道府県・政令市の税収見通しは、大分県、川崎市、浜松市を掲載している。
【3月31日号】 「デフレ完全払拭(ふっしょく)が使命」と題して、黒田東彦日銀総裁に聞くインタビュー記事を載せた。同記事は「(黒田総裁は)デフレ状況の完全払拭を『使命』と位置付けた上で、昨年4月に導入した『異次元緩和』と呼ばれる量的・質的金融緩和について『必要があれば調整を行う』と強調。『その調整に限界があるとか、そういうことはない』と述べ、追加緩和の余地は残されているとした」と始めている。
【4月3日号】 「日銀が注力する『期待のマネジメント』」と題して、日銀の金融政策についての解説記事を載せた。同記事は「海外の投資家を中心とする市場参加者が抱いている早期追加緩和への期待感を安易に膨らませるようなメッセージ発信は避ける一方で、彼らが大きく失望してしまうほど強い追加緩和観測へのけん制は行わず、必要になればちゅうちょなく追加緩和に踏み切るという一般論を繰り返す─。黒田東彦総裁率いる日銀は、追加緩和についての市場の期待感を一定の水準に保つことで株高・円安基調を維持するという『期待のマネジメント』に注力している。2月と3月の金融政策決定会合は『技あり』と言えそうな巧妙な対応によって無事乗り切ったが、この先も難所が続く」と述べている。