早読み行政誌

スペックが低くても(2014年4月7日〜11日号)

地方行政

【4月7日号】 「今後は介護と医療の全体を見た上での戦略的なアプローチが必要です。財政に余裕がない中で、やるべきことは山積しています。(中略)どの課題を優先するか、また民間企業や住民のリソースや知恵をどう活用するかを考えるなど、これまでの既定路線を変えていくべきです」。月曜連載「超高齢化時代に向けての新潟市の戦略を考える」最終回は、市としての超高齢化に向けた課題を考える。これまで2回の連載で見てきたように、地元の高齢者の実態に照らし、同市が他都市よりも特に力を入れるべき課題として、(1)重度の高齢者の対策(2)認知症対策─の二つが浮かび上がった。二つの課題について、市が取り得る「戦略的なアプローチ」とは何か、ポイントになり得るものを二つ紹介している。とにかく「他と同じスピードでやっていては、到底間に合いません。国の政策の後追いや他都市の後追いでは、遅過ぎるのです」と、迅速な対応が必要だと訴えている。新潟市が行った問題点の抽出方法と対応方針の立て方は、他の自治体にとっても参考になりそうだ。

【4月10日号】 「国民、住民のニーズに合った行政サービスを提供することが、公務員の使命である。しかし、東日本大震災の復興計画に関する地元住民と行政との意見対立にみられるように、行政の考える行政サービスと住民の希望する行政サービスが合致せず、批判が出て計画が頓挫してしまうこともある」。木曜隔週連載「公務員講座」第10回は、行政サービスが時として国民、住民のニーズに合致しないのはなぜか、どのような対策が取られるべきかについて論じている。どんなに理論的に優れた政策を立案し、どれだけ最善と信じて行政サービスを提供しても、国民、住民に受け入れてもらえなければ失敗に終わる。商品に例えれば「ハイスペック過ぎる商品よりも、ロースペックでもニーズに合った商品の方が顧客からは高く評価されることがある」のも事実だ。国民、住民のニーズを的確に把握するにはどうしたらよいか。その技法も併せて提示している。

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内外教育

【4月8日号】 全国高等学校NIE研究会(会長・坂口泰通明治大学付属明治高校・中学校副校長)はこのほど、東京・駿河台の明治大学で2日間にわたり第12回研究発表全国大会を開催した。「生き抜く力を育む高校NIE」をテーマに、学校図書館との連携や特別支援教育、高大接続など、多様な学習活動でNIE(教育に新聞を)を採り入れた実践例が報告された。教育ジャーナリストの渡辺敦司氏が、大会の模様を詳報している。

【4月11日号】 文部科学省が、2013年度教科書検定の結果を公表した。13年度から学年進行で実施されている新学習指導要領に基づく初めて(1巡目)の検定となる高校(主として高学年用)と、11年度から全面実施されている新指導要領下で2巡目となる小学校の教科書が対象。いずれも、15年度から使用される。本誌では、13年度教科書検定結果を、11日号と15日号で詳報する。まず11日号は、小学校教科書について。

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厚生福祉

【4月8日号】 要支援者に対する生活支援を、市区町村が受け持つことになった。NPOや社協など地域リソースとの協働が重要となるが、うまくやれて生き生きとしている公務員と、疲れてしまう公務員がいるという。うまくいくコツとは─(巻頭言「地域と協働する喜び」)。特集「多様化する保育所と経営」最終回は、子ども・子育て支援新制度のうち、これまで見てきた小規模保育事業を除く、事業所内保育や家庭的保育事業などを取り上げた。新たな幹細胞「STAP細胞」の論文問題で、理化学研究所の調査委員会は画像捏造(ねつぞう)などの不正行為があったと認定する最終報告書を発表した。小保方晴子研究ユニットリーダーはミスだとして不正を否定しており、「世紀の発見」から一転、新たな局面に突入した(特集「STAP細胞 『画像捏造』、論文の不正認定」)。「インタビュールーム」は京都府高齢者支援課地域包括ケア担当課長の高野憲一さん。国は、医療・介護・福祉のサービスが一体的に受けられる地域包括ケアシステムの構築を推進しようとしているが、府は全国に先駆けて基盤づくりに取り組んできた。その内容や課題を尋ねた。特集「都道府県・政令都市2014年度厚生・労働・環境関係予算」11回目は、広島市、宮崎県、石川県。

【4月11日号】 新シリーズ「介護保険制度改革のゆくえ」がスタート。第1回は、要介護高齢者の増加、介護保険給付や保険料の増加、介護の担い手不足などの現状を踏まえ、制度改正の全体像について解説してもらった。東日本大震災の津波被害を受けた宮城県石巻市で、ICT(情報通信技術)を活用し、医療や介護を受ける高齢者の状態を離れて暮らす家族に伝える試みが行われている。診察時の血圧、体温といったデータや写真などを専用サイトで閲覧できるようにし、家族に「安心」を届ける。被災地の高齢患者支援の一環として始まったが、核家族化が進む中、被災地以外でも有効に活用されそうな取り組みだ。「地域を支える」は、高知市の「訪問理美容ネットワークゆうゆう」を紹介する。多くの福祉施設では、介護保険の対象外である理美容にまで手が回らない現状があるが、ヘアスタイルを調えてもらったり化粧をしてもらったりすることは、高齢者の心身に良い影響を与える。高齢者施設だけでなく、近くに理髪店や美容院がない過疎地域も訪問している。特集「都道府県・政令都市2014年度厚生・労働・環境関係予算」12回目は、川崎市、新潟市、岡山県。

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税務経理

【4月8日号】 当誌の外部筆者による連載物のうち半分ほどが改変期を迎えている。税理士・不動産鑑定士の杉之内孝司氏が執筆してきた市町村アカデミー研修「地方税法総則─基礎から実務まで」が3月末で終了したのに続き、国際会計基準研究会が手掛けた「国際会計基準(IFRS)見方・読み方」が11日号で最終回を迎えた。「ビギナーのための中小企業会計要領の基礎」と「検証 租税判決から見た不動産の時価」もあと1〜2回で完結する予定。いずれも近いうちに、それぞれの流れを踏まえつつ、さらに実務に役立つテーマを備えた新シリーズをスタートさせるよう準備に入っている。より発展的な内容を目指しており、期待していただきたい。「私の苦心」は、岩手県花巻市の収納課を紹介。全国特集「都道府県・政令市 2014・2013年度の税収見通し」は、栃木県、神奈川県、徳島県を掲載した。

【4月11日号】 「私の苦心」は奈良県税務室納税課を紹介。市民税は通常4回の納期に収める仕組みだが、「納期を過ぎても未納の場合は、督促状の送付に始まる滞納処分となるわけですが、その発生率は口座振替率が比較的高い固定資産税で11%、市・県民税となると何と22%にもなります」と、納税意識の低さを嘆く。納期のたびに1万件以上も督促状を発送するが、1件当たり平均73円、年間900万円もの出費となる。納税者の行動が膨大な経費の浪費につながっている現状を訴え、「徴税コストは全て滞納者が負担すべきだと考える人は多いはずです」と力説する。行政のムダを批判する納税者は多いが、自らの怠慢への厳しい警鐘といえる。都道府県・政令市の税収見通しは、石川県、山口県、千葉市を掲載している。

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金融財政ビジネス

【4月7日号】 「静けさの中の米財政論争」と題して、米国財政についての解説記事を載せた。同記事は「暴風雨が吹き荒れてきた米国の財政論争に、久しぶりの『無風状態』が訪れている。背景には、財政再建に対する世論の関心の低下や、実際の財政状況の改善がある。特に財政状況の改善については、『決められない政治』といわれながらも、相当程度の財政再建策が実現されてきたことは特筆に値する。ただし、このまま『無風状態』が続くとは限らない。一連の財政再建策では、年金・医療の改革が手つかずのままである。将来的には、論点になりそうだ」と述べている。

【4月10日号】 「インド総選挙、野党が有利な情勢」と題する解説記事を載せた。同記事は「インドでは、第16次連邦議会下院(ローク・サバー)の総選挙が4月7日から開始された。今回の総選挙は、2009年の第15次総選挙での選出議員の5年任期満了に伴い行われる。下院総定数545人のうち、大統領指名枠の2人を除く、単純小選挙区制で543人を選出する。マンモーハン・シン現首相(81)は本年1月、10年間在任した首相職を総選挙後に辞任すると表明した。このため、5月16日の全国一斉開票による結果発表後、インドで新首相が誕生する。世界第2位の人口(12億3000万人)を持つ巨大国家を率いる新首相は、5月20日ごろには決定となろう」と述べている。

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