【4月21日号】 「内政フォーカス」は、民主党政権時代に財務相などを務めた藤井裕久氏にインタビューした。安倍晋三首相が打ち出した経済政策「アベノミクス」の効果について、「金融中心の考え方には限界がある。資金コストが下がり金をばらまいたとき、得をするのは特定の人。もうかる人がますますもうかる。普通の人には何の関係もない」と喝破。アベノミクスの効果が地方や中小企業に波及していないといわれる中、藤井氏は、少子高齢化対策を確実に実施するなど、金融ではなくむしろ働いている人の消費行動につながる地道な政策が大事だと訴える。一方、民主党に対しても「野党体質が抜け切っていない」と手厳しい。野田佳彦前首相の後見役としても知られ、政権運営の中枢にいた藤井氏だけに、大所高所から発せられる言葉は奥が深い。
【4月24日号】 日本の公務組織は、民間企業に比べ効率が悪いといわれている。一方、来日して日本の公務員と1年ほど机を並べて仕事をした米国連邦政府職員が、その勤勉さに感嘆して帰国したという話もある。「勤勉だが、労働生産性は低い」。一見矛盾するようなこの二つが、矛盾なく結び付いているところに、わが国の公務組織の特徴がある。木曜隔週連載「公務員講座」(11)は、そんな公務組織の労働生産性が低い理由と対策について考える。労働生産性の向上に絡んで、超過勤務の縮減に取り組んでいる組織は多いが、なぜ無くさねばならないか、根本的な問いが忘れられてしまうケースも少なくない。仕事の割り振りを変えるか、人の手当てをするか、労働生産性を上げない限り、残業は減らせないはずなのに、具体的な手だてが講じられないまま、一律の削減を求められたりもする。長時間労働の論点はいろいろあるが、筆者は、管理職のマネジメント力も重要なポイントだと強調している。
【4月22日号】 インターネットを通じ、大学の講義を誰もが無料で学ぶことができる「大規模公開オンライン講座(MOOC:Massive Open Online Courses)」の日本版が、本格的に始動した。国内の大学や企業などでつくる「日本オープンオンライン教育推進協議会(JMOOC)」が運営主体となり、3講座を開講。この3講座を含め、受講登録をすでに開始している講座への合計申し込み人数は、14日現在の実人数で3万3000人を超えた。将来的には100大学300講座の提供や、受講者数で100万人超を目指すという。米国で急拡大しているMOOCだが、日本で今後、どれだけ根付くのか注目される。
【4月25日号】 昨年12月、経済協力開発機構(OECD)による生徒の学習到達度調査(PISA)の2012年調査結果が発表された。その中で、国際的に注目を浴びたのは、00年の調査開始以降、教育国として名をはせていたフィンランドの没落。いったい、何があったのか。北欧の教育事情に詳しい渡邊あや国立教育政策研究所総括研究官に解説してもらった。
【4月22日号】 パンダはササの葉だけを食べて生きられるのに、なぜ人間は種々雑多なものを食べなければならないのか? 神奈川県立保健福祉大学学長・中村丁次氏の巻頭言「人間が背負った荷物」は、「栄養」の大切さを考える上で興味深いストーリーだ。東日本大震災から3年が過ぎたが、被災地の子どもたちには、狭い仮設住宅での生活によるストレスなどから、心身の新たな問題が顕在化してきている。支援に携わる専門家の話を交えつつ現状をリポートする(特集「東日本大震災 心の傷深く、頭痛や不登校も」)。特集「サ高住の現状と課題」2回目は、引き続きサ高住に関する調査結果を取り上げ、状況を概観する。訪問介護やデイサービスの事業所と併設している所が多く、医療機関との連携・協力は約9割が実施していた。特集「都道府県・政令都市2014年度厚生・労働・環境関係予算」15回目は、青森県、岩手県、群馬県。
【4月25日号】 シリーズ「介護保険制度改革のゆくえ」3回目は「高齢者向けの『住まい』についての一考察」。急速な高齢化の中で、高齢者の住まいを考えるということは地域での介護・医療サービスの提供体制も含め、新たなコミュニティーづくり、町づくりそのものにもつながっていく。「多世代共生」が一つのキーワードとなりそうだ。「インタビュールーム」は、静岡県立総合病院心臓血管外科主任医長の坂口元一さん。同院ではカテーテル治療など低侵襲の心臓血管治療に本腰を入れ始めており、同時に内科と外科が連携したチーム医療の体制を整備するなど、心臓治療県ナンバーワンの一流施設を目指している。特集「都道府県・政令都市2014年度厚生・労働・環境関係予算」16回目は、北海道、静岡県、島根県。連載「ワンコイン健診の現場から」は、これまでグレーゾーンだった自己採血による血液検査事業が、「検体測定事業」として正式に厚生労働省のガイドラインに登載されたニュース。ケアプロは「検体測定室」の日本第1号となった。新産業成長のチャンスと前向きに捉えているが、一方で、広告規制として健診、診断などの用語が使えなくなるため、「ワンコイン健診」もNGだという。
【4月22日号】 「私の苦心」は、山口市を紹介。前資産税課長が現在のように電算化されていない30年ほど前の税務業務を振り返っている。当時は収入役室に納められた税額を財務課で会計別、税目別に仕訳して点検し、最後に徴収簿から消し込みすることを手作業で実施していたが、出納閉鎖目前で固定資産税・都市計画税が1000円合わないことが判明。職員総掛かりで5000余枚の納付書を10日間かけて再点検し、ようやく押印漏れ納付書を見つけて解決した。しかし課長から「(納付書は)納税者から見れば毎月の給料やボーナスから絞り出して納めていただいた大切なお金。そう思って大切に扱うように」とさんざん怒られたという。今でもこの課長のアドバイスを胸に取り組みたいと結んでいるが、税務担当だけでなく、全ての政府、地方団体など行政機関がかみしめてほしいことである。全国特集「都道府県・政令市 2014・2013年度の税収見通し」は、青森県、奈良県、さいたま市、岡山市を掲載。
【4月25日号】 「巻頭言」で、東京税理士会幹部の鈴木雅博氏が配偶者控除問題を取り上げた。そもそも内助の功に配慮した制度だが、「その評価を定額の所得控除としたのは妥当だったのか問われる」と指摘する。また全国女性税理士連盟は、20年前に「配偶者控除なんかいらない!?」という本を発行すると、「稼働年齢にある配偶者に対し扶養を必要としないことを前提とすべきか」「(課税は)個人単位か夫婦単位か、家族単位とすべきか」などの論議を呼んだと振り返る。現在、世界の潮流は個人単位を徹底する方向に向かっているそうだが、政府内の検討作業にどう反映されるのか、注目したい。「私の苦心」は、札幌市北部市税事務所の滞納整理担当課を紹介。全国特集の都道府県・政令市税収見通しは、秋田県、茨城県、福岡県、広島市を掲載した。
【4月21日号】 「財政再建の選択肢(上)」と題して、日本の財政についての解説記事を載せた。同記事は「わが国の財政再建がなかなか進まない。財政事情は先進国で最悪であるにもかかわらず、再建どころか、悪化の一途をたどり続けている。今回の(上)では、このまま本格的な再建策への着手を後回しにした場合、わが国を待ち受ける事態はいかなるものかについて、わが国自身の歴史的な経験を踏まえつつ述べる」と切り出している。
【4月24日号】 「財政再建の選択肢(下)」を掲載した。同記事は「(下)ではまず、わが国の財政運営が行き詰まる事態を何としても回避するために、どの程度の規模の財政再建の達成が必要なのかを確認する。そのうえで、その規模に見合った緊縮を今後、確実に達成するための選択肢について考える。具体的には、(1)現行の行財政制度の継続を前提に、財政運営ルールとガバナンスを強化する(2)現行の国と地方の行財政制度を抜本的に刷新することを通じ、国全体の財政再建を図る─の2通りである」と述べている。