【5月19日号】 「創造的な復興を成し遂げて、東北、日本の新しいモデルを示す」。東日本大震災からの復興について、宮城県の村井嘉浩知事はこう強調する。日本の将来的な課題にも対応できる施策を、復興に当たって、積極的に展開していこうという意向の表明だ。特集「『創造的復興』の推進」は、村井知事が先の内外情勢調査会で、震災復興を中心に行った講演の模様を報告する。知事の持論である道州制導入にも言及している。「地域防災最前線」(50)は、首都直下地震対策の最終回。8回にわたって紹介してきたこのテーマの結びで、筆者は「被害想定は、防災・減災を実現するためのツールでしかない。(中略)むしろ、いかに防災・減災を社会全体で実現するかだ。私は、長期的には防災教育こそが最も重要だと信じている」と、短期的な防災・減災対策と並んで長期的な危機管理意識の涵養(かんよう)を訴えている。
【5月22日号】 行政課題の中には、総合計画策定や行財政改革など、単独の組織だけでなく、部局横断的に対応しなければならないものも少なくない。自治体では最近、部門横断チームを編成して一定期間業務を遂行する「プロジェクト」と呼ばれる活動が行われている。プロジェクトでは、地域の問題解決に向けてNPOなどと協働して取り組むケースも多い。特集「組織マネジメント『自治体職員に求められるプロジェクトマネジメントスキル』」は、プロジェクトで成果を上げるために、何を、どうマネジメントすることが重要なのか、プロジェクトを成功に導くための考え方や進め方のポイントを提示している。筆者は「プロジェクトマネジメントスキルの強化を重視した人材育成が意図的に求められる」と主張。そして「実体験を通して習得することが効果的」との考えを示している。
【5月20日号】 埼玉県内屈指の男子進学校として知られる県立川越高等学校(川越市)。男子生徒によるシンクロナイズドスイミングで一躍有名になったという、別の面も持つ。一見相反する分野での生徒たちの活躍の背景には、生徒憲章で掲げる「自主自立」の精神が、勉学、学校行事、部活動などあらゆる面に浸透していることがあるようだ。今号の教育関係者インタビューでは、世界に通じる人材育成を目指し、新たな試みにも果敢に挑戦する公立伝統校の取り組みについて、細田宏川越高校長に聞いた。
【5月23日号】 埼玉県立高校の女性教員が、自分の子どもの高校の入学式に出席するため、勤務校の入学式を欠席したことがマスコミやネット上で大きな話題となった。おなじみの小野田正利大阪大学大学院教授による連載「モンスター・ペアレント論を超えて」と、巻末匿名コラム「ラウンジ」は、いずれもこの問題を正面から取り上げている。このうち、小野田教授は“教師としての意識が足りない”という批判に対し、「小学校の入学式に1年の担任がこのような行動をとれば、確かに(中略)非難されるかもしれない」とした上で、「今回の場合は高校の入学式であり、(中略)翌日以後の始業式でクラスの生徒たちと担任としての対面によるリカバリーはいくらでも可能だ」とする。「つまり代替措置がそれ相応に可能であり、事業の正常な運営を妨げない限り、『わが子の方を取る』こともあり得ることだ。状況によって違うことはいくらでもある以上、その可能性は常に開いておくことが重要なのである」と主張する。さて、皆さんはどう思われるだろうか。
【5月20日号】 東日本大震災から3年が過ぎたが、被災3県といわれる岩手、宮城、福島でも復興の状況はまちまちだ。宮城県では震災関連の企業倒産が多く、今後も懸念されているが、そうした中でも着実に業績を伸ばしている企業がある。消費動向をつかみ、これに対応する商品づくりと販路開拓・販売促進に震災前から着実に取り組んできた企業だ。「復興」という言葉に依存せず本業にきっちりと向き合うこと、「脱・復興」こそが復興の鍵であると、FMS綜合研究所代表取締役の三輪宏子氏が述べている(巻頭言「『脱・復興』へ」)。特集「海外の高齢者ケア オーストラリアにおける高齢移民ケア政策」の後半では、言語的・文化的に多様な背景を持つ高齢者に対し、実際に連邦政府や州政府がどのようなケア施策をとっているのかを紹介する。特集「都道府県・政令都市2014年度厚生・労働・環境関係予算」20回目は、長野県、香川県、熊本市。4月後期の「社説拝見」は「人口減少、高齢者割合は過去最高」と題し、日本の人口減少や外国人労働者受け入れ、混合診療解禁などをめぐる各紙の論調を紹介した。
【5月23日号】 特集「サ高住の現状と課題」4回目は、サ高住などの高齢者住宅の整備が必要とされるようになった背景として、高齢化の進展と高齢者世帯の増加に焦点を当てる。単に寿命が延びて高齢者の数が増えるということではなく、高齢者のみの世帯、高齢者単独の世帯が増えることが問題であり、特に大都市圏で深刻な課題となることを、国立社会保障・人口問題研究所の推計データなどを用いて解説している。2015年度から新たな保育制度が始まるのに合わせ、厚生労働省は共働き家庭の子どもを放課後に預かる学童保育の充実に本腰を入れる。質向上のための基準を導入するとともに、数値目標を定めて受け入れ拡充を目指すという(「学童保育に基準と数値目標」)。特集「都道府県・政令都市2014年度厚生・労働・環境関係予算」21回目は、静岡市、鳥取県、佐賀県。連載「私たちの工夫」では、美濃加茂年金事務所長の小玉光伸氏が、異動で担当職員が変わる中で方針決定などの経緯を文書できちんと残し、着実に後任職員にバトンタッチすることの大切さをつづっている。年金記録問題があってこその話だが、他の組織や企業にも共通する重要なポイントだ。
【5月20日号】 「私の苦心」は、和歌山税務署を紹介。同署での勤務は5回目、通算10年目という署長がかつてを振り返り、消費税導入に伴う1991年の組織改革や2011年の国税通則法改正を受けての変革など幾度かの転換期で事務運営が変化したが、「変わることがないのは税務職員の使命である」と説いている。使命とは「納税者の自発的な納税義務の履行を適正かつ円滑に実現する」。改めて考えると、なかなか難しいことだ。都道府県・政令市の税収見通しは、新潟県、長崎県、熊本県を掲載した。
【5月23日号】 今回から誌上研修「管理監督者と一般職員のための滞納整理」の連載が始まった。管理監督者とは、地方団体の税務部門における部長、課長、係長らを指す。今世紀に入って滞納整理のノウハウなど税務+職場の環境が様変わりしている中で、管理監督者の責任や職務の在り方も変化している。一般職員が徴税や滞納整理でどのような作業をしているかを知った上で、進行管理を担い、ときには強制徴収の前面に立ち、併せて一般職員の技能を高め、「やる気」を引き出して成果に結びつけていかなくてはならない。そのために必要な知識や留意点、アドバイスを伝えることを目指す企画だ。この4月異動で久しぶりに税務担当の課長に就任した自治体幹部などの方々に打ってつけではないだろうか。筆者は現在も「税外債権の滞納整理」を連載している税理士の杉之内孝司氏で、当面2本並行で執筆される。全体は60回前後連載の見通しで、ご期待いただきたい。「直言苦言」は、ふるさと納税の利用実績が大震災後の2011年度に比べ12年度に大きく減少したことについて考察している。「私の苦心」は、石川県の金沢県税事務所を紹介。都道府県・政令市の税収見通しは、香川県、静岡市、福岡市を掲載した。
【5月19日号】 「『医師主導の創薬』が米国の潮流に」と題して、米国の生命科学部門についての解説記事を載せた。同記事は「資本市場におけるここ数年の生命科学部門の様相をみると、金融緩和の波に乗った過剰な投機が株価の乱高下を招いたことが目につく。一方、製薬会社自身の投資や経営をみると、患者から目をそらした経営者が業容拡大を急ぎ過ぎ、その結果、大型賠償金支払いを求められる判決を受けたり、買収先企業の経営が失墜したりするなど、屋台骨を揺るがしかねない損失が生じている。創薬とは何のための事業か。『患者を救うため』という原点が見失われているように思われ残念だ。世界に処方薬はたくさんあるが、その4割は実際には効かないといわれる。そのような現状への不満から、患者の手当てにあたる臨床医師や病院が主役となる『パーソナライズド・メディスン』への取り組みや、『ドラッグ・リポジショニング』の推進が米国では加速している。この大きな潮流の変化に、日本の生命科学関係者が主体的に参加すれば、『金鉱掘りにつるはしを売る』ようにあらゆるツールの製作者が現れ、波及効果はエレクトロニクス、情報処理など他産業へも広がってゆくと期待される」と述べている。
【5月22日号】 「次なる課題、潜在成長力の引き上げ」と題して、日本の潜在成長力についての解説記事を載せた。同記事は「消費税増税を乗り越えて、さらに脱デフレに接近すると、経済政策の発想は需要刺激から供給強化へと軸足を移さなくてはいけなくなる。リーマン・ショック後、設備投資も正規雇用の拡大ペースも鈍化して、以前の勢いに戻っていない。国内生産力の高まりにくい状況は、潜在成長率が上昇していないことを示している。最近、予想外に物価上昇が進み、貿易収支は赤字拡大に向かっている。その背景には、供給力が増えずに、国内需要が膨らんでいることがある。国内供給力が安定的に拡張していかないと国は豊かにならない。やはり、1本目、2本目の矢ではなく、3本目の成長戦略で潜在成長力を高めなくてはならず、その成長戦略では、国内投資を誘発し、雇用の質を高めることが肝要である」と述べている。