【5月26日号】 月曜連載「地域防災最前線」第51回は、災害対策と地方議会の役割について検討する。地方議会の責務は「執行機関と緊張関係にありながらも切磋琢磨(せっさたくま)し、住民福祉の向上を目指してより良い地域経営を行うこと」にある。会期中は、質疑を通じて執行機関を監視するとともに、政策を立案するという機能を有する。しかし、これらは平常時を前提としたもので、災害時の議会の在り方に関しては、法制度上も実態的にも明確でないのが現状だ。東日本大震災を契機に、地方議会では、災害対策に関する条例や議会の災害対策本部設置要綱などを検討する動きが広がりつつある。先進事例を紹介しながら、災害時の議会活動の方向性を探る。
【5月29日号】 木曜隔週連載「公務員講座」第13回のテーマは「公務員試験を考える」。多くの公務員試験において、面接試験の結果を重視する改革が進められている。筆者は「このような改革は高く評価できる」と述べながらも、同時に以下の点も指摘する。経済学者ケインズは、投資家の行動パターンとして「自分が真に美人と思った人よりも平均的に美人と思われる人に投票する」という例え話を示した。この「美人投票」と同様に、現行の公務員試験の面接官は、他の面接官が高く評価すると思われる者を高く、そうでない者を低く評価することがある。それは「他の面接官の評価基準の推定」というあいまいな基準で評価に臨むことに他ならない。結果として、多様な人材を合格させるという面接重視の意図に反して、無難な人材、標準的な人材に高い評価を与えることになりがちだというのである。面接を重視する試験も、運用次第では意図しない結果を招く可能性があるということに注意する必要がある。
【5月27日号】 全日本中学校長会が、中学校教育の課題などに関する各種調査結果を収録した2013年度の「調査研究報告書」がまとまった。5回連載でお届けするが、今号の第2回では、「教育課程の編成・実施、学級編制に関する調査」の内容を紹介する。それによると、公立中学校の64.2%が国の義務教育標準法を下回る独自の学級編制基準を採用していることが分かった。国の基準を下回る学級定員を採用している学校では、中1を「35人」としているところが多く、いわゆる「中1ギャップ」への対応を重視したものと思われる。詳しくは本誌で。
【5月30日号】 5月は、小・中・高校長による各全国組織の総会シーズン。本誌では、それぞれの総会の模様を順に紹介しており、そのトップバッターは、全国高等学校長協会(全高長)の総会・研究協議会。今年はさいたま市の大宮ソニックシティホールで全国から2200人以上が参加して開催され、高橋基之東京都立目黒高校長の新会長就任を承認した。生徒減少の一方で高校教育の質保証が問われる中、学校を活性化し、生徒の能力を伸ばそうとする多彩な実践が発表された。
【5月27日号】 手術後などで入院中、足の弱った高齢者にとって病院のスリッパはすぐに脱げて歩きづらい。絹で編んだ草履なら、鼻緒があるため足から離れず、足の裏にも優しい。こうしたシニア用品は、入院患者に限らず高齢者の暮らしを支える大切な道具だが、意外と知られていない。高齢生活研究所所長の浜田きよ子氏が巻頭言で紹介している。4月に開かれた東京財団連続フォーラム第4回は、「『ケア』先進地から探る医療・介護政策のヒント」と銘打ち、宮城県涌谷町、埼玉県幸手市の事例に基づきディスカッションした。その内容に、他の地域の例や考察を加え、財団の三原岳研究員にリポートしてもらった(特集「東京財団連続フォーラム(4)・完 分権化と住民自治の重要性を提起」)。特集「都道府県・政令都市2014年度厚生・労働・環境関係予算」最終回の22回目は、横浜市、高知県、熊本県。5月前期の「社説拝見」は「年金の株式運用や支給開始年齢引き上げ」と題し、年金制度、少子化対策、生殖補助医療法案、混合診療拡大などをめぐる各紙の論調を紹介した。
【5月30日号】 特集「サ高住の現状と課題」5回目は、サービス付き高齢者向け住宅の整備が必要とされる背景として、人口の高齢化や世帯構造の変化に伴う要介護者の増加に焦点を当てるとともに、高齢者住宅の体系がサ高住の登場でどのように変わったかを点検する。サ高住が登場する前は、高円賃、高専賃、高優賃といった高齢者向け住宅があったが、要介護高齢者の増加に対応して安心な住まいを提供できるような制度ではなかったことが分かる。「インタビュールーム」は、山形県健康福祉部医療統括監の阿彦忠之さんを紹介する。医師の視点を生かし、大学病院や医師会など関係者と十分なコミュニケーションをとりながら「地域医療ビジョン」の策定に取り組むとともに、部局をまたいだ医療課題の解決に力を入れている。連載「ワンコイン健診の現場から」のタイトルは「診療報酬改定と風立ちぬ」。診療報酬改定や「検体検査室」といったさまざまな変化や事象を風にたとえ、「世の中にはさまざまな風があり、風をどう捉えるかが重要」「風のせいにするのではなく、風をうまく扱えない自分をどう変えるのか」とつづっている。
【5月27日号】 政府内で検討されている法人税減税問題をめぐって、片山善博慶大教授が興味深い分析を巻頭言で披露している。法人税減税の財源として必ず浮上するのが、法人事業税の外形標準化。現行税制では赤字決算なら課税を免除されるが、地方自治体は個人・法人に等しく行政サービスを行っていることから、赤字でも一定の負担をしてもらえる外形標準化をかねて望んでいる。今回は与党内や財界の一部からも減税財源の確保のため外形標準化を支持する声が聞こえる。ただ、片山氏は忠告する。「この人たちは法人事業税の税率を引き下げるとの方針が決まった途端、外形化の議論の場では姿が見えなくなり、声も聞こえなくなると踏んでおいた方がよい」。減税が決まった後、地方側ははしごを外された状態になりかねない、との見立てだ。今後の論議の中で注目すべき点だろう。「私の苦心」は鳥取市市民税課を紹介。ふるさと納税の呼び掛けに懸命に取り組んだきっかけは、「市への寄付金収入約1200万円に迫る規模の寄付金が他都市へ流出していた事実を知ったこと」という。まさに戦国時代のような都市間競争の時代に入っていると認識させる。連載中の「都道府県・政令市 2014・2013年度の税収見通し」は、島根県、熊本市を掲載した。
【5月30日号】 検証シリーズとして連載してきた「租税判決から見た不動産の時価」が、今号の第60回で最終回を迎えた。前号では、中小企業の会計の在り方をビギナー向けに解説してきた「中小企業会計要領の基礎」が第30回で連載終了となった。それぞれ新たな構想で、読者のお役に立つ新連載を近くスタートさせる予定なので、ご期待いただきたい。「私の苦心」は静岡県磐田市の収納課を紹介。かつて県民税収納率が3年連続で全国ワーストワンになったことから、収納率アップに取り組んでいるという。「滞納整理にメリハリが生まれ、明確な目標と成果を確認することで、職員の士気が高まりました」という言葉に希望を感じる。都道府県・政令市の税収見通しは、佐賀県、横浜市を掲載した。
【5月26日号】 「薄氷の上を歩く日本経済」と題して、アベノミクスについての解説記事を載せた。同記事は「本稿においては、次の諸点を指摘したい。(1)異次元金融緩和措置の本当の目的は、財政ファイナンスである。(2)このため、金利が異常に低い水準になっている。(3)何かのきっかけでその状態が崩れると、深刻な問題が発生する。特に、日銀の目標である2%の消費者物価(CPI)上昇率が実現すれば、長期金利がかなり上昇し、日本の財政は破綻の危機に直面することになろう」と述べている。
【5月29日号】 「成長戦略のかなめ『都市集積』」と題して、都市の観点から成長戦略を解説する記事を載せた。同記事は「アベノミクスは、『大胆な金融政策』と『機動的な財政政策』という第1、第2の矢によって順調な滑り出しをしてきたが、時間の経過とともにそれぞれの限界も意識され始め、第3の矢である『民間投資を喚起する成長戦略』に焦点が移ってきた。今では、アベノミクスの成否は成長戦略にかかっているという認識が強くなっている。振り返ればわが国は、1990年代以降バブルの崩壊と金融システムの動揺という厳しい問題に直面してきた。それらの難問への対応に苦闘していた間も、またそれらを何とか乗り越えた後も、成長戦略は課題であり続けていたが、これまでのところ、ついに実効ある持続的な処方箋は定着しなかったと言うべきだろう。わが国にとって成長戦略は21世紀最大の経済課題の一つだが、アベノミクスもその重い課題を改めて突き付けられている。実効性がありかつ持続可能な成長戦略が生まれなければ、金融の異次元緩和も巨額の財政支出も、政策の妥当性にいずれ疑問が生じる可能性が高まるだろう。内容の問われる成長戦略だが、本稿では、これからのわが国成長戦略に不可欠の視点を提示してみたい」と述べている。