【6月9日号】 訪日外国人観光客の拡大に向け、イスラム圏に目を向ける動きが広がっている。イスラム教では、豚肉やアルコールなどが禁じられているため、観光客を受け入れる際、教義に従い口にすることができる「ハラール食品」(ハラールは、アラビア語で「許された」の意味)にどう対応するかが課題だ。熊本市はこのほど、マレーシアの政府系機関「ハラール産業開発公社」との間で、観光や産業振興の分野での協力を推進する覚書を交わした。同市のハラール対応の取り組みを紹介する。
【6月12日号】 苦情は「些細(ささい)なことを軽くあしらう、または対応を拒否することから拡大していく」。初期対応が悪かったばかりに、「こじれて、鎮火しそうもない大火事になっているところ」や「クレーマー化した住民に手を焼いているところ」もあるという。木曜連載「行政への苦情」第19回は、架空の事例を設定し、小さな苦情が大騒動に発展していく流れをたどりながら、どこで対応を間違えたのか、そのポイントを考える。「何を大げさな」と言う人もいるかもしれないが、筆者は、行政に対する苦情が増大の兆しを見せる中、ひとごとでいるべきではないと強調する。
【6月10日号】 文部科学省は毎年、全小中学校を対象に、全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)を行っているが、全国の教育委員会でも、これとは別に独自に学力テストを実施しているところがある。同省の調査によると、今年度は47都道府県と20政令指定都市の教委のうち、小学校では32都府県16市、中学校では34都府県16市が独自に学力テストを行う予定という。詳細は本誌で。
【6月13日号】 スーパーグローバルハイスクール(SGH)指定校を集めた連絡協議会がこのほど、東京都内で開かれた。SGHは、グローバル人材の育成に力を入れる文科省の目玉事業。指定された56の高校には毎年1600万円までの経費が5年間支援され、国際化に重点を置く大学と連携して帰国・外国人教員から英語による授業も受けられる。連絡会では文科省の担当者から、育成を目指してほしいのは「日本版グローバル人材」だという説明があった。グローバル化の裏を返せば、別に日本人でなくてもいいということになるが、そうした中では、むしろ「日本人が欲しい」と思われるような人材を育てなければいけない。それには、時に否定的な特徴として語られる日本人の「協調性」を生かすことが不可欠なのだという。
【6月10日号】 特集「サ高住の現状と課題」6回目からは、「高齢者住まい法、共同省令での規定」をテーマに、法律や省令上の規定について2回にわたり見ていく。今回は登録基準が主な内容で、それまでの高専賃などとの違いがよく分かる。「地域を支える」は、山口県の特養「梅光苑」の職員でつくる劇団「梅ちゃん一座」を紹介。笑いを交えた寸劇で認知症の理解促進を図る。当初はコミカルな筋立てに批判の声もあったというが、徐々に活動が評判になり、現在では振り込め詐欺防止などにもテーマを広げている。同性愛者や性同一性障害者などの性的少数者(LGBT)の7割がいじめを経験し、3割が自殺を考えたことがあるという。支援団体の調査で明らかになった実態だ。なかば予想し得る結果ともいえるが、貴重なデータだろう(調査・統計のページ「性的少数者、7割がいじめ経験」)。
【6月13日号】 厚生労働省は3日の社会保障審議会年金部会に、公的年金の財政検証結果を示した。今後100年にわたり、政府が約束した現役所得比50%超の年金給付水準を確保できるとの内容だが、経済成長が進むことが前提となっており、楽観はできない(特集「年金 現役所得比で50%確保」)。STAP細胞の論文問題で、理化学研究所の小保方晴子研究ユニットリーダーが、副論文に続いて主論文の撤回にも同意したという。撤回された場合、生物学の常識を覆した「世紀の発見」は、研究成果としては白紙に戻ることになる。新型万能細胞は果たして存在するのか(特集「STAP細胞 主論文も撤回同意」)。連載「ワンコイン健診の現場から」はインドネシア視察記。ケアプロ展開の可能性を探るために訪れたインドネシアの社会状況や食文化、健康習慣などについて順次つづっていく内容で、なかなか興味深い。5月後期の「社説拝見」は「公的年金の受給開始年齢と高齢化社会」と題し、年金受給開始年齢の繰り下げや、人口目標、混合診療などをめぐる各紙の論調を紹介する。
【6月10日号】 巻末資料で、地方行財政調査会がまとめた2013年度都道府県税徴収実績(4月末現在)を掲載した。昨年度税収の最終集計に近いもので、それによると調定額は全県平均で前年同期比4.0%伸びており、愛知(7.4%増)、東京(7.1%増)、千葉(5.9%増)、徳島(4.7%増)、福島(4.6%増)などが上位。逆にマイナスは青森、山形、福井、山梨の4県。法人事業税に限ると山梨以外のすべての団体で増加。特に鳥取、秋田は20%以上の伸びを示し、山口、佐賀、東京が続く。一方、収入率は景気回復を背景にほとんどの団体がアップさせており、宮城が前年同期比で一気に2.2ポイント向上の96.6%でトップに浮上、次いで島根、香川(ともに96.4%)、和歌山(96.3%)、新潟(96.2%)など。下位団体でも群馬が1.0ポイント、大阪も0.8ポイント改善するなど健闘が目立つ。「私の苦心」は、東京都システム管理課を紹介。連載中の「都道府県・政令市 2014・2013年度の税収見通し」は、群馬県を掲載した。
【6月13日号】 安倍首相は国際競争力向上の観点から法人実効税率引き下げに熱心だが、巻頭言で、池上岳彦立大教授が日本貿易振興機構のアンケートを披露している。同機構が外資系企業に「日本における投資阻害要因」を尋ねたところ、「市場の特殊性」「事業用地の取得・賃貸コスト」「給与報酬の高さ」などが上位で、「法人税負担」は7番目だったという。企業は道路、水道などのインフラを享受し、従業員世帯の生活を支える治安、教育や医療サービスがあれば労働コストを節約できる。減税の一方で、地方公共サービスの受益者である企業に付加価値割の課税拡大が必要、との指摘は説得力がある。「私の苦心」は徳島県東みよし町税務課の若手係長が登場。徳島滞納整理機構に2年間出向し、学んできた徴収の基本の「キ」を説明している。
【6月9日号】 「セルフサービス化が進む米国の銀行店舗」と題して、米国の銀行店舗の現状を解説する記事を載せた。同記事は「米国の銀行においては、オンラインバンキングやモバイルバンキングが浸透し、銀行チャネルの中でも中心的役割を果たしつつある。これらは言うまでもなく、セルフサービスのチャネルである。一方、従来はフルサービスが基本であった店舗でも、セルフサービス化が進んでいる。本稿では、米国の銀行を中心に、サービスのセルフ化について考察する」と述べている。
【6月12日号】 「『競争と共生』の経済を目指して」と題して、グローバリゼーションについての解説記事を載せた。同記事は「フランスの経済学者、トマ・ピケティ教授が著した『21世紀の資本論』が英訳されて世界的ベストセラーになった。資本主義システムが必然的に富や所得の格差拡大をもたらすというマルクスの『資本論』同様の主張は、目新しいものではない。しかし、同書が類書と大きく異なるのは、数百年単位の地道な分析を行い、格差拡大が資本主義成立以来の基本的なトレンドであり、第2次世界大戦後に出現した富の均等化は、戦争や恐慌のもたらした例外的な現象であることを実証したとされる点だ。同書の理論的・実証的な内容については、正統派の経済学者などから多くの批判がなされている。米国の財務長官を経験したサマーズ・ハーバード大教授は、『資本収益率が成長率を上回ることで資本分配率が上昇し続ける』というピケティの主張に、英紙フィナンシャル・タイムズは実証分析に使われたデータの信頼性に、それぞれ疑問を呈している」と述べている。