【6月23日号】 一般社団法人地域活性化センターが、自治体職員らを対象に開催した「土日集中セミナー」を特集する。センター主催のセミナーは平日の開催が通常だが、地域活性化に関心がある職員らが多く参加できるよう、初めて土日に設定したという。セミナーでは、北海道小樽市のまちづくりを手掛け、「スーパー公務員」と呼ばれたこともある東京農業大の木村俊昭教授らが講演。木村教授は、自治体職員が地域活性化に取り組む上での心構えについて、「(理由や目的を)自ら知り気付かなければならない」「産業、文化、歴史を徹底的に掘り起こし、磨いて発信する。そして住民全員が関わることが重要だ」と訴えた。地域活性化に取り組もうという人にとって、参考になりそうなポイントが随所にちりばめられている。
【6月26日号】 先ごろ閣議決定された2014年版観光白書について解説する。13年に日本を訪れた外国人旅行者は1036万人と、政府が目標としていた1000万人の大台を初めて突破。白書はその要因について、官民一体となった観光プロモーション活動(ビジット・ジャパン事業)やビザ要件の緩和などが奏功したと分析した。20年の東京五輪・パラリンピックに向け、外国人旅行者を2000万人に拡大するのが政府の新たな目標。白書は、2000万人という「高み」を達成するためには、五輪・パラリンピックという「追い風」を最大限に生かすことが必要だと強調し、東京のみならず、全国に大会効果を波及させる活動に直ちに取り組むよう求めた。観光を地域活性化の柱とする自治体も少なくない。今後の展開を考える上で、白書の分析はヒントになりそうだ。
【6月24日号】 毎号、各地の教育長を中心に、教育関係者に持論を聞くインタビュー企画。今号は、新聞やテレビの討論番組などに数多く登場し、論客として知られる姜尚中聖学院大学学長が登場している。姜氏は、子どもたちが社会を生き抜くために、「自分の強さと弱さを知り、判断する力」である「教養」を身につける必要性を指摘。また、自身の内面を映す鏡となり、自分自身をさらけ出せる「心友(しんゆう)」との出会いが、その後の人生を支え、教養の意味をつかむきっかけにもなると述べている。
【6月24日号】 政府の改定成長戦略の素案が示された。混合診療の拡充、新たな労働時間制度など、いわゆる医療や雇用の「岩盤規制」を打破する内容や、女性の活躍促進に向け働く母親の支援策などが盛り込まれているが、それぞれさまざまな問題や課題をはらんでおり、どの程度実効性を持たせられるかは疑問だ(特集「成長戦略 日本の『稼ぐ力』回復へ」)。「進言」は、群馬県健康福祉部長の片野清明氏が救急医療の広域連携についてつづる。救急車にiPadなどのタブレット端末を配備し、医療機関の患者受け入れ可否情報などを共有するシステムはいくつかの自治体で始まっているが、隣接する埼玉県で今年度から稼働したのを機に、両県でのシステム相互利用を開始したという。県境を越えた救急搬送システムの連携は例がないとのことで、他の自治体にも大いに参考になりそうな取り組みだ。STAP細胞の論文不正問題をめぐり、理化学研究所の改革委員会は発生・再生科学総合研究センター(CDB)の解体と再構築を盛り込んだ提言書をまとめた。一研究者の問題にとどめず、背景や構造にまで踏み込んだ厳しい内容となった(特集「STAP細胞 『理研CDB、解体を』」)。
【6月27日号】 特集「サ高住の現状と課題」8回目は、「地域包括ケアの基礎となる高齢者の住まい」。国は、高齢者が住み慣れた地域で医療や介護サービスを一体的に受けられる地域包括ケアシステムの構築を目指しているが、その基盤となるのが「住まい」とされ、厚生労働省の報告書などからその内容を点検する。文部科学省は、性同一性障害を抱える児童・生徒に関する初めての調査結果を公表した。学校側に悩みを相談したのは約600人で、戸籍上の性と異なるトイレの使用を認めるなど何らかの配慮をしている学校が約6割あった。専門家らは、相談できずに悩んでいる子は多く、氷山の一角だと指摘している(「学校への相談600件」)。巻末コラム「スコープ」のタイトルは「男中心社会」。現代日本は先進国の中で女性の社会的地位が著しく低く、女性や子どもを社会の中心に仲間入りさせねばと訴える。東京都議会の「セクハラやじ」問題の前に書かれた原稿だが、実にタイムリーだ。
【6月24日号】 新連載「ビギナーのための『再入門 個人住民税』」がスタートした。個人住民税は、個人の都道府県民税と市町村民税を合わせた呼び名で、地方税収の3割強を占める基幹税目。主に所得にかかるため国の所得税と密接な関係があるが、内訳に均等割や配当割といった異なる課税方法の項目が含まれ、複雑だ。また、多くの地方自治体で多額の滞納を抱えている税目でもあることから、その賦課方法や徴収実務について詳しい解説を試みる企画とした。この連載は「管理監督者と一般職員のための滞納整理」「新地方公会計 その展望」「裁決事案に学ぶ財産評価のチェックポイント」に続く今年度4本目の新連載。ご期待いただきたい。また、特集記事として日銀の2013年度決算を掲載。「私の苦心」欄では、群馬県桐生市を紹介している。地方自治体の当初予算における税収動向などを報じてきた「都道府県・政令市 2014・2013年度の税収見通し」は、富山県を掲載して最終回を迎えた。
【6月27日号】 今号は決算特集号と言える。まず、14年3月期決算を公表した上場企業の集計と業種別の解説を掲載。全体の経常利益は景気回復に円安効果が相まって前年同期比40.6%増の好決算となったが、15年3月期について企業は平均1.7%増と慎重な予想にとどめている。今回は業種別の主要企業決算表を掲載しており、資料的価値も高い記事になったと思う。続いて五大銀行グループの決算まとめを掲載。「私の苦心」は鹿児島県姶良市を紹介した。地方経済はまだ停滞しており、「自主財源の確保は最重要課題」と使命感を持って徴収事務に取り組む収納管理課長だが、一方で「華やかさとは全く無縁の業務ですが、あまたある行政事務の中で、成果と目標達成の充実感が得られる部署」と指摘していることには納得できる。
【6月23日号】 「公的年金の『財政検証結果』を検証する」と題する解説記事を載せた。6月3日の社会保障審議会年金部会で示された財政検証結果では、「アベノミクス」との整合性を含めさまざまな配慮がされており、示された数字はかなりきれいな形になっている。しかし、年金積立金の運用利回りをはじめ楽観的過ぎると思われる面があり、公的年金の持続可能性を保証するものとはいえない。必要な制度改革を検討するためにも楽観的な見通しは排除すべきであり、予想外の経済低迷などのショックが生じても、制度が持続できるかどうかを見極めておく必要がある、というのが筆者の主張だ。
【6月26日号】 「金利上昇は財政再建を阻害するか」と題して、金利の上昇と財政再建の関係を論じる記事を載せた。一般に、金利が上昇すると財政再建が難しくなるという見方が多い。国債の利払いが増えるためだ。だが、筆者は、金利が上昇してもその上昇が経済の変化と整合的である場合は、財政再建に影響しないと述べる。ただ、例外もある。詳細は本誌で。