【6月30日号】 月曜連載「地域防災最前線」(55)は、地区の住民が自発的に行う防災活動に関する「地区防災計画」を取り上げた第2回。地区防災計画の策定では、過去の災害履歴や地区内の危険箇所などから地区の特性を把握することが重要だという。その際、例えば、水、沼、浜、河、津、江、海、川、橋、船、窪、谷、田、原、葦、稲など、サンズイがついた地名や、川、へこみ、湿地に関係する地名も、水害や揺れやすさの指標の一つになる。「安全そうな名前が必ずしも安全を意味しないこともある」だけに、注意が必要だ。地名をきっかけに土地の履歴を調べ、地区の災害危険性を理解することが大切だと筆者は強調している。
【7月3日号】 「業務は増えるのに定員は減る。この厳しい状況には、業務執行方法の革新、つまり業務イノベーションで対応するほかなく、『仕事のマネジメント』に対する積極的な取り組みが必要となる」。多くの公務職場において、業務の効率性を上げるさまざまな試みがなされている。しかし、厳しい競争にさらされる民間企業に比べれば、まだまだ不十分との声があるのも事実だ。木曜隔週連載「公務員講座」(15)は、行政の業務執行方法の革新を阻む要素は何か、そしてどうしたら推進できるのかについて、さまざまな角度から考える。文中、筆者は「総務部などが中心となって『上からの改革』を押し進めると、反発が起きて結果的に多くの職員に『余計な仕事』と見なされて失敗に終わることがある」と指摘する。そんな「上からの改革」の代表例は「組織再編」だというが、これには思い当たる向きもあるかもしれない。
【7月1日号】 経済協力開発機構(OECD)諸国の中で、日本の教員の勤務時間は最長、自己評価は最低─。こんな実態が、学校の学習環境や教員の勤務状況について、各国の中学校の状況を比較したOECD「国際教員指導環境調査(TALIS)」で浮き彫りになった。日本の中学教員の勤務時間が長いと言っても、事務作業や課外活動に費やす部分が多く、授業時間は参加国平均以下。また、「もう一度仕事を選べるとしたら、また教員になりたい」と回答した日本の教員は、平均(77%)を大きく下回る58%だった。今号から2回にわたり、調査の結果を詳報する。
【7月4日号】 NPO法人全国LD親の会(東條裕志理事長)はこのほど、東京都内で第13回公開フォーラム「これからの発達障害支援と合理的配慮」を開催した。政府は今年1月に「障害者権利条約」を批准。教育分野でも今後、当事者一人一人のニーズを的確に捉えて支援態勢に組み込む「合理的配慮」が求められる。東條理事長は開会あいさつで「障害者権利条約には、合理的配慮がなされないことも差別に当たると書いてある。障害のある人全体の支援、特にLD(学習障害)等の発達障害には強い追い風になる」と指摘した。障害のある子どもの心理などを疑似体験するワークショップの様子なども含めた当日の詳細は、ぜひ本誌で。
【7月1日号】 少子化・人口減への対策が重要な課題となっている中、京都府は「5年間で出生数2000人増」と具体的な数値目標を掲げ、包括的な少子化対策を打ち出した。東京に次いで低い府の出生率の原因を探るとともに、結婚から妊娠・出産、子育てまで切れ目のない支援を提供し、若い世代向けの啓発にも取り組む。大なり小なりどの自治体でも少子化対策は行っているだろうが、全国知事会長でもある山田啓二知事の「本気」の施策は、他の自治体にも参考になりそうだ。武田薬品工業の高血圧治療薬「ブロプレス」の効果を示す広告のグラフと論文との食い違いが指摘された問題で、同社は臨床研究に会社の組織的関与があったとする第三者機関の調査報告書を発表した。捏造(ねつぞう)の類いではなく、誇大広告にも当たらないとしたが、「信頼を失わせる行為」と関係者は重く受け止めている(「臨床研究に組織的関与」)。「インタビュールーム」は大阪府吹田市医療まちづくり監の米丸聡さん。吹田操車場跡地を中心に医療クラスターを形成し、医療・健康のまちづくりの都市型モデルを目指す。
【7月4日号】 特養解体論。なかなか刺激的な言葉だ。巻頭言で社会福祉法人新生会名誉理事長の石原美智子氏がつづっているのは、社福法人に転職する友人が「特養は利用者の尊厳が守られる住宅ではないので、特養を解体して小規模多機能にする」と語ったというエピソード。たしかに、郊外の大規模特養よりも、地域の家庭的な小規模施設の方が良いという話はある。しかし、特養は介護者が先輩の下で経験を積み、力量を上げられる場でもある。「特養=尊厳のないもの」という論に疑問を呈し、「尊厳が守られる介護」の論争は建物などハード面ではなく介護の質の方が重要だと説く。公正取引委員会が、認可保育所運営への株式会社等の参入を認めるよう求める報告書をまとめた。自治体や保育所事業者、保護者らに対する調査結果に基づくものだ。保育所の運営は2000年の規制緩和で一般企業にも認められたが、一部の自治体は株式会社の参入を事実上制限しているという(調査・統計「企業の参入障壁撤廃を」)。連載「ワンコイン健診の現場から」は自己啓発手当について。ケアプロでは1年間働くと10万円の自己啓発手当を支給する制度を始めた。手当は自己の成長のために自由に使うことができ、使途は語学系、資格系、学問系…とさまざま。一つの組織の中だけでは、社会人・医療人としての成長の機会が限られるとの判断からだが、なかなかユニークな取り組みだ。6月前期の「社説拝見」は、年金の財政検証や混合診療拡大、残業代ゼロ制度などをめぐる各紙の論調を紹介する。
【7月4日号】 ニュース詳報欄では、6月末に相次いで政府が決定した骨太の方針と改定成長戦略、それに政府税制調査会の法人税改革報告書についてまとめた。特に法人税改革では、要旨を掲載。法人事業税の外形標準課税を中小企業にも拡大することだけでなく、企業会計の地方税損金不算入の見直しなどマスコミ報道では触れていないさまざまな指摘も行っていることが分かる。年末に向けて多くの論議を呼びそうだ。税制・税務欄では、2013年度国民年金納付率都道府県別一覧を掲載。納付率が前年比1.9ポイントも改善したのは、滞納者に財産差し押さえなどを警告する特別催告状を送付したためという分析を見ると、徴収の取り組み強化の波が税務部門と同様に、年金分野にも広がりつつあることがうかがえる。税金周辺欄では、6月末に発表された消費者物価や雇用統計などの統計物のほか、2011年度県民所得の一覧を掲載した。「私の苦心」は、長崎県の長崎振興局税務部を紹介。10月に国体が開かれることもあり、「長崎っ子は人懐っこくて親切たい」と方言交じりで売り込んでいる。