【7月7日号】 民間の有識者でつくる日本創成会議が先ごろ、2040年に全国の市区町村の約5割に当たる896自治体で、20〜39歳の若年女性が半分に減るとの推計結果を公表した。896自治体を「消滅可能性都市」と名付けたことから、各方面に衝撃を与えた。そして実際に各地で「人口減少社会」が現実のものとなりつつある。豊かな県のイメージがある静岡県も事態は深刻だ。総務省が1月に発表した13年の人口移動報告では、同県からの転出者が転入者を6800人余上回り、全国ワースト2だった。円高で生産拠点を海外に移す企業が相次ぎ、産業の空洞化も進んでいる。「一家言」はそんな静岡の悩みの深さを描写する。「新刊案内」は、本誌執筆陣の一人、上山信一慶応大教授の最新刊「組織がみるみる変わる 改革力」を紹介する。
【7月8日号】 火曜日号の連載「PISAが描く世界の学力マップ」は、今回から、福祉国家、教育国家として知られる北欧諸国を取り上げていく。その1回目は、フィンランド。経済協力開発機構(OECD)の「生徒の学習到達度調査」(PISA)の好成績から、質が高く、格差の少ない優れた教育を実現している国として知られるようになった同国だが、直近の2012年度調査では、成績が落ち込んだ。「教育の理想郷」に果たして何があったのか。
【7月11日号】 政府の教育再生実行会議(鎌田薫座長)は3日、「小中一貫教育学校」(仮称)の制度化や、幼児教育の段階的無償化などを盛り込んだ、学制の見直しに関する第5次提言をまとめ、安倍晋三首相に提出した。下村博文文部科学相は同日の会議終了後、提言のうち(1)小中一貫教育学校(仮称)の制度化(2)大学に飛び入学した高校生の早期卒業の制度化、高校専攻科などからの大学編入(3)複数の学校種で指導可能な教科ごとの免許状創設─について、速やかに中央教育審議会に諮問し、2015年の通常国会での関連法案提出を目指す方針を明らかにしている。5次提言の内容を詳報した。
【7月8日号】 特集「サ高住の現状と課題」9回目は住所地特例について。高齢者が他の市町村の特養などに入居した際、引き続きこれまで住んでいた市町村が介護保険の保険者となる制度が「住所地特例」だ。これまでサ高住は大半が対象外だったが、先の国会で成立した医療・介護総合推進法において、対象となるように介護保険法改正がなされた。その内容や意義を解説する。「地域を支える」は新潟市の交流施設「寄りなせ『あいあい』」を紹介。誰もが気軽に立ち寄ることのできるいわば「地域の茶の間」で、常設型は全国的にも珍しいという。妊婦の血液から胎児の染色体異常を調べる新型出生前診断が導入されて1年間のデータを、検査実施病院の研究チームがまとめた。約7700人が検査を受け、異常が確定した113人中97%にあたる110人が人工妊娠中絶を選んだという。カウンセリング体制の整備不足も指摘されており、なかなか考えさせられるデータだ。
【7月11日号】 東日本大震災の東京電力福島第1原発事故を受け、福島県では子どもの被ばく検査が実施されている。しかし、隣接する茨城県では県としては行われておらず、福島県の市町村より同原発に近い地域もあり、不安に思う住民は少なくない。いくつかの市町村で自主的に検査をしているほか、市民グループによる検査も行われている。そうした現状や課題をまとめた(特集「東日本大震災 原発事故と向き合う市町村」)。2016年1月にスタートする社会保障と税の共通番号(マイナンバー)を記載した個人情報カードについて、政府は発行手数料の無料化を検討するという。普及が約5%にとどまる住民基本台帳カードの反省も踏まえ、一気に普及を進めたい考えだ(「個人番号カードの無料発行検討」)。「インタビュールーム」は、大分県別府市のNPO法人ゆぴあ理事長の土谷雄一さん。趣味の温泉巡りが高じて、障害者や高齢者など車いす利用者の温泉入浴を介助する団体を立ち上げた。スロープなどハード面のバリアフリー化ではなく、ソフト面でのバリアフリーだ。英科学誌ネイチャーは、理化学研究所の小保方晴子氏らが発表した新型万能細胞、STAP細胞に関する論文2本の撤回を発表した。既に著者らが撤回に同意していたが、これで「世紀の発見」は科学的に白紙に戻った(「英ネイチャー、STAP論文撤回を発表」)。
【7月8日号】 ニュース詳報欄では、相続税などの算定基準となる2014年路線価を取り上げた。三大都市圏でそろって路線価が上昇し、地価下落に歯止めがかかりつつあるが、折からの相続税増税と、土地の売却益に対する所得税増税が重なり、専門家は「相続税の対象者にとっては三重苦だ」と指摘する。「直言苦言」欄は、2016年から本格運用が始まる社会保障と税の共通番号(マイナンバー)について、社会保障制度推進に関連する「本人の利便性や諸手続きの簡素化というメリットばかりが強調され過ぎているのではないか」と懸念する。マイナンバーに伴い、住民情報など宛名管理システムの一本化が進みそうだが、「今後のサイバー攻撃等に備えるため、税務独自のシステムを別に用意しておく必要があるのではないか」と指摘している。「私の苦心」では、高知県東洋町の税務課を紹介。十数年間にわたり県内最下位の徴収率に甘んじている町が、最下位脱出に向けて努力する様子を語っている。人口3000人足らずのため、「(滞納者と)プライベートの付き合いがあったりすることから、滞納処分に二の足を踏んでいました」と分析するが、昨年9月に初の家宅捜索に踏み切ると、地元新聞などが報道。これにより「町が本気で徴収強化を図っていることが周知され、自主納付や納税相談が増加しました」という。今後も注目したくなるところだ。
【7月11日号】 財務省が発表した13年度一般会計決算の概要を、「税制・税務の動き」欄と巻末資料で掲載した。巻頭言では、東京税理士会の鈴木雅博企画戦略室長が、改正国税通則法が昨年1月施行された後の変化について、アンケート調査を基に解説。同改正では税務調査の手続きについて事前通知などがルール化されており、調査では「事前通知あり」が98.1%と、前年の95.8%から上昇。書類等を持ち帰る「留め置き」では、理由の説明があり、納税者側の同意も得たケースが9割弱に上り、「おおむね適切に処理されていることがうかがえた」と評価している。今後こうした手続きを定着させていくことが肝要だろう。「私の苦心」は、広域連合の静岡地方税滞納整理機構を紹介している。
【7月7日号】 「『ベーグル状態』の債券相場」と題して、日本の債券市場の動きを解説する記事を載せた。債券市場は、日銀の「異次元緩和」を受け、非常に狭い範囲での取引が続いている。こうした債券相場の動きはいずれどこかの時点で「正常化」され、まとまった幅で上昇するはずだが、その道筋はまだ見えていない。こうした停滞状況が続いていることから、金融関係者の間では「債券セクションの縮小・人員整理が避けられない」という話さえ出ているという。
【7月10日号】 「覚悟問われる集団的自衛権行使」と題して、安倍政権が集団的自衛権行使を限定的に容認したことについての解説記事を載せた。今後の焦点は、安倍首相が閣議決定後の記者会見で述べた「自衛隊がかつての湾岸戦争やイラク戦争での戦闘に参加するようなことはこれからも決してない」という言葉の信ぴょう性となろう。自民党の石破茂幹事長はテレビ番組で多国籍軍などへの参加について「日本だけが参加しないというのは、やがて国民の意識が変わるときに、また(政府対応が)変わるかもしれない」と、将来は参加する可能性を示している。詳細は本誌で。