【7月28日号】 昨年10月、台風26号の影響で大規模な土石流災害が発生し、39人に上る死者・行方不明者を出した伊豆大島。東京都大島町は災害当日、夜中になって急に雨が強まったにもかかわらず、住民に避難勧告を出さなかったことなどから批判を浴びた。町はこの対応の反省から、雨が強まる前に高齢者らの避難を始める独自規定を制定するなど人的被害の防止に全力を挙げている。町の新たな災害対策について、川島理史町長に聞いた(「伊豆大島=大雨の教訓生かし、避難の独自規定」)。
【7月31日号】 連載「新・地域力と地域創造」の第2回は愛媛県今治市のJAおちいまばりの直売所「さいさいきて屋」を紹介する。地域のオリジナル商品を中心に据えた品ぞろえが評判を呼び、2007年の開設以来、売り上げは右肩上がり。今では24億5000万円にも上る注目のスポットだ。そんなさいさいきて屋が手掛ける新たな取り組みが、買い物が不便な地域を対象に展開するネットスーパーだ。無料で提供したタブレット型端末から夜12時までに注文すると、翌日には注文の品を家庭まで届ける仕組み。端末には、独り暮らしの高齢者らの安否確認の機能も持たせている。このほか、農業生産と加工・販売を一体化した「6次産業」でも活気づく。これらの取り組みについて、筆者は「間違いなく、今後の地域づくりのお手本の一つだろう」と評している(「地域連携のお手本『さいさいきて屋』」)。
【7月29日号】 半数以上が将来の社会は「明るくない」と不安を抱きながらも、7割以上が「今、幸せである」と感じている─。リクルート進学総研が実施した「高校生価値観調査2014」で、こんな現代の高校生の意識が浮き彫りになった。また、地元での進学や就職を望み、海外勤務はしたくないという者が多いが、単なる「内向き志向」だけではなく、経済的理由などを挙げる高校生の割合も高くなっている。教育ジャーナリストの斎藤剛史氏は「内向きで積極性に乏しいなどと批判されている一般的な若者像とは異なり、生まれた時から成熟社会を生き続ける若者、ある意味、既に『老成』しているとも受け取れる若者の姿が浮かび上がってくるようだ」と分析している。
【8月1日号】 先の国会で医療・介護総合推進法が成立、この中で介護保険制度も大きく変わろうとしている。シリーズ「介護保険制度改革のゆくえ」4回目は、改正により充実が図られる地域支援事業について解説する。地域包括支援センターの役割もますます大きくなり、その機能強化についても述べている。「進言」は福岡県保健医療介護部の福山利昭部長。同県は、県民の自主的な健康づくりをサポートするため、スマホやパソコンでアクセスできる健康ポータルサイトを開設しており、自分の健康は自分で守るという意識の大切さを訴える。「地域を支える」は、捨て犬の殺処分ゼロを目指す活動の一環として、引き取り手のいない捨て犬を「セラピードッグ」として養成している広島県のNPO法人を紹介。高齢者施設などに派遣し喜ばれているそうで、動物愛護と医療・福祉が一体となった取り組みが興味深い。妻が婚姻中に妊娠した子は夫の子と推定するという民法の「嫡出推定」について、最高裁第1小法廷は、DNA鑑定で父子の血縁関係が否定された場合でも適用されるとの初判断を示した。科学的な親子鑑定が不可能だった115年前の民法規定がそのまま生きている現状に、子の福祉などの観点から疑問の声も上がっている(特集「DNA訴訟 父子関係、DNAで覆せず」)。
【7月29日号】 片山善博慶応大教授が巻頭言で、一部で報道された埼玉県新座市の固定資産税課徴収事件について書いている。市内の60代夫婦の一戸建て住宅に約27年間、誤って過大な固定資産税が課税され、それが滞納になっていたため公売で処分され、公売後に誤りに気付いたという。誤りの原因は住宅用地特例を適用しなかったことだが、固定資産税の特例には数え切れないほどの特例措置が加えられており、複雑で分かりにくい。制度の簡素化が必要だ。片山氏はさらに、かつては固定資産税の課税台帳を他人の分も含めて閲覧し、比較できる仕組みがあったので、これを復活させるべきだと指摘している。「私の苦心」は青森県弘前市の市民税課を紹介。ここでも地方税務をめぐり「各種法規の中でも複雑な規定が多い」と感じており、かつて税条例の改正に当たった際、条項を理解するだけで「何時間もかかり、イライラを通り越して心が折れそうになった」と振り返っている。恒例の全国特集である「都道府県・政令市の2013年度税収決算見込みと特色」の連載が始まった。初回では、静岡県と愛媛県を掲載。
【8月1日号】 ニュース詳報では、15年度予算編成に向けて閣議了解された概算要求基準を報告。関連資料として普通交付税大綱の主立った資料を掲載した。また、消費税への軽減税率導入をめぐる与党税制協議会の業界ヒアリング調査の動向を取り上げた。大半の団体が軽減税率に反対しており、自民党には「公明党が考え直す材料になっただろう」と突き放す声もある。一方、公明党は、集団的自衛権の行使容認で政府自民党に押し込まれた感が否めないだけに、巻き返しに懸命だ。自民党税調には「消費税10%への増税から1年程度後の導入になるのでは」との声もくすぶるらしいが、まだ落としどころは見えない。「私の苦心」は大河ドラマの黒田勘兵衛にゆかりの深い兵庫県姫路市の税務部を紹介。都道府県・政令市の税収決算見込みは、栃木県と大阪市を掲載している。
【7月28日号】 「上場企業の4〜6月期決算展望」と題して、企業の4〜6月期決算の見どころを解説する記事を載せた。今回の決算は、上場企業の7割を占める3月期企業が4月の消費税増税後、初めて発表する決算として注目されるが、市場関係者は「4〜6月期は想定の範囲内の順調な決算となり、消費税増税は下振れ要因とならないだろう」と予想している。詳細は本誌で。
【7月31日号】 「中国・生保マーケットの現状」と題して、中国における生命保険の現状と課題を解説する記事を載せた。2001年に世界貿易機関(WTO)に加盟して以降、中国のマーケット規模は5倍になり、アジアでは日本に次いで2番目の市場規模に成長している。ただ中国では、保険商品が万が一の時の保障(死亡や高度障害など)としてよりは、むしろ金融資産形成の一つと捉えられている。つまり、保険とはいえその他の金融商品と同じテーブルで比較され、常に競争にさらされているのだという。