【8月4日号】 自民党有志でつくる「携帯電話問題懇話会」が、携帯電話保有者に対する課税を検討している。懇話会の主眼は、出会い系サイトなどを通じた犯罪が増えていることから、あくまで青少年対策の財源確保にあるのだとか。もっとも、今や生活必需品ともいえる携帯電話への課税構想だけに、国民の反発を気に掛けてか、最近、同党の野田毅税制調査会長が「若い先生をかばうわけじゃないが、税金を取ることだけが目的じゃない」などと、公の場でフォローする姿が目立っているという。携帯電話課税は法人実効税率の引き下げに伴う穴埋め財源、と捉える向きもあることなども背景にあるようだ(政界メモ「『税金取る』のが目的ではない」)。
【8月7日号】 先ごろ閣議に報告された2014年度の普通交付税大綱についての特集記事を掲載した。実質的な交付税額は、道府県別では、すべての団体が前年度を下回り、中でも愛知県の13.3%減を筆頭に、大阪府、神奈川県など、景気回復が先行している大都市で減少幅が大きくなっているのが特徴だ。行革や地域活性化の成果を反映させた新たな算定方法など、今回の大綱の内容を解説する。ある実験結果によると、無償で行っていた作業に対しお金を与えると、お金を与え続けない限り、そのモチベーションは維持できず、無償に戻すとモチベーションが著しく低下し、時には作業が中断されてしまうことがあるという。信頼や愛、誇りなどの行動基準がひとたび「金銭」に切り替わると、元に戻すことは極めて困難になるとの知見だ。公務員の心を支えるのは、競争でも金銭給付でもなく、公務員としての使命感や誇りだったりする。公務員の人事評価に能力実績主義を取り入れるにしても、給与やボーナスの査定結果に反映されない部分についても十分ねぎらうといった、仕事を金銭だけに結び付けないようなマネジメントが必要になると筆者は指摘している(公務員講座17「公務組織に最適な人事制度とは」)。
【8月5日号】 内閣府がこのほど公表した「小学生・中学生の意識に関する調査」結果によると、前回(2006年)調査に比べ、家庭や学校が「楽しい」と答えた子どもたちが増えるなど、家族との関わりが深まり、先生や友達との関係もおおむね良好な様子が見て取れる。「人の役に立ちたい」「将来のためにも、今、頑張りたい」「勉強のできる子になりたい」「自分に自信がある」と思う割合も軒並み上昇した。内閣府では、好転の理由について「学校現場の尽力や、社会全体で『絆』や家庭内交流を意識する動きが広がったことがあるのでは。東日本大震災の影響も大きな要因だろう」としている。
【8月8日号】 「大阪市内にある公立学校共済の『ホテル・アウィーナ』の一室で、初対面の6人が座談会を始めた。浪速大学のおのだ教授を司会者として、学校の現状を語り合う中で、困難な状況の打開の道を探ろうとして企画されたものだ」─。小野田正利大阪大学大学院教授による連載「モンスターペアレント論を超えて〜普通の教師が生きる学校」の今回のテーマは、「部活離婚」。架空の座談会を通じて、部活動に身も心もささげることを求められる教師と、その家族の悲鳴を、ユーモアに包みながら生々しく伝えている。
【8月5日号】 特集「サ高住の現状と課題」は、自治体がサ高住などの高齢者住宅の整備についてどのような方針・目標を掲げているのか、具体的な事例を見ていく。今回は東京都、大阪府、福島県、兵庫県、島根県、沖縄県、神戸市、北九州市を取り上げた。「インタビュールーム」は、山梨県保健福祉部長寿社会課長の山本日出男さん。国のオレンジプラン(認知症施策推進5か年計画)に盛り込まれていない「予防」面にも重点を置いた県版オレンジプラン策定を進め、「認知症が増えない県」を目指している。今年度の最低賃金の引き上げの目安が全国平均で16円と決まった。生活保護費の方が高い「逆転現象」が現在5都道県で起きているが、すべて解消することになった(「最低賃金16円引き上げ」)。7月前期の「社説拝見」は、先の国会で成立した過労死等防止対策推進法や雇用情勢、社会福祉法人の在り方などをめぐる各紙の論調を紹介した。
【8月8日号】 「精神保健医療福祉の改革ビジョン」の中でいわゆる社会的入院の解消が打ち上げられて10年。新たに、入院の必要性が低い精神障害者の地域移行を目指す厚生労働省の検討会報告書がまとめられた。10年間、遅々として進まなかった地域移行。佛教大学保健医療技術学部教授の吉浜文洋教授は、看護師として現場でかかわってきた長期入院の患者たちに思いをめぐらせ、「何とか希望通りの老後を」と願う(巻頭言「それぞれの事情」)。滋賀医科大には、全国的にも珍しい総合的な「睡眠学」の寄付講座がある。睡眠に関する正しい知識の普及で社会貢献しようと、10年間講座を運営してきた宮崎総一郎特任教授に、これまでの取り組みや今後の課題などをたずねた(インタビュー「眠りの改善で社会に貢献を」)。連載「ワンコイン健診の現場から」は、インドネシア、沖縄に続いて今度は香港。「長寿」と「ビジネス環境」に注目したという。1泊2日の視察の中で、事業参入の可能性を探る。
【8月5日号】 「私の苦心」では、津市の市民税課長が、2012年12月に全国に先駆けて税務窓口業務の民間委託を開始した頃の苦労を振り返っている。当時は前例がなかったため、一からの仕様書作成やプロポーザル方式での業者選定などで苦労したが、それより大変だったのは実施前3カ月間に取り組んだ、業務マニュアル作成や公権力に関わる税務職員との業務区分の明確化などの作業だったという。もっとも、民間委託後の成果として窓口のワンストップ化や民間のノウハウを生かした接遇の向上などが挙げられ、昨年実施したアンケートの結果、市民から全体的に高評価を得ることができたと述べている。民間委託を考えている他の自治体にとって参考となりそうだ。全国特集「都道府県・政令市の2013年度税収決算見込みと特色」の連載第3回は、秋田県、山形県、和歌山県、名古屋市を掲載。名古屋市は収納率98.7%で、2年連続で政令市中トップとなる見通しという。
【8月8日号】 「私の苦心」は熊本県の県央本部税務部を紹介。広域本部は四つあるが、熊本市などを抱える県央は人口で県全体の52%、税収で7割以上を占める拠点。それでも「個人の税務経験年数は年々短くなってきており、10年以上の経験がある職員は、14人と以前に比べて少なくなって」いると嘆く。専門職員の育ちにくい中で、これからも税のスペシャリストの育成と、若い税務職員から「また税務の職場に異動したい」と思ってもらえるような職場環境をつくることが使命と肝に銘じる姿には敬服する。都道府県・政令市の税収決算見込みは、岩手県と愛知県を掲載している。
【8月4日号】 「見習い鍼灸師が放った『第3の矢』?」と題して、政府が発表した成長戦略の改訂版についての記事を掲載した。筆者によれば、控えめに表現しても改訂版はアピール性に乏しいという。その一つの理由は、経済的説明が明確でないことにある。今回の改訂版では、政策の目的、その達成のための手段、および当該手段によって期待される効果との関係が十分に整理されていない、というのが筆者の意見である。詳細は本誌で。
8月7日号】 「中国の国際攻勢」と題して、最近の中国による国際戦略を解説する記事を載せた。米調査機関ピュー・リサーチ・センターが本年3〜6月にかけ44カ国で行った調査によれば、いずれ中国と軍事的対立が起きることを恐れている人の割合はフィリピンでは93%、日本では85%、ベトナム84%、韓国83%である。だが、それ以外のアジア諸国、さらには、中国との貿易や投資に頼るアフリカや中南米では、中国に対して圧倒的に好意的な見方が強いという。こうしたいわば二面性を持つ中国の国際戦略の全体像を把握することが今後は重要になろう。