早読み行政誌

企業努力を無にする税率見直し(2014年8月25日〜29日号)

地方行政

【8月25日号】 東日本大震災以降、国は多くの防災関係の制度改正や基準の見直しを行っている。これらはほとんどの場合、「実動部隊となる市町村職員の膨大な作業量がなければ実現しそうにもない」という。ところが、人員不足にある市町村は、研修さえ受けにくい状況にあり、「まさに悲鳴を上げている」のが実情だ。筆者は「市町村に宿題を丸投げしても、人員不足という根本的な課題を放置していては解決にならない」と、現実を直視する必要性を訴え、防災の実効性を高めるためには、解決方策を抽象的に示すだけでなく、具体的な人員の確保策を考えるか、人員不足でもやれる方法を考えなくてはならないと強調する。その上で、市町村防災の専門家の立場から、具体的な方策を提示している(月曜連載・地域防災最前線〈61〉「避難勧告等の判断・伝達マニュアル作成ガイドライン案について〈4〉」)。

【8月28日号】 自殺や孤立死など最近の社会問題からは、どのコミュニティーにも属さず社会的連帯から排除された人々が多くなっている実態がうかがえる。このような「社会的排除」は、社会の安定を揺るがし、時に問題を発生させ、加害者と被害者をつくりだす。この「社会的排除」に対する概念として、最近、いろいろな生活上の困難を抱えた人を排除せず、社会的に包み込む「社会的包摂」という言葉が使われ始めた。そして、生活上の困難を未然に防止し、困難に至っても問題を引き起こす前に社会が手を差し伸べる「社会的包摂政策」の必要性が議論されている。「社会的排除」が問題となってきた背景、公務員として「社会的包摂政策」をどのように考えるべきかについて解説する(木曜隔週連載・公務員講座(18)「社会的包摂政策の必要性」)。国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界文化遺産に登録された群馬県の「富岡製糸場と絹産業遺産群」。カタールで開かれた会議で、登録の瞬間を見届けた同県の大沢正明知事に、登録を契機にした観光振興策などについて聞いた。

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内外教育

【8月26日号】 東京都荒川区教育委員会は、電子黒板やタブレット型多機能携帯端末を活用したICT(情報通信技術)教育に力を入れている。2013年度から、区立中学校1校、小学校3校で児童生徒にタブレット端末を1人1台配備したモデル事業を実施しており、今年9月からは区内の全小中学校に端末を導入する。同区の取り組みは、研修や授業事例の共有、タブレット端末の使い方を指導する人材の配置などによって、ICT機器に慣れていない教員の「食わず嫌い」を防ぎ、各教員の授業スタイルに合わせた機器の活用を促しているのが特徴だ。

【8月29日号】 文部科学省は25日、小学校6年生と中学校3年生を対象に実施した、2014年度の「全国学力・学習状況調査」(全国学力テスト)の結果を公表した。通算7回目となる今回は、13年度に続いて対象学年の全児童生徒が対象となる悉皆(しっかい)調査を実施。公立校の正答率を都道府県別に見ると、前回と同様に、ほとんどの地域が全国平均からプラスマイナス5ポイントの範囲に収まっていた。また、正答率が低い3都道府県の平均正答率と、全国平均との差には縮小傾向が見られた。文科省の担当者は、「指導方法の改善と、学習習慣の定着により、平均正答率が低かった地域で学力の底上げが進んでいる」と分析している。3回にわたって結果の概要を報告する。

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厚生福祉

【8月26日号】 シリーズ「介護保険制度改革のゆくえ」第5回は、新たな介護予防・日常生活支援総合事業について。介護保険法の改正により、これまで保険給付で行われていた介護予防訪問介護・介護予防通所介護が市町村の総合事業に移されることになった。地域の多様なリソースを活用し、要支援高齢者らの自立生活を支援する総合事業は、今回の改革における重要なポイントとなる。その内容を解説する。「インタビュールーム」は青森県立中央病院医療管理監の小野正人さん。「短命県」からの脱却を目指し、親の不健康な生活習慣が子に伝わる「負の連鎖」を断ち切るべきだと訴える。特に、睡眠が重要だという。7月後期の「社説拝見」は、最低賃金の引き上げや子どもの貧困率、降圧剤の臨床試験不正などをめぐる各紙の論調を紹介した。

【8月29日号】 「保育園と幼稚園」と題する1928年の寄稿。宝山寺福祉事業団理事長である辻村泰範氏の父泰圓氏の遺稿集の一文だ。「もうこのへんで保育所と幼稚園の問題を調整しておかないと、次第にやっかいなことになりそうである」。子ども・子育て支援法の成立で両者の関係は一定の整理がなされようとしているが、近接した領域の統合と区分、縦割りの壁は、56年後も変わらず残る大きな課題だという(巻頭言「五十余年、まだ残る課題」)。シリーズ「介護保険制度改革のゆくえ」最終回は、費用負担の公平化について。低所得者の負担軽減強化、一定以上の所得のある高齢者の利用者負担引き上げ、補足給付の見直し等、制度を持続的なものとするための新たな費用負担の在り方について、その理念も含め解説する。「地域を支える」は大津市のNPO法人「マイママ・セラピー」を紹介。出産直後の母親の悩みに答える「お母さんのための保健室」の運営、出産間際の女性を安全に病院に送り届ける「ゆりかごタクシー」の創設など、出産前後の女性を総合的にサポートするさまざまな活動を展開している。

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税務経理

【8月26日号】 「私の苦心」では、島根県安来市の税理士からの寄稿を掲載。中小企業経営力強化支援法に基づく「経営革新等支援機関」に認定されていることから、飲食関係企業の経営再建に向けて経営改善計画策定に協力することとなった。だが、先方とは創業30年来の付き合いがあり、親身になれる半面、社長の判断を尊重し過ぎる傾向を自覚している。再建策では、かつての無理な出店からの撤退と、後継者との責任分担が鍵を握るが、社長が成功体験を拭えないことと、息子との不仲が障害になっている─といった具体的な話題で、解決に至る苦労話は大変興味深い。全国特集「都道府県・政令市の2013年度税収決算見込みと特色」は、福島県、京都府を掲載した。

【8月29日号】 「税制・税務の動き」には来年度予算編成に向けた動きが並んだが、先頭はビール類をめぐる税制改正問題。酒税収入の減少に歯止めをかけるため、財務省などでビールの税率を下げる一方、売れ筋の第三のビールは上げる方向で検討しているという。ビール類は、ビールと発泡酒、第三のビールの間でシェア争いの様相を呈しており、1缶当たりの税額が第三より約80円高いビールの売り上げは低下する一方。それが税収減につながっているわけだ。そもそも業界は一貫してビールの税率軽減を求めているが、発泡酒、第三を開発してきた企業努力を無にするような財務省の対応にはいつもながら疑問を感じるところだ。「私の苦心」は、北海道釧路総合振興局の納税課を紹介。都道府県・政令市の税収決算見込みは、三重県と徳島県を掲載している。

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金融財政ビジネス

【8月28日号】 「国内最終需要が記録的な減少」と題して、内閣府が発表した4〜6月期の国内総生産(GDP)1次速報についての解説記事を掲載した。4〜6月期の実質成長率は前期比マイナス1・7%(年率マイナス6・8%)。1〜3月期は高い伸びだっただけに大幅なマイナスが予想されていたが、在庫投資を除いた国内最終需要の寄与度はマイナス3・8%で、1〜3月期のプラス2・2%からの反動だけでは説明しきれないほどのひどい落ち込みだった。景気回復が続くかどうかは、次の7〜9月期にどの程度の反動増になるかにかかっている。詳細は本誌で。

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