【10月6日号】 体系立った方法で地域の「安心安全」の向上に取り組む「セーフコミュニティー(SC)」に対する関心が高まっている。スウェーデンにある国際機関が世界各地で普及に向けた認証活動を行っており、国内では、2008年の京都府亀岡市をはじめ、これまで9地域が認証を受けている。「特集・セーフコミュニティー」は、SCの認証取得を目指す埼玉県北本市の取り組みをリポート。企業や団体、警察などと共に、安全安心に向けた具体策の検討を進める同市の活動内容を伝える。SCは、犯罪や交通事故、自殺などのデータに基づき地域の取り組みを評価できるのが特徴。同市の石津賢治市長は「市民がみんなで効果を確認できるのがSC」と説明する。住民の活動の成果が「見える化」されることが、SCが広く受け入れられている理由の一つでもある。
【10月9日号】 4年に1度の統一地方選が半年後に迫った。1947年、全国の自治体を対象に一斉にスタートした地方選だが、首長の辞職・失職や任期途中での死去、さらには市町村合併の影響などにより、選挙の実施時期が統一選から外れるところが増えている。それに伴い統一選の注目度も相対的に低下し、投票率の低下傾向に歯止めがかかっていないのが実情だ。このところ、東京都議会のセクハラやじや、不明朗な政務活動費の支出が発覚し記者会見で号泣した元兵庫県議の問題など、地方議会議員の資質を疑わせる出来事も相次いだ。有権者の選挙離れも気になるところだ。「特集・統一地方選まであと半年」では、統一選をめぐるこれまでの経緯を振り返り、来春の統一選のポイントについて解説する。
【10月7日号】 デジタル教科書教材協議会(DiTT、会長・小宮山宏三菱総合研究所理事長)はこのほど、東京都文京区の東京大学でシンポジウム「小学生に反転授業は可能か?」を開催した。学校で知識を学ばせ、応用は家庭での復習に任せる従来の学習形態を「反転」させ、家庭で事前にビデオで学習してから学校の授業で応用に取り組む「反転学習」は大学を中心に広がっているが、高校以下でも実践例がある。シンポでは小学校で反転授業を実施している2人の実践事例を基に、約140人がその可能性を話し合った。
【10月10日号】 全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の結果について、2014年度から都道府県教育委員会も一定の条件の下、学校別の成績などを公表できるようになった。市町村別の平均正答率や成果のあった学校名と取り組み内容を公表する大分県では、小学5年生と中学2年生を対象に実施している県独自の学力定着状況調査(県調査)で以前から、成果が上がっている学校名を公表している。インタビュー企画「教育長はこう考える」では、「県内のどこに住んでいても、優れた学校の取り組みが分かるように全県的なデータを示すことに意義がある」と強調する同県の野中信孝教育長に、全国学力テストの結果公表問題について語ってもらった。
【10月7日号】 社会福祉法人新生会名誉理事長、石原美智子氏の巻頭言「質について」。高齢者施設、在宅介護など最初から質にこだわって事業を展開してきたものの、いざ「質」とは何か、何をもって質の高い事業者と評価するのか問い掛けてみたところ、なかなか明確なものはないようである。質を評価できる専門性の高いシステムを持たなければ、質の追求が途絶えかねない。事業者にとっても利用者にとっても、重要な提起だ。新潟県見附市などの取り組みが、政府の地域活性化モデルケースの一つに選定された。人口減少と高齢化が進んでも生活が成り立ち、健康で豊かな生活を営むことのできる「健幸」なまちづくりを目指す施策のパッケージ。地域包括ケア、コンパクトシティなど、どの自治体にとっても重要な内容で、参考になろう(特集「地域活性化モデルケース 超高齢化・人口減社会を克服する健幸都市」)。高齢者がいつまでも元気に暮らすには、「生きがい」が大切だ。松江市健康福祉部長、田中豊氏の「進言」は、高齢者が主体となって楽しみながらさまざまな活動を展開することにより、健康寿命の延伸を目指す取り組みについてつづっている。「インタビュールーム」は、「日本フォレンジック看護学会」理事長の加納尚美茨城県立医療大教授。フォレンジック看護とは、性暴力などの被害者と加害者に対する司法面も含めた特別なケアを意味する。単なる被害者支援にとどまらず、看護医療の中に活動を根付かせるためには研究の蓄積が必要と、学会設立に至ったという。
【10月10日号】 ベルリンのグレンツファールホテルは、障害者の就労を目的とするソーシャルファームで、従業員の大半が重度障害者。しかし一般の人はそれと気付かず、サービスの質は高く、宿泊客の75%はソーシャルファームとは知らずに利用しているという。日本でもようやく障害者の就労、社会参加が声高に言われるようになってきたが、ドイツ社会は何歩も先を進んでいるようだ(巻頭言「ベルリン社会の成熟」)。特集「サ高住の現状と課題」18回目は、有料老人ホームとの比較に焦点を当てる。一般には両者は似通っており、その違いは分かりにくい。そもそも根拠法と所管官庁が違うわけだが、将来的には制度を整理する必要性が出てくるかもしれない。「インタビュールーム」は、秋田市保健所健康管理課自殺対策担当課長の安井誠悦さん。秋田県が自殺率全国トップであることはよく知られているが、その分、官民挙げた自殺対策の取り組みも盛んだ。多方面からの取り組み内容を聞いた。米国で初めて、エボラ出血熱の患者が確認された。感染地はリベリアとみられるが、感染が分かって帰国するケースと異なり、診断・隔離されるまでの間に他の人に感染させる危険性がある。エボラ危機はアフリカ大陸だけにとどまらない(特集「エボラ出血熱 米国でエボラ熱患者確認」)。
【10月7日号】 「解説」欄では、武田公夫明海大名誉教授による資産評価政策学会の総会リポートを載せた。9月に都内で開催された総会では、「広域的な土地の評価手法」や「住宅用地の課税特例の問題点」をテーマにシンポジウムが行われた。例えば、老朽化した空き家をめぐっては住宅用地特例で税が減免されていることが放置の背景と指摘されるが、撤去を義務付ける法改正や課税強化などの対策が論議されたと報告されており、興味深い。来年度予算編成に向けた「主要省庁別に見た税制改正要望」の第2回は文部科学省と農水省、厚生労働省を掲載。「ぷろふぃる」欄は、総務省の平嶋彰英自治税務局長が登場。法人事業税の外形標準課などについて考え方を語っている。税全国特集「都道府県・政令市の2013年度税収決算見込みと特色」は、長崎県、静岡市、京都市、福岡市を掲載している。「私の苦心」は、山形市の収納管理課を紹介した。
【10月10日号】 「主要省庁別に見た税制改正要望」の最終回は、経済産業省と国土交通省を取り上げた。全国地方銀行協会がまとめた9月の地方経済天気図は、景気判断DIが前回7月に比べ3.9ポイント低下して47.7と、再び悪化局面になっていることを指摘している。「私の苦心」は、埼玉県所沢市の市民税課を紹介。最近は高齢者からの問い合わせや苦情が増えており、ある抗議に約1時間かけて丁寧に説明。しかし数日後に今度は手紙が届き、先の説明の2〜3割しか理解してもらえなかったことが分かる─といった苦労を語っている。
10月6日号】 「追加緩和観測で浮上した論点」と題して、日銀によるに追加の金融緩和策について解説する記事を掲載した。筆者は、日銀が追加緩和策を判断するタイミングについて、来年1月が大きなポイントになると指摘。具体的には「長期国債と上場投資信託(ETF)の買い入れ額を増やす公算が大きい」と予想している。
10月9日号】 「英語力の底上げを急げ」と題して、国際会議との関係で英語の重要性を解説する記事を掲載した。筆者は東大卒、日本銀行入行、英オックスフォード大学経済学修士修了、日銀ロンドン事務所勤務の経歴を持つが、「それでも聞き・話す英語力は、残念ながら『英語を母語としない欧州人』と比べて大幅に劣る」とし、国際会議で苦労した経験を述べている。その上で、今後の日本は国際会議に強い国になることが必要だと強調する。詳細は本誌で。