【10月20日号】 月曜連載「地域防災最前線」(67)は、1990〜1995年の雲仙普賢岳噴火の災害教訓に学ぶシリーズの第2回。災害からの復興に関しては、被害が大きかった長崎県島原市の経験が参考になる。当時、市町村レベルで独自に復興計画を立案する制度はなかったが、同市は住民とじっくりと向き合い、検討する時間を確保して復興計画を練った。これがのちのちの復興事業がスムーズに進んだ要因とも言える。安中三角地帯の土地のかさ上げ事業は、同市の復興事業の中でも特筆されるものだ。災害で発生した大量の土砂や防災工事の残土を土地のかさ上げに活用するとともに、持ち込まれた土砂の「土捨て料」を事業の財源に充てるという内容で、住民のアイデアに基づいている。復興事業は10年単位の時間がかかるといわれるが、このかさ上げ事業も、発案から事業完了までに約8年の期間を要した。筆者は「当初の期間での関係者間の十分な議論と合意形成の時間は、全体から見れば大した時間ではない」と述べ、復興においては「段取り八分の余裕あるスケジュールが重要だ」と、当初段階での住民との合意形成の必要性を訴えている。
【10月21日号】 経済協力開発機構(OECD)が行っている「生徒の学習到達度調査」(PISA)の2012年調査で決定的となった世界のパフォーマンスの特徴は、西高東低の逆、“西低東高”、つまりPISAに参加した東アジアの成績が高く、欧米諸国の成績は振るわなかったということである。だが、データを少し詳しく見ていくと、事はそれほど単純でなく、それぞれの国が興味深い特徴を見せている─。公表連載中の「PISAが描く世界の学力マップ」。第18回の今回から「欧米諸国の明暗と不思議」と題し、米国、英国、エストニア、ポーランド、そしてオランダを取り上げる。
【10月24日号】 「いじめ防止対策推進法」に基づく国の「いじめの防止等のための基本的な方針」が公表されてから1年がたった。小野田正利大阪大学大学院教授による連載「モンスター・ペアレント論を超えて」では、10月3日号から「いじめ法から1年」と題したシリーズを展開。その4回目では「記録が明暗を分ける」をテーマに、いじめ対応における記録の重要性に触れている。
【10月21日号】 特集「サ高住の現状と課題」19回目は引き続き、サ高住と有料老人ホームの関係や自治体の対応を見る。「サ高住情報提供システム」にも両者の関係をめぐるQ&Aが掲載されているが、「『禅問答』のような印象」という筆者のコメントに大きくうなずける。自治体も両者を何とか整理しようと、それぞれ工夫しているようだ。「地域を支える」は、長崎県雲仙市の社会福祉法人「南高愛隣会」を紹介する。福祉的支援が受けられないがゆえに、罪を犯し、刑務所など矯正施設の出入りを繰り返してしまう累犯障害者。こうした障害者や高齢者を施設で受け入れ、社会復帰に向けた準備を支え、「負の連鎖」を断ち切る。重要ながら不足している支援の一つだ。大阪・泉南地域のアスベスト(石綿)関連工場の元労働者や遺族らが国に損害賠償を求めた泉南アスベスト訴訟で、最高裁第1小法廷が国の責任を認める初判断を示した。じん肺や水俣病の訴訟でも国の責任が認められており、有害物質による健康被害で司法が救済を図る流れがより明確になった(「石綿被害、国の責任認定」)。
【10月24日号】 地域包括ケアをめぐる、2分冊の大著が発刊された。著者・筒井孝子氏のこれまでの研究が丸ごと詰まった「理論書」で、読破するのにいささか努力を要するようだが、地域の福祉、医療サービスに携わる関係者にとって非常に有用な書物であろう(特集「地域包括ケアシステム構築に向けて 理論書2冊をひもとく」)。京都府は、障害者の芸術活動を包括的に支援する「推進プラン」の中間案をまとめた。障害者の文化芸術活動について、さまざまな側面から総合的に支援する内容で、注目される(「障害者の芸術活動、包括的に支援」)。「地域を支える」は、一般社団法人「中部美容福祉協会」を紹介。認知症患者に対し、美容が症状緩和や予防に有効であるとして期待されている中、民間資格「美容福祉士」を認定し、地道に普及活動に取り組んでいる。効果を科学的に証明することは難しいが、実践例を重ねて検証する。9月後期の「社説拝見」は、公的年金積立金の運用や健康保険組合の赤字、待機児童問題などをめぐる各紙の論調を紹介した。
【10月24日号】 税金周辺情報の欄で国税庁がまとめた「2013年分民間給与の実態」調査報告を取り上げ、資料の抜粋を添付した。会社員やパート従業員らが1年間に受け取った給与の平均は12年比1.4%増と3年ぶりに増加したが、今年の物価上昇には追い付いていない。また、正社員の給与が増加した一方、非正規は減少しており、格差が拡大したことが浮き彫りとなっている。「私の苦心」は、福島市の資産税課を紹介。着実に復興は進んでいるものの、放射能災害を受けた住宅の除染は道半ばの段階にある上、来年の評価替えに向けて全壊、半壊家屋の再調査など課題はなお山積していることを報告しており、大規模災害に対する心構えを知る上でも参考になりそうだ。「ぷろふぃる」欄は、札幌国税局の大久保修身局長が登場。全国特集「都道府県・政令市の2013年度税収決算見込みと特色」は、青森県、福井県、佐賀県、堺市を掲載した。
【10月20日号】 「軽減税率か、給付付き税額控除か」と題して、消費税の逆進性対策としての効果を比較する記事を掲載した。筆者の結論は、より問題が少なく効果的な政策である給付付き税額控除を消費税還付制度として導入することが望ましいというもの。その論拠として、欧州諸国の例を具体的に検証して、両者を比較している。
【10月23日号】 「課税ベース拡大は慎重に=法人税率引き下げで行うべき施策とは」と題する記事を掲載した。政府は2014年度の「骨太方針」で、法人税率を「今後数年で20%台まで引き下げる」目標を示した。しかし、法人税の実負担は法定税率とともに課税ベースの影響を受けるため、たとえ法人税率が引き下げられたとしても、法人税の実負担が減るとは限らない。課税ベース拡大の程度によっては、法人税の実負担が増加する可能性もあると筆者は述べている。従って、どのような課税ベース拡大策が盛り込まれるかが次の焦点となる。詳細は本誌で。