早読み行政誌

米ロの新冷戦(2015年1月19日〜23日号)

地方行政

【1月19日号】 「国にお伺いを立てて了承を得ないと現場は何もできない」。阪神大震災は、国と地方の関係や日本の行政の在り方が問い直される契機となった。復興のプロセスでは、個々の被災者の必要よりも国のメニューに沿ったインフラ整備の方が優先され、「ハコものばかりの復興」「住民置き去りの復興」「生活再建後回しの復興」などといわれている。筆者は、「阪神」以降も依然として見られる、前例や既存制度を偏重する「中央統制型」行政の欠陥を指摘。危機対応では、現場が実情に応じて即断即決できる「現場主導」の仕組みが不可欠だと強調する(特集「阪神大震災20年(下)・日本型復興の課題」)。月曜連載「大阪の維新改革を検証する」(5)は、一連の大阪改革で最も早く、かつダイナミックに成果が見えてきたという交通インフラ分野の改革について解説する。改革で採用した「ストックの組み替え」は、大都市のインフラ再整備の手法として、他の地域でも活用できそうだという。

【1月22日号】 新しい木曜連載「地方創生へ、公務員が創造すべきコト」がスタートした。地域再生プランナーの筆者は「自治体の事業と、市民の生活・要望はズレている。両者の隔たりが大きい都市ほど、衰退や疲弊が加速している」と述べる。住民が求めているものを正しく捉えないと、導く政策も正しくならない。例えば、2013年に京都市が「清酒の普及の促進に関する条例」を制定したのに続き、清酒産地を中心に多くの自治体が相次いで類似の条例を作った。が、後続の条例は、概して住民の評判がよくない。それはなぜか。地方創生に向け、「市民の声を正しく聞く」方法論と視点を提示する。特集では、昨年都内で開かれたセミナーで、元自治事務次官の松本英昭氏が行った講演の内容を紹介。公務員の働き方に出生率向上のヒントがあるのではないかとの見方が提示される(特集「早稲田公共経営研究会・出生率向上対策の検証を」)。

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内外教育

【1月20日号】 巻頭インタビュー企画「あすの教育」には、高橋基之全国高等学校長協会(全高長)会長(東京都立目黒高等学校長)が登場。大学入試をこれまでの1点刻みの試験による知識偏重型から転換し、入学希望者の学力や意欲、課題解決能力などを総合的・多面的に評価する方向に改めるよう求めた、昨年12月の中央教育審議会答申に対する見解や、高校教育の現況と課題について聞いた。

【1月23日号】 文部科学省はこのほど、2015年度に使用する高校教科書の採択状況をまとめた。14年9月中旬までに都道府県教育委員会から報告された生徒用と教師用の必要見込み数を集計したもの。新学習指導要領は13年度入学生から学年進行で全面実施に入っており、今回で高学年用までがそろった。結果を上、中、下の3回に分けてお伝えすることにし、初回は全体の状況と、国語、地理歴史の2教科を紹介する。

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厚生福祉

【1月20日号】 長期連載「サ高住の現状と課題」では、サービス付き高齢者向け住宅と在宅医療の関係について取り上げ、今回は特に在宅医療の診療報酬の概要を解説している。第一生命経済研究所が40、50代の男女を対象に、老後について聞いたアンケート調査では、6割が「公的年金だけで生活するのは無理」と答えた。

【1月23日号】 政府が決定した社会保障医療制度改革の内容を詳報。今回の改革には国民健康保険を立て直すための健保組合や共済組合の負担増、後期高齢者の保険料の特例の原則廃止、病院入院時の食事代の値上げなどが盛り込まれた。横浜市青葉区の地域包括ケアシステム構築に関する連載の2回目は、団塊の世代の高齢化に伴い、今後急速に増えていく死亡者の「看取り」に、病院や地域の医師がどのように対応していくべきかを探っている。

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税務経理

【1月20日号】 巻頭に片山善博慶大教授の新春論文を掲載した。例年は年初の号に載せているが、今回は予算が越年編成となったのに合わせ、ずれ込んだ。片山氏は、新年度税制改正大綱の一つの目玉となった企業本社の地方移転を促進する「地方拠点強化税制」について、事業所税などの見直しとセットにしなければ効き目は薄いだろうと鋭く切り込んでおり、読み応えがある。ニュース詳報は、政府予算案と地方財政計画の概要。15年度の地方税と地方譲与税見込み額の資料も掲載した。「私の苦心」は、岡山県倉敷市の徴収対策室を紹介している。

【1月23日号】 ニュース詳報で、15日に開かれた日銀支店長会議の後公表された「地域経済報告」(さくらリポート)を取り上げた。9地域すべてが基調判断に「緩やかに回復」などと回復をうたっているが、北海道は「一部に弱めの動き」を追加して判断を引き下げた。消費税増税に伴う反動減は「和らいでいる」とみるが、まだ上向きには至っていないもようだ。ほかに老朽原発5基が廃炉に向けて動きだしたことと、予算案の続報を掲載。「私の苦心」は島根県東部県民センターの納税課が登場している。

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金融財政ビジネス

【1月19日号】 「『安倍独走』の明と暗」と題した記事を掲載した。筆者は、憲法改正の発議に必要な各議院の総議員の3分の2に注目する。現在の自公政権は、参議院ではその3分の2に達していないからだ。従って、1年半後に控えた参院選がポイントと説いている。詳細は本誌で。

【1月22日号】 「深刻さ増す米ロ『新冷戦』」との記事を掲載した。筆者は、米ロ関係の深刻さが増していることが、世界情勢を左右する大きな懸念材料だと指摘する。過去1年以上にわたって、公式の首脳会談が全く開かれない異常な米ロ関係は一体どうなるのか。特に、米国が伝統の超党派外交・安保政策に回帰できるかどうかが、「新冷戦」の行方を左右するという。

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