【2月2日号】 高齢化対策や生活保護といった社会政策コストの増大は、自治体財政の硬直化を招く。そこから脱却する王道は、なんといっても経済再生だ。しかし、いかに成長戦略やインフラ戦略を推し進めても、実際に功を奏するには10年単位の時間を要する─。大阪府・市の改革では、社会政策の分野も「聖域」とせず、生活困窮者や高齢者の支援を極力、効果的かつ効率的なやり方に変えることを目指した。当たり前とされてきた政策も例外なく見直しの対象とし、制度の存在意義を問い直すところから始めたという。見直しで得られた原資を使って、子育てや医療、教育などの面で負担が大きい現役世代にも、重点的に投資するようにしたのが特徴だ(月曜連載「大阪の維新改革を検証する」〈7〉=生活保護などの社会政策を抜本的に見直す)。
【2月5日号】 「他の自治体が成功した事例があれば教えてください」「(よそで)成功したといわれる施策を、うちの自治体も同じように実施したが、うまくいきません」。地域再生プランナーの筆者は、自治体の職員からよくこんな相談を受けるという。筆者は、二つの相談には「他の自治体との比較を気にし過ぎる共通項がある」と指摘し、こうした傾向を「自治体固有の病」と感じている。こんな声が頻繁に出てくること自体、「長い間他の自治体をまねし続けて、そのまねが失敗し続けている実態を示している」とも言えそうだ。自治体が陥りがちな「発想の画一化」から脱却するすべを、企業の発想法を引きながら具体的に提示する(木曜連載「地方創生へ、公務員が創造すべきコト」〈3〉=他の自治体より、市民を視て、真の協働を築く)。
【2月3日号】 文部科学省は、5〜17歳の子どもの身長・体重や疾病の状況などを調べた、2014年度「学校保健統計調査」結果の速報値を公表した。それによると、「裸眼視力1.0未満」の子どもの割合が依然として高い水準となる一方、虫歯のある子どもの割合は小中高校とも減少し、1950年前後の過去最低に迫った。虫歯の子どもの割合は、50年代から急上昇し、70〜80年代ごろのピーク時には、小中高校とも90%を超えた。ところが90年代以降は急速に改善している。虫歯減少の背景として、文科省担当者は、歯科医師による学校での指導や乳幼児期からの歯科検診の充実、学校給食後の歯磨きの浸透といった要因が考えられるとしている。
【2月6日号】 文部科学省は、不登校となった小中学生に学習指導などを行う民間フリースクールへの支援策について議論する有識者会議の初会合を開いた。運営事業者に対する財政支援や、児童生徒が在籍する学校との連携強化策などが焦点となる。ただし、フリースクールに対する財政的支援をするには、公の支配に属しない教育への公金支出を禁止する憲法の規定(89条)をクリアする必要があり、ことは簡単ではない。その前に、まず、フリースクールを教育制度上どう位置付けるかも検討課題となる。連載「教育法規あらかると」では、フリースクール支援をめぐる法規的な課題を整理した。
【2月3日号】 2015年度政府予算案が決まった。社会保障関係では、介護報酬がマイナス2.27%となるなど、さまざまな分野で予算が削減される。「介護報酬に見る高齢者施策の課題」では、介護の人材不足が問題となる中、こうした予算はどのような影響を与えるのかを、福祉問題の専門家が解説している。
【2月6日号】 日本医療機能評価機構による医療事故情報収集等事業がスタートして10年が経過した。医療機関で起こった事故の情報を集めて公開し、安全対策などに役立てている。同機構理事がインタビューに答え、この10年を振り返る。障害者や乳幼児を連れた保護者などのため、公共施設などにある多機能トイレ。NPO法人が障害者を対象に実施した調査で、「使用中にドアが開いてしまった」「中に誰もいないのに内側から施錠されてしまっている」などのトラブルが少なくないことが明らかに。利用者が自動ドアの使い方をよく理解していないことなどがその背景にあることが分かった。
【2月3日号】 「直言苦言」欄は、実質的に赤字運営となっている国民健康保険の財政を立て直す名目で、政府が国保の財政運営を市町村から都道府県に移管する方針を決めたことについて。都道府県には個人の所得状況は把握できないが、どうやって財政を立て直すのか。社会保障と税の共通番号が導入されれば行政手続きは容易になるだろうが、だからといって財政健全化につながるとは考えにくい、などと疑問は尽きない。現場の不安も大きかろう。「ニュース詳報」は、公明党が主張する消費税への軽減税率導入をめぐり、与党税制調査会が制度設計を進めるための検討委員会を設置したことを取り上げた。もう一つのテーマは2015年度春闘。「私の苦心」は、岩手県の税務課を紹介している。
【2月6日号】 全国地方銀行協会がまとめた1月の地方経済天気図で、景況判断DIが再び50台を回復したものの、基調は「足踏み」に据え置かれた。個別指標は一進一退しており、なかなか方向性が定まらない。「ニュース詳報」は、今国会に提出される農協法改正案の概要と、年金支給額を抑制するマクロ経済スライドが新年度から初めて適用されることを取り上げた。「私の苦心」は、「徴収率全国平均以上」を目標に掲げて努力を重ね、あと0.1%にまで迫った山梨県の総合県税事務所滞納整理部を紹介している。