早読み行政誌

いじめ防止の「道徳」(2015年2月9日〜13日号)

地方行政

【2月9日号】 「低学力の問題は成人後の低所得や失業につながりやすく、犯罪や短命などの大阪のさまざまな社会問題の温床にもなる。次世代を担う子どもたちの学力と体力の向上は、社会問題を解決する上でも喫緊の課題と思われた」。橋下徹氏(現大阪市長)が2008年に大阪府知事に就任し、いち早く改革に着手したのは教育の分野だった。月曜連載「大阪の維新改革を検証する」(7)は、教育改革について解説。中学校給食の導入など教育現場の支援、学校レベルの経営改革と競争原理の導入、教育行政制度の改革─の三つの領域ごとに見ていく。教育行政制度の改革では、長らく議論がタブー視されてきた教育委員会の在り方にまで踏み込み、結果的に国の制度改正にまでつなげた点が特筆される。国産ワインのみで醸造した「日本ワイン」のブランド力を高めようと、自民党有志による勉強会が、輸入原料を使ったワインとは区別できるようにする表示の導入を求める提言をまとめた。メンバーの一人は、ブランド力が高まれば「地方創生」になると意気込んでいる(政界メモ「『日本ワイン』で地方創生」)。

地方行政表紙 地方行政とは

内外教育

【2月10日号】 文部科学省は4日、小・中学校などで現行の「道徳の時間」を教科化し、「特別の教科 道徳」と位置付ける学習指導要領の一部改訂案を公表した。道徳教育を「いじめの防止」につなげる趣旨を明示して取り組みを促しているほか、問題解決学習や体験学習など指導方法の工夫も要請。同省幹部は、教材を読むだけの「読み物道徳」から、児童生徒が自ら「『考える道徳』、『議論する道徳』へと転換するものだ」と説明している。改訂案を詳報した。

内外教育表紙 地方行政とは

厚生福祉

【2月13日号】 サービス付き高齢者向け住宅について連載「サ高住の現状と課題」では、有料老人ホームなどの入居者に対する在宅医療の問題を取り上げている。2014年度の診療報酬改定で、こうした施設での在宅医療の報酬が大きく変わったが、その背景には、いわゆる「患者紹介ビジネス」の問題があった。同ビジネスを厚生労働省がどう捉え、どう対応したのかを追う。2015年度政府予算の詳報では、経済産業省の医療、介護、環境関係の施策を紹介する。

厚生福祉表紙 地方行政とは

税務経理

【2月13日号】 昨年末まとまった2015年度税制改正大綱をめぐり、「フォーラム」欄で石弘光元政府税調会長が「先の総選挙の結果を受け、安倍晋三首相の権限が一段と強化された。(中略)『安倍一強』の下で官邸主導の流れとなっているようだ」と懸念を表明している。特に注目するのは法人税率引き下げで、自民党税調と財務省の間で当初「15年度に2%程度」と議論していたのに、最終的に2.51%に拡大され、財源の当てもないのに16年度までに計3.29%引き下げることが決められた。「税制全体のバランスを考えずに特定の分野のみに減税の恩恵を個別に及ぼす改革」は、税制を著しく不公平にするとバッサリ切り捨てている。従来、税制の改革がなかなか進まなかったのも問題だが、自民党一強から安倍一強に変化している政治の下で、各行政分野にひずみが生じていないか、注視していく必要がありそうだ。「私の苦心」は、鳥取県倉吉市の債権回収室を紹介した。強制徴収を一部局に集中する自治体が多いが、同市では債権の徴収一元化までは行わず、所管課の徴収力強化を同室がサポートする方針。それでも、かつて12億円近くあった滞納繰越額を3年ほどで約9億円にまで縮小したという。こういうやり方もあるという参考になりそうだ。

税務経理表紙 地方行政とは

金融財政ビジネス

【2月12日号】 「格差是正と税制の役割」と題した記事を掲載した。経済協力開発機構(OECD)諸国では資産や所得の格差が年々拡大して、経済成長の足かせとなっている。わが国は、税・社会保障前(当初所得)では所得格差が少ない国に分類されるが、税・社会保障後(所得再分配後)では格差が大きい国に分類されると筆者は指摘する。格差を放置すると、経済成長に悪影響を及ぼすだけでなく、偏狭なナショナリズムが台頭したり、社会が不安定になったりする恐れがあるという。詳細は本誌で。

金融財政ビジネス表紙 地方行政とは