【2月16日号】 月曜連載「地域防災最前線」(78)は、兵庫県などがまとめた「阪神・淡路大震災復興誌」から、地震災害の教訓を紡ぐシリーズの第8回目。今回は、避難所を取り上げ、設営や生活物資の配送、救護と心のケアなどについてコメントしている。「食べ物の恨みは恐ろしいと、よく冗談で言われますが、被災地でお話を伺った限りでは、これは本当です」。1995年1月17日の地震発生から同年3月まで、避難所の食事は十分とは言えなかった。当時の国の食費の基準は1人1日850円。災害救助法は、特別の事情があれば上乗せを認めているのだが、自治体の担当者がそれをよく知らず、この基準内で運用していたためだ。改善を訴える声が高まり、同年3月には特別基準として1200円に引き上げられたが、発災直後の一番苦しい時期の食事が850円で済まされてしまった。東日本大震災の被災地でも、これと似たようなことが繰り返されている。筆者は「平常時に使わない特殊な法律は、被災自治体が自ら請求することを待つのではなく、中央省庁が実態を見て提案するべきではないでしょうか」と指摘する。月曜連載「大阪の維新改革を検証する」(9)は、大阪府市が導入した民間の財務マネジメント手法を紹介する。
【2月19日号】 北海道上士幌町が2月、東京都内で「ふるさと納税大感謝祭」と銘打つイベントを開催した。町は十勝地方北部に位置し人口は5000人弱。小規模な自治体ながら、2014年度のふるさと納税では、税収を上回る約8億5000万円の寄付を集めた。会場には、抽選で選ばれた約1000人の招待客のほか、石破茂地方創生担当相、約20社にも上るマスコミ関係者らが足を運び、熱気に包まれた。ふるさと納税に懸ける町の思いとは(「ふるさと納税から交流へ」)。自治体の施策の中には「専門家の評価は高いが、市民からの評価は低い」現象がまま見受けられる。木曜連載「地方創生へ、公務員が創造すべきコト」(4)は、この現象を「目線」をキーワードに解読する。行政と市民らとの協働とは「目線を市民に合わせるコト」だと説く。
【2月17日号】 国立教育政策研究所は5日、東京・霞が関で「PIAACシンポジウム2015」を開催した。PISA(OECDの「生徒の学習到達度調査」)の「成人版」であるPIAAC(国際成人力調査、ピアック)の第1回調査結果は2013年10月に発表され、読解力と数的思考力で日本が参加国中1位になったことが注目された。だが、シンポでは、日本人が暗記や解法には一生懸命でも、学習の動機付けや内発的に学ぶ力が弱い点を問題視する意見が出たほか、「高校段階までの基礎的な教育がきちんと行われているため、世界でもトップクラスになったが、高等教育段階での教育の成果は上がっていないのではないか」との厳しい指摘もあった。
【2月20日号】 過激派組織「イスラム国」がインターネット上に公開した遺体画像を授業中、子どもに見せた事例が各地の学校で発覚している。だが、実は子どもたちは、スマホなどを通じて、大人以上にこうした残虐な映像に日常的に接しているのではないか─。小野田正利大阪大学大学院教授による連載「モンスター・ペアレント論を超えて」では、スマホの普及に伴い、どんな映像にも簡単にアクセスできるようになったことが、子どもにどのような影響を及ぼすかについて考察していく。
【2月17日号】 2015年度政府予算案の決定を受け、各地の地方自治体の予算案の発表が相次いでいる。地方予算連載の第1回は、千葉県、横浜市、福岡県。子育て支援や認知症対策など、国の施策に呼応した事業が目立つ。横浜市青葉区の地域包括ケアシステムに関する連載3回目は、ICTシステムを使い、医師や薬局、介護施設など多職種の連携を構築するモデルづくりを紹介する。
【2月20日号】 64歳以下で発症する認知症を若年性認知症という。そうした認知症の人の家族などがつくる「全国若年認知症家族会・支援者連絡協議会」が大津市でフォーラムを開いた。フォーラムでは、厚生労働省の担当者や、認知症治療の専門家が講演。日本医大武蔵小杉病院認知症センター部長の北村伸特任教授は、「若年認知症発症後、仕事を続けられなくなり減収してしまう人が7割に上り、家族も退職や休学に追い込まれることが多い」とその困難さを指摘。より充実した介護サービスや支援ネットワークが必要だと強調した。
【2月17日号】 特集企画で、恒例の「主要各省別に見た2015年度税制改正」の連載が始まった。3回連載で、初回は文部科学省、農林水産省、厚生労働省を取り上げた。ニュース詳報は、農協改革の決着について。安倍首相が岩盤規制打破の象徴と位置付けた懸案は、JA全中による地域農協への指導・監督権限を撤廃し、一般社団法人化させるという進展を見せたものの、これにより地域農協の所得拡大につながるかは不透明なままだ。「私の苦心」は、北九州市の西部市税事務所長が登場。「細やかな気配りをしつつも、きぜんとした執務態度を取る女性職員は、税務の専門家としての適性を大いに感じさせる」と女性の活躍に期待を述べている。
【2月20日号】 特集の各省別税制改正は国交省と環境省を掲載。ニュース詳報では、厚労省が発表した国民健康保険の13年度決算を資料付きで取り上げた。赤字が続く市町村国保は18年度から財政運営を都道府県に移管する予定となっているが、現状では52.5%に当たる905市町村が赤字。都道府県別の収納率を見ても、トップの島根県(94.95%)と最下位の東京都(86.20%)との間で9ポイント近い差がある。財政を立て直せるのか、課題は多そうだ。もう一つの詳報は、3期ぶりプラスとなった昨年第4四半期GDP。「私の苦心」は、和歌山市の公認会計士が登場。小中学校や大学で租税教育を行う中で、税の役割や仕組みを説明し、経済の生の姿を語ることの手応えを披露しており、興味深い。
【2月16日号】 「強気のオバマ大統領」と題した記事を掲載した。米国のオバマ大統領が2月2日に発表した予算教書で富裕層や企業に対する増税を盛り込み、共和党から強烈な批判を受けた。2014年の中間選挙での民主党の大敗がまるでなかったかのような強気の姿勢だが、15年10月の新年度開始までに、オバマ大統領と共和党がどのようにして距離を縮めていけるかが今後の焦点となると筆者は指摘する。
【2月19日号】 「農地転用許可権の地方移譲を拡大─農水省」との記事を掲載した。政府は、農地を工場や商業施設に転用する際の許可制度を見直し、国が持っていた権限を都道府県などに移譲する方針を閣議決定。農地転用は雇用や医療分野とともに、中央省庁が規制緩和や地方分権に強く抵抗する「岩盤規制」と言われてきた分野だ。しかし、今回は地方の強い要請に抗しきれず、国が譲歩を余儀なくされた形だという。詳細は本誌で。