早読み行政誌

ネット「大国」の実情(2015年3月2日〜6日号)

地方行政

【3月2日号】 「隣接する二つの村との合併をめぐって、市長・議会と市民の見解が対立して住民投票を行うことになった。市長と議会は『投票率が60%に達しなければ開票しない』条項を投票条例に書き加えて、投票は成立しなかったとして、開票せずに焼却した」。投票箱の内にある住民の意思を「開票もせずに焼却する」のは、民主主義にとって何を意味するのか。市民自治理論の実践を目指す「自治体学」を提唱する筆者が、民主主義制度の在り方にも触れつつ、平成の大合併について独自に検証する(特集「北海道自治体学土曜講座・第5回市町村合併は何であったのか」)。

【3月5日号】 「自治体事業もビジネスも、工程のどれかを『間違う、サボって省略する』と、結果が出ない。とりわけ、工程の多くを省略して、同業他社の成功例を猿真似(まね)すると、結果は出ない上に、弊害が生じる」。木曜連載「地方創生へ、公務員が創造すべきこと」(6)は、自治体が手掛ける事業で「結果」を出すための、正しい工程の踏み方を実践的にアドバイスする。筆者は、安易によそをまねすることを戒め、「何をするか」ではなく、「どのように実践するか」に発想を転換することが、自治体に求められていると説く。多くの自治体には、計画の策定自体を目的化する傾向が見られ、それは「上(国など)、よそ(他自治体・部署)、過去(前例)」の三つを気にし過ぎることから生じるとも指摘する。

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内外教育

【3月3日号】 中央教育審議会は2月25日、第8期では初めてとなる総会を文部科学省内で開いた。委員の互選により、新会長に三井住友銀行取締役会長で前中教審副会長の北山禎介氏を選出。財界からの会長就任は、第5〜7期に会長を務めた旧新日本製鉄(現新日鉄住金)出身で日本商工会議所会頭の三村明夫氏に続いて3人目となる。総会の席上、北山新会長は「国家的要請や社会的な意識の変化を追い風として、日本の将来のために不可欠な教育の改革を皆さんと手を取り合って進めていきたい」と所信を述べた。第8期中教審では、学習指導要領の改訂や、教員の養成・採用・研修の改革、「チーム学校」の在り方などが主な議題となる

【3月6日号】 三重県の鈴木英敬知事は2月、学力向上への取り組みを視察するため鈴鹿市立明生小学校を訪問した。2014年度の全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)において、県は小学校・中学校ともに全ての教科で全国の平均正答率を下回っており、「現時点で、学校に何が必要か、行政として何をすべきかを肌で感じてみたい」(鈴木知事)との思いからだ。鈴木知事は、近く別の小学校も訪問する予定で、「(地方教育行政法の改正により)首長が県民との間で教育行政とその成果に責任を持つことになった。4月(の改選)以降も知事でいたら、現場を回ることでコミュニケーションを続けていきたい」と話している。

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厚生福祉

【3月3日号】 厚労省が発表した高齢者虐待に関する調査結果によると、2013年度の虐待件数は前年度比3.9%増の1万5952件に上った。事実確認を始めるまでの期間や虐待の内容、発生要因などを詳しく報じている。「地域を支える」では、岩手県山田町の介護老人保健施設「さくら山」の取り組みを紹介した。

【3月6日号】 長期連載している「サ高住の現状と課題」。今回から数回に分けて介護サービスの現状と課題、介護報酬との関連を取り上げる。「私たちの工夫」には仙台東年金事務所長が登場、学生を対象とした年金セミナーなどについて語っている。

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税務経理

【3月3日号】 ニュース詳報欄で、このほど出そろった都道府県と政令指定都市の2015年度当初予算案の特徴などについて3ページに渡ってリポートした。各自治体の予算の伸び率と税収伸び率を、見やすく一覧で掲載している。「私の苦心」では、福井県でふるさと納税を担当する「ふるさと営業室」を紹介。ふるさと納税制度はそもそも西川一誠福井県知事が提唱して創設されたが、同県では「頂いた寄付全てを子供達の教育や観光地の魅力アップ等に使っています」という。つまり、豪華な返礼品で寄付を募るような寄付集め競争には参加していない。「寄付してくださった方々に一番喜んでもらえるのは、福井県が元気で自慢できるような良い県になっていくことだと思って」いるという言葉には清涼感が漂っている。

【3月6日号】 「私の苦心」に、東京都品川区の税務課が登場した。東京都23特別区からの原稿は恐らく初めて。というのも、都区部では地方税の特例により法人住民税、固定資産税、都市計画税、事業所税の4税を東京都が賦課・徴収しているため、当編集部から23区には積極的に原稿執筆をお願いしていなかった経緯があったようだ。しかし、特別区では個人住民税と軽自動車税を中心に賦課・徴収を行っており、品川区は現年班、高額班など四つの班を編成して徴収困難案件や滞納繰り越しの整理に当たっているという。都市部には都市部のノウハウがあり、悩みもある。今後も折に触れて区税徴収の現場についてリポートしていただきたい。全国地方銀行協会がまとめた2月の地方経済天気図の概要を掲載。景況判断、3カ月後の先行き見通しともに改善傾向にあるが、「景気回復の動きは緩慢」と総括している。

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金融財政ビジネス

【3月5日号】 「育成と規制が同時進行のネット大国─中国」と題した記事を掲載した。中国ではネット利用が爆発的に拡大する一方、当局にとって問題ある情報を流す海外からのサービスに対しては、規制が強化されている。例えばグーグルは、パソコンでも、携帯端末でも利用できず、ラインなどの無料通信アプリも遮断されているという。詳細は本誌で。

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