早読み行政誌

小学生の指紋採取(2015年5月25日〜29日号)

地方行政

【5月25日号】 3月下旬からの東日本大震災特集が一段落した月曜連載「地域防災最前線」は、「阪神・淡路大震災復興誌を読む」のシリーズを再開。今回は、全国から殺到した救援物資の荷さばきに悪戦苦闘した当時の神戸市の記録から、被災地内での救援物資の円滑な配布方法を考える。先の統一地方選で当選した首長の課題解説では、田辺信宏静岡市長、鈴木康友浜松市長を取り上げた。

【5月28日号】 2回に分けての特集「大災害における都道府県の初動対応を考える」の上編を掲載。筆者は総務省消防庁国民保護・防災部長の室田哲男氏。近年、国内で頻発している大規模災害。国が直接、応援に乗り出すケースが増え、対応ノウハウを蓄積しているのに対し、それぞれの都道府県は当該地域での災害件数が物理的に少ないこともあり、災害規模が大きくなればなるほど初動対応時の都道府県と国の防災関係者の「認識のズレ」が問題になるという。都道府県の担当者が経験の浅さをどう埋めるか、多角的に論じる。統一選を経た首長の課題紹介は、松井一実広島市長を掲載。

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内外教育

【5月26日号】 国立教育政策研究所(国研)の研究プロジェクト「教員養成等の改善に関する調査研究」(研究代表・大杉昭英初等中等教育研究部長)はこのほど、報告書「教育方法の革新を踏まえた教員養成・研修プログラムに関する調査報告書」を刊行した。プロジェクトのうち、教員養成カリキュラム班・方法改善チームの成果をまとめたもの。アクティブ・ラーニング(AL)など授業革新に対応した「学び続ける教員」(2012年8月の中央教育審議会答申)を育てるためのプログラムの在り方を探っている。教育再生実行会議が14日の第7次提言で教職生活全体を通じた「育成指標」の明確化を求める中、同プロジェクトはその基礎研究としても関心を集めそうだ。

【5月29日号】 連載「教育法規あらかると」では、東京都立川市の市立小学校で、30代の男性教諭が、担任する6年生のクラス全員の児童から指紋を採取していた問題をさっそく取り上げた。クラスの女児が靴に画びょうを入れられたというので、教諭が授業中に児童37人から聞き取りを行った後、スタンプのインクで全員の右手人さし指の指紋をとった。教諭は「いじめの抑止効果になると思った」と話しているのだが、筆者の菱村幸彦国立教育政策研究所名誉所員は「教員が児童生徒の指紋を採取する事件は、これまでも何度かニュースになっている」とした上で、「捜査機関による捜査ですら指紋の採取については、法令上・実務上、厳格な要件の下に行われている。その点、今回の担任教諭の行った指紋採取は、あまりにも安易」と戒めている。

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厚生福祉

【5月26日号】 巻頭特集「福祉・医療分野のコンプライアンスの確立のために(中)」は、コンプライアンス違反が発生する原因を考察。法令の知識不足や業務に対する惰性などの個人的原因、決済手続きの不備や研修の不十分さなど組織的原因に分けて解説した。「マイナンバー制度実施へ(下)」は、職員の個人番号の把握に際して扶養控除等申告書を早めに提出させて把握する方法などを紹介。個人番号の報告を求める文書・報告書の書式例なども示している。

【5月29日号】 閉経後の女性を対象に骨粗しょう症について聞いた意識調査の結果を紹介。「不安でも検査しない」という女性が少なくないことが分かった。「地域を支える」は、宮城県石巻市のNPO法人「移動支援Rera」が登場。仮設住宅に住む東日本大震災の被災者を病院などに送り届ける活動を紹介している。

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税務経理

【5月26日号】 ニュース詳報は、1〜3月期GDPを取り上げた。前期比実質0.6%増、年率2.4%増は、市場予想の年1.84%より良かったとはいえ、「力強さに欠ける」という評価が多い。しかも2014年度通年のGDPは前年比1.0%減と5年ぶりのマイナス成長だった。特に個人消費は3.1%減で、消費税増税に加え食料品値上げなどが響いて消費の足を引っ張り続けたという。改めて、増税がもたらす負の影響を感じさせる。「税制・税務の動き」のコーナーでは、16年度予算編成に向けた財政制度審議会の建議などを紹介。連載中の全国特集「都道府県・政令市の税収見通し」の第19回は、群馬県、兵庫県、佐賀県を掲載した。「私の苦心」では、香川県善通寺市の債権管理課を紹介している。

【5月29日号】 税制・税務の動きでは、与党税制協議会で再開した消費税への軽減税率導入問題などの論議の概要を報じた。「直言苦言」では、再びマイナンバー制度と本人確認の問題。10月に番号通知が始まるが、その際の本人確認は学生証や企業の社員証でも構わないとされる点に、疑義を差し挟んでいる。「私の苦心」は岐阜市の公認会計士が登場し、税務会計と税法の違いを解説している。それによると、景気低迷が続いた際に、企業会計は将来確実に見込まれる損失をできるだけ早く損益計算書に反映する方向で改正されてきたのに対し、税法上はあくまで損失があって初めて損金として認める方向へと進んだ。ただ、会計ビッグバンを経て今では税法基準で処理されるケースは皆無となっており、そろそろ両会計の良いところを生かして歩み寄れないだろうか─という。とても興味深い話だ。都道府県・政令市の税収見通し第20回は、札幌市、仙台市を掲載した。

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金融財政ビジネス

【5月28日号】 「岐路に立つ中央銀行」との記事を掲載した。リーマン・ショックに始まるグローバル金融危機は、現在でも世界経済に重くのしかかっている。その中で、中央銀行は金融危機の原因をつくったとして批判される一方、世界経済を崩壊の瀬戸際から救ったとも称され、主要国中央銀行総裁の一挙手一投足が金融関係者のみならず広く一般の関心を集めるに至っている、と筆者は指摘する。詳細は本誌で。

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