【8月31日号】 跡見学園女子大・鍵屋一教授の長期連載「地域防災最前線」は、9月1日の「防災の日」に寄せて関東大震災に改めて焦点を当てた。▽発災3日後に策定した「震災復興に関する基本計画」で当時の国家予算の2倍に相当する30億円の復興費を掲げ、都市再生に辣腕(らつわん)を振るった復興院総裁・後藤新平▽ラジオ演説を重視して市民を落ち着かせた東京市長・永田秀次郎──ら、指導者の行動を振り返り、「復興の原点」の教訓を噛(か)み締める。
【9月3日号】 地域再生プランナー・久繁哲之介氏の木曜連載「地方創生へ、公務員がすべきコト」は、増田寛也元総務相著「地方消滅」と、博報堂研究員原田曜平氏著「ヤンキー経済」の2冊を取り上げ、都会志向、地元志向で二極化する若者の行動を分析。久繁氏は「ヤンキー経済」が浮き彫りにした「若者のコミュニティ意識」を踏まえた少子化対策を構じるべきだと主張している。
【9月1日号】 前号に引き続き、文部科学省の2015年度「学校基本調査」結果を紹介した。それによると、今春の高校卒業者の大学・短期大学進学率は54・6%、大学に限れば48・9%で、いずれも過去最高を記録した。また浪人生を加えた大学進学率は51・5%で、3年ぶりに過去最高を記録した前年度と同じ割合を維持している。前年度の大学入試は、いわゆる「ゆとり教育」と呼ばれた前学習指導要領の最後の年に当たる。浪人すれば移行措置で理科と数学を現行学習指導要領で学んだ「脱ゆとり世代」と競合することになるため、受験生が現役合格にこだわった結果、大学進学率が上昇したとの見方もあった。しかし、今春の進学状況を見ると現役大学進学率は2年連続で過去最高を更新、浪人生を加えた大学進学率も過去最高を維持している。このことから、筆者の教育ジャーナリスト・斎藤剛史氏は「前年度から続く大学進学率の上昇傾向は、新旧学習指導要領の切り替えという一時的な理由によるものではなく、最近の景気回復基調の定着により家計に余裕が生じたことで、大学進学志向が高まったためと考えるのがより妥当なようだ」と分析している。
【9月4日号】 さまざまな事情で義務教育を受けられなかった人が通う夜間中学。戦後間もない時期に、経済的理由で昼間に通学できない子どもたちのために開設されたが、その後、生徒は減少し、一時は国から「廃止方針」が出された。しかし、現在では不登校経験者や高齢者、在日外国人など多様な背景を持つ人たちが通っており、新たな役割を得ている。インタビュー企画「あすの教育」では、東京の夜間中学を舞台にした映画「学校」(1993年)で、教師と生徒の交流を描いた山田洋次監督にご登場願い、今、再び注目を集めている「夜間中学の学び」をどう捉え、現在の教育をいかに見ているかを聞いた。
【9月1日号】 厚生労働省の有識者会議がこの6月、20年後の少子高齢化や医療技術の進歩などを見据えた保健医療政策のビジョン「保険医療2035」をまとめた。巻頭では、この提言をめぐって8月24日に開催されたシンポジウムの模様を紹介している。各地の福祉、医療関係組織などを紹介する「地域を支える」は、徳島県の山村で地域医療の充実に意欲的に取り組む「NPO法人山の薬剤師たち」にスポットを当てる。
【9月1日号】 個人消費や輸出の判断が下方修正された8月の月例経済報告のサマリーを掲載。併せて、中国発の世界同時株安の影響で、アベノミクスに黄信号がともり始めた現状をリポートした。全国特集「都道府県・政令市の2014年度税収決算見込みと特色」の第8回は山形県、東京都を掲載。地方法人課税の偏在を是正する目的で創設された地方法人税の財源として、法人都民税の一部を国税に繰り入れられた東京都だが、昨年度は金融やサービス業などを中心に企業収益が順調で、法人二税が8.0%の伸びを示した。「私の苦心」では、浜松市の日野藤司税理士が事務所職員の育成にかける思いを披露している。
【9月4日号】 ニュース詳報では、総務省がまとめた来年度地方財政収支の仮試算を報じた。地方税収が前年度比3.6%伸びると見込み、代わりに地方交付税を2.0%減と積算したが、地方財政をめぐる国・地方間の綱引きが今後激しくなりそうだ。地方税収決算見込みの第9回は山梨県、沖縄県を掲載。「私の苦心」では、川崎市みぞのくち市税事務所を紹介している。
【8月31日号】 「インパクト・インベストメント─社会を動かす新たな原動力」と題する解説を掲載した。インパクト・インベストメントとは、途上国の社会・環境課題の解決を目的とした投資のことで、主に欧米の金融機関がこのところ取り組みを開始した。短期的に莫大な利益を生み出すことを最善とする投資の在り方に疑問を呈する形で生まれたもので、筆者は、日本でも地方創生の中で、この考え方を適用できる投資案件があるはずだとしている。
【9月3日号】 「是正すべき社会保険料の逆進性」と題する解説記事を掲載した。政府税制調査会が7月に本格始動したが、筆者は税制改革と同時並行する形で、社会保険料の逆進性の是正策を検討する必要があると強調。給付付き税額控除の導入により、低所得層の保険料負担軽減を目指すべきだと主張する。