早読み行政誌

公務員、住民幸福のプロデューサー(10月5日〜9日号)

地方行政

【10月5日号】 人口減少局面での地域活性化の方策を探る連載「地方で稼ごう」(宮本祐輔・富山県氷見市地方創生政策監執筆)は、公務員を「住民幸福のプロデューサー」と位置付け、自治体職員に奮起を呼び掛ける。同規模自治体に学ぶことは多くても、最も成功者が多い東京に学べという識者が少ないことを「不思議」とする筆者。国内で最も競争の激しい東京で切磋琢磨している企業経営者の成功事例把握のため、業界紙などを読んだり、直接会いに行ったりする「勉強代、営業代=旅費等を惜しんではならない」と説く。

【10月8日号】 東京財団研究員の三原岳氏が、米国ポートランド市の住民自治視察リポートを寄稿した。同市オーク・グロープ地区の住民自治組織アーバン・グリーンは、路面電車駅に隣接する立体駐車場の建設に際し、民間事業者との意見調整で植樹用地を大幅に拡大させるなど環境保護で力を発揮しているという。一般住民の二つの感情、恐れ(Fear)と楽しさ(Joy)に配慮しながら意見集約を進め成果を上げる、当地の住民自治組織の在りようは、日本でも参考になりそうだ。

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内外教育

【10月6日号】 「教育再生実行会議や、その前の自民党の教育再生実行本部の提言を見ても、誰を対象に何を改革しようとしているのか、全く不可解だった。中教審から出てきた答申も、時代錯誤の認識の上に出てきたものとしか思えなかった」「強行すれば、10〜20年先まで教育は不安定になり、日本は時代に乗り遅れる」──。大学入試見直しを中心とした「高大接続改革」の動きをこう批判するのは、荒井克弘大学入試センター名誉教授。巻頭インタビュー企画「あすの教育」では、長く大学入試センター試験に携わった荒井名誉教授に、改革の問題点を聞いた。

【10月9日号】 お茶の水女子大学の研究グループが文部科学省の委託研究として、2013年度全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の「保護者に関する調査」結果を活用して分析を行ったところ、家庭状況と子どもの学力の関係や、子どもの学力を伸ばす「教育効果の高い学校」の特性が見えてきた。研究グループ代表の耳塚寛明教授に、分析結果のほか、学力を伸ばす学校の取り組みや、学校を支援する教育委員会に求められる施策について聞いた。

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厚生福祉

【10月6日号】 巻頭特集では環境省の概算要求について詳しく解説。特別寄稿では、元・駐スウェーデン大使の渡邉芳樹氏による「先進福祉国家の辿った道」。スウェーデンの福祉政策の歴史を振り返りつつ、日本の方向性について考える。

【10月9日号】 巻頭特集は子宮頸(けい)がんワクチンの副作用と思われる症状に苦しむ女性たちの診療に在り方について日本医師会などがまとめた手引きを紹介。手引きは、患者や家族に対し、「傾聴の態度(受容、共感)」を持って接するよう求めている。

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税務経理

【10月6日号】 16年度概算要求が出そろったのを受け、恒例の「主要省庁別に見た税制改正要望」がスタート。3回連載の初回は、総務省、文科省、環境省を掲載し、それぞれが進める政策の効果を一層引き出すために求めている税制改正のポイントを解説。「直言苦言」は、「国税滞納処分の例によるとは」。健康保険や労働保険の保険料徴収で滞納が発生した場合、「国税滞納処分の例によって処分する」との規定を活用して自治体は徴収活動を行うが、納付に応じない場合の罰則は国税徴収法を適用できない。このため自治体には、滞納者の収入状況などを把握する上で壁があることについて考察している。全国特集「都道府県・政令市の2014年度税収決算見込みと特色」の第16回は、福井県、北九州市を掲載。「私の苦心」には、北海道上川総合振興局の納税課主幹が登場している。

【10月9日号】 主要省庁別に見た税制改正要望の第2回は、国交省と農水省。地方銀行協会が公表した9月分の地方経済天気図の概要では、基調としては「緩やかな回復」を維持しているものの、個人消費や設備投資は一進一退が続いていることを報告した。都道府県・政令市の税収決算見込みの第17回は、青森県、さいたま市、相模原市、神戸市を載せた。「私の苦心」は、宮崎県高鍋県税・総務事務所を紹介している。

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金融財政ビジネス

【10月5日号】 「わが国の財政は大丈夫か」と題する解説記事を掲載した。安倍政権が打ち出した「経済財政運営と改革の基本方針2015」は何かと批判が多いが、筆者もこのベースとなった内閣府の歳入見積もりなどの試算について「信頼性に欠ける過大なもの」と手厳しい。企業の海外シフトが進んだ結果、業績が拡大しても法人税額は伸びないという状況が顕在化するなど、わが国の歳入構造は大きく変わっており、こうした変化を前提に税収を見積もるべきだとしている。

【10月8日号】 各国の金融政策に関心が集まる中「日米中に見られる金融政策の限界」と題する記事を掲載した。まず日本については、政府内にインフレ悪玉論が広がり、「金融緩和の意義が問われている」と指摘。米は世界株安のあおりを受け、9月の連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げが見送られ、中国は自由な金融政策がとれない「国際金融のトリレンマ」に直面していると解説する。その上で、大規模な金融緩和自体が今後の経済を不安定にするとして、ソフトランディングの重要性を説いた。

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