早読み行政誌

次期介護保険改正、総報酬制の導入焦点に(11月7日号―11日号)

地方行政

【11月7日号】 長年、自治大学校の講師を務めてきた大森彌東京大学名誉教授(行政学・地方自治論)の徳島市での講演を、記者のインタビューを加えて再構成した講演録「なぜ政策形成能力が問われるのか」を掲載した。中央政府と地方自治体の関係を憲法の条文からひもとき、地方創生を論じる。「一定数が並みから出てきたら、もう自治体は変わる」「可もなく不可もなくと言っていたら、自治体は眠り込む」。自治体職員への叱咤(しった)激励の言葉がちりばめられている。

【11月10日号】 都市部の住民が一定期間、条件不利地域に赴いて地域活性化の担い手として活動する「地域おこし協力隊」(総務省事業)。その元隊員たちが、それぞれの活動を振り返り、地域活性化の在り方を論じる木曜隔週連載「地域おこし協力隊卒業生は語る」がスタート。初回は岡山県西粟倉村に赴任し、活動終了後も同村でベンチャー企業を運営する井筒耕平氏が執筆した。

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内外教育

【11月11日号】 小野田正利大阪大学大学院教授による長期連載「モンスター・ペアレント論を超えて」の今回のテーマは「保護者の『小1ギャップ』」。幼稚園・保育園と保護者の関係は、小学校と保護者の関係とは異なる。そこには大きなギャップがあり、子どもが小学校に入ると保護者も戸惑いを感じる。その背景として、「ある部分では『いじめ防止対策推進法』の影響もあるだろう」と小野田教授は指摘する。では、その影響とは?

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厚生福祉

【11月8日号】 厚生労働省クラブの阪井香織記者が、介護保険制度の2018年度次期改正について解説している。現行では40〜64歳の保険料は大企業が中心の健康保険組合、中小企業による「協会けんぽ」などが加入者数に応じて支払っており、協会けんぽの負担が相対的に重い。そこで、大企業社員の保険料引き上げにつながる「総報酬割」の導入が焦点になるという。11月中には社会保障審議会(厚労相の諮問機関)から、改正の大枠が示されるとの見通しも示した。
 また同号では財務省クラブの市原正幸記者が、2018年度の生活保護基準見直しに向けた財務省の考え方をリポート。一般の低所得世帯より保護世帯の消費実態は高いとして、基準の引き下げを求めていくとのことだ。むしろ低所得世帯の生活水準の底上げを行政の立場からも考えていくべきではないか、との反論も予想され、すんなり「財務省説」が通るかは疑問だが、物議を醸しそうな意見ではある。

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税務経理

【11月8日号】 「ニュース詳報」は、日銀がまとめた展望リポートの中で、2%物価上昇目標の達成時期を「2017年度中」から「18年度ごろ」に先送りしたことを報じた。「経理のページ」では、9月中間期決算で業績見通しを下方修正した企業が3割弱に上っていることを報告。財務省資料は、9月までの上半期税収が法人税の伸び悩みなどで前年同期比4.8%減と低迷していることを伝えており、経済の足踏み感が広まっている。「私の苦心」は、京都市の市税事務所を紹介している。

【11月11日号】 「ニュース詳報」は都道府県と政令市の人事委員会勧告のまとめを掲載。40超の自治体で公務員の月給引き上げが勧告された一方で、国に準じて扶養手当見直しも求めている。「都道府県・政令市の15年度税収決算見込みと特色」の第22回は、鳥取県と広島県を掲載。「私の苦心」には前橋税務署長が登場。「物の見方・考え方は多角的に」などと、若手職員向けに心構えを説いている。

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金融財政ビジネス

【11月7日号】 「探針」は、天皇陛下の生前退位について議論する有識者会議を取り上げた。「解説コーナー」では、建設投資がわが国景気を下支えしている現状を伝えた。コラム「本石町」は、「長短金利操作の賞味期限」と題し、日銀が導入した「長短金利操作付き量的・質的緩和」は近く、改めて見直さざるを得ないとの見通しを示した。

【11月10日号】 「解説コーナー」はリフレ派の論客、三菱UFJリサーチ&コンサルティング上席主任研究員の片岡剛士氏が、日銀の金融政策の新たな枠組みを分析。予想される三つの可能性について解説した。「探針」は「食品ロス」削減に向けた食品業界や自治体の取り組みを紹介した。「インサイド」は、今年度中を目指していた東京商品取引所の電力先物の上場が難しくなっている状況を伝えた。

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