【11月28日号】 先ごろモロッコで行われたCOP22(国連気候変動枠組み条約第22回締約国会議)で、日本が決定権のないオブザーバーとしてしか参加できなかったニュースは記憶に新しい。「待ったなし」の地球温暖化問題。海外の先進地域では、積極的に再生可能エネルギーを利用し温室効果ガスの排出抑制に取り組んでいる。日本の自治体はどう対応すべきか。特集「地域エネルギーの持続的な活用に向けて」では、東京財団研究員兼政策プロデューサーの平沼光氏が、世界の温暖化対策の潮流と国内の取り組みについて3回に分けて論じる。
【12月1日号】 現在進んでいる地方創生は、中心が空洞の「ドーナツ化現象」を引き起こしている、と筆者は語る。地域金融機関などと連携し地域経済の活性化策を研究・実践している野村総合研究所未来創発センター2030年研究室の齊藤義明室長が「未来の地域新事業を創る」と題し、寄稿。新事業の核となる可能性のある〝火の玉人材〟の交流・触発によって、新しい事業構想とそれを引っ張る経営チームを創り出す「イノベーション・プログラム」を紹介する。
【11月29日号】 現在、多くの学生が奨学金を利用しているが、子育て世代の大人は、奨学金制度の実態についてあまり理解していないことが日本生活協同組合連合会のアンケートで分かった。30歳代後半の回答者のうち「(先進諸国の中で)公的な給付型奨学金制度がないのは日本だけ」ということを知らない人が66.8%、「大学生の約半数が奨学金を利用している」ことを知らない人は65.9%に上った。
【12月2日号】 広島県府中町で昨年12月、中学3年の男子生徒が自殺した問題で、町教育委員会が設置した第三者委員会が報告書をまとめた。報告書は、男子生徒の学習や生活態度は良好だったが、事実と異なる非行の記録に基づいた学校の進路指導により、希望していた高校の受験を認められず、それが自殺のきっかけになったと結論付けた。
【11月29日号】 夏に相模原市で起きた障害者施設での殺傷事件は、「優生思想」が基になっているのではないか。それはまずナチスを連想させ、日本の近年の政治家からも類する発言があったが、実は後に英国首相を務めるチャーチルも内務大臣当時、1912年にロンドンで開催された第1回国際優生学会議の英国代表団団長を務めており、優生学の信奉者だった。その後優生思想は先進国を席巻し、現代は「医療・福祉コスト削減」のため「(障害者)発生予防」が目標とされていると、新潟県南魚沼市立ゆきぐに大和病院顧問の斎藤芳雄氏が巻頭言で警鐘を鳴らしている。
児童虐待が疑われ、保護者世帯が書面による出頭要請や任意立ち入りを拒否した場合に児童相談所が児童虐待防止法に基づき、裁判所の許可を受けて家の中に入る「臨検・捜索」(強制突入)。静岡県は虐待からの保護のためのその訓練を県警と合同で行った。今年度で5回目。家屋突入を許されているのは児童相談所のみのため、警察官は屋外で待機し、犯罪が起きそうな場合に限り警察官職務執行法によって突入する。訓練はシナリオなしのアドリブで行われ、静岡総局の片岡ひかる記者がリアルに報じた。
島根県雲南市で、20〜30代の若手看護師らが訪問看護ステーションを発足させ、今年3月には株式会社として独立化した。高齢化が進む、しかも行き来に時間がかかる中山間地域でのチャレンジ。松江支局の中川華凛記者が取材した。
【12月2日号】 元文部科学事務次官で現公益財団法人修養団理事長の御手洗康氏が、巻頭言で「『貧困』と向き合って」と題し、フィリピンのマニラのゴミ捨て場周辺で暮らす子どもたちと日本の青少年の交流活動について記している。日本でも問題となっている「子どもの貧困」。マニラのそこで暮らす子らの夢はまず「毎日の食事が心配なく食べられる」こと、次に「学校に行って勉強がしたい」ということ。それでも交流で訪れると、子と家族らはいつも笑顔で迎え、日本の青少年たちはまずそれに驚くという。
スマホを布団の中にまで持ち込んでゲームをしているようで心配―。保護者からの声をきっかけに大阪市淀川区は、子どもの睡眠習慣改善支援に向け「ヨドネル」事業に取り組んでいる。区内の小4から中2まで5000人余に尋ねたところ、平日の睡眠時間は小4で8時間55分、中2で7時間31分と、学年が上がるほど減少。LINEなどSNSの利用度が高ければ睡眠時間が減るという相関も見られた。大阪支社の岩嶋紀明記者が報じている。
「インタビュー・ルーム」には、高齢者が高齢者を支える仕組みづくりを進める鹿児島市長寿支援課長に応じていただいた。高齢者が住み慣れた地域で最期まで暮らし続けるには、医療、介護、行政関係者の連携が不可欠と説く。鹿児島支局・大利真之記者によるリポート。
【11月29日号】 「ニュース詳報」は、17年度税制改正に向けた動きを4ページにまとめた。財務省が終戦直後のシャウプ勧告以来の大改革として、配偶者控除廃止と「夫婦控除」創設をもくろんで根回しに動いたが、負担増となる層への配慮などから与党の足並みがそろわず、しぼんだ経緯も明かしている。「私の苦心」は鳥取市の債権管理課を紹介。収納率が低下していた国民健康保険料を12年度から市税と徴収一元化し、滞納整理のノウハウを活用した結果、15年度には国保特別会計に基金を積めるまで改善させた経緯を振り返っている。
【12月2日号】 「ニュース詳報」は、引き続き税制改正の動き。タワーマンションの高層階には固定資産税を厚くする方針が固まったことなどを報じた。ほかに11月の月例経済報告と、地方銀行協会が公表した地方経済天気図の概要も掲載。「私の苦心」は広島県の税務課を紹介している。
【11月28日号】 世界に「トランプ・ショック」が広がったが、欧州にとっても大きな衝撃だった。英国の欧州連合(EU)離脱問題に加えて新たに厄介な課題を突き付けられた形で、東京外語大の渡邊啓貴教授は解説記事の中で「EU加盟国の連帯と団結が不可欠」と強調。その上で「殻に閉じこもり、リーダーシップを回避してきた」ドイツの役割が大きくなると分析する。
【12月1日号】 人口が減れば経済も低迷すると考えがちだが、法政大大学院の小峰隆夫教授はそうした見方に反論。「人口減少ペシミズム(悲観論)」の問題点を指摘した上で「プロダクト・イノベーションに取り組むことが、人口減のマイナスの影響を打ち破る」として企業にハッパを掛ける。