【12月12日号】 さまざまな立場の識者が地域活性化を論じる「地方で稼ごう」で、経済産業省「ダイバーシティ経営企業100選」の立ち上げに関わった池田宇太子氏(EYアドバイザリー・マネージャー)が2度目の執筆。「残業なし」「出退勤自由」の究極的なワークシェアを追求している兵庫県のデータ入力会社、隙間時間がある主婦層の在宅ワークに着目した東京都の市場調査会社、働く場の少ない地方の女性を〝戦力〟とした山口県の給湯設備会社の事例を踏まえ、潜在労働力を「稼ぎ手」に変える地域経済浮揚策を提示する。
【12月15日号】 地域でできる地球温暖化対策を考える特集「地域エネルギーの持続的活用に向けて」(東京財団・平沼光研究員執筆)の(下)を掲載。国内での再エネ事業の成功事例として長野県飯田市と長崎県雲仙市小浜温泉を紹介する。飯田市は太陽光発電、小浜温泉は温泉バイナリー発電と種類は異なるが、いずれも自治体と市民の連携が成功のカギだったという。再エネ活用の地域内連携を創出する過程を、種子期、発芽期、成長期、結実期の4段階に分け、留意点を論じている。
【12月13日号】 日本教師教育学会が4日、「中教審答申で教師教育はどう変わるか?」をテーマとするシンポジウムを開催した。児童生徒の学習内容に比べて一般の注目を集めることは少ない教員養成の問題だが、中央教育審議会答申を受けて行われた教育公務員特例法等の一部改正により、17年4月から、教員養成や研修の仕組みが大きく変わる。その課題や問題点を指摘する声が相次いだシンポジウムの内容を紹介する。
【12月16日号】 日本教材文化研究財団が「家庭教育と親子関係に関する調査研究」の結果をまとめた。それによると、最近の子どもたちは規範意識が高い傾向が見られるという。ただし、「決められたルールは守る」などの「外的規範」は重視するものの、「自分で進んで学習できる」といった「内的規範」に対する意識はやや弱いことが分かった。調査結果を2回に分けて紹介する。
【12月13日号】 世の出来事や人様の仕事を「客観的に」報じるのが記者の仕事と漠然と思いきや、医療分野について、その報じぶりを医療当事者や第三者の視点で検証し、報道の質の向上、さらに私見では恐らく医療そのものへのフィードバックを図る活動があると教わった。2004年に豪州で始まったという「メディアドクター」の試み。11月末に東京都内であったそのフォーラムを、三浦直美編集委員が捉えている。
同号では、いわゆる「地域猫」への対応アプリ、介護現場での排せつケアのための市と企業との連携した取り組み、認知症の家族の介護者を中心とする「ケアラーズカフェ」のそれぞれについて、千葉支局馬場美都子と横浜総局佐々木崇之の両記者、立川支局清水達也局付が報じた。地域猫はそこかしこにおり、また、排せつケアは介護の中でも最も大変と言われる。カフェでは夫を自宅で介護しながら当人からなじられていた女性が「少しでも知識が欲しい。こういう会はとてもいいと思う」と感極まり打ち明けたという。現場での取材には迫真力がある。
【12月13日号】 17年度与党税制改正大綱がまとまったのを受け、「ニュース詳報」で概要を報じた。「資料」は、地方行財政調査会がまとめた10月末現在の各都道府県税徴収実績。国の16年度税収は1.9兆円下方修正される見込みだが、地方税の調停額は前年度比0.2%増で推移しており、ほぼ順調。ただ、平均5.4%増を見込んだ予算現額を確保できるかどうかは自治体によってバラツキがありそうだ。「私の苦心」は、札幌国税局の酒税課を紹介した。
【12月16日号】 税制改正大綱についてポイント解説を掲載するとともに、「ニュース詳報」で配偶者控除見直しが当初言われた抜本改正ではなく、小手先の修正にとどまった背景を探った。また、金融庁が検討している上場企業の新たな情報開示ルールの骨子なども取り上げた。「私の苦心」では、東京都武蔵野市の納税課長が経済指標の活用方法を伝授。滞納者の給与差し押さえについて、数年前は差し押さえることが本人の退職に直結してしまったが、人手不足状態の今なら差し押さえやすくなった。その意味で、失業率が注目されると述べている。
【12月12日号】 米国のトランプ次期大統領が環太平洋連携協定(TPP)からの離脱方針を表明し、日本政府は対応に苦慮しているが、キヤノングローバル戦略研究所の山下一仁研究主幹が離脱を逆手に取った戦略を提案する。米国抜きの新TPPの締結だ。そうすれば、米国は日本の農産物市場をカナダやオーストラリアなどに奪われてしまう。慌てた米国がひれ伏してくれば、日本車への関税の即時撤廃などを条件に、新TPPへの参加を促せばよいとの筋立てだ。
【12月15日号】 中国でこのところ、「産業政策」の是非をめぐり論争が起きているという。精華大学・野村総研中国研究センターの松野豊副センター長が、かつての日本の産業政策と照らし合わせながら中国の進むべき方向について解説。中国が持続的経済成長を果たすためには、産業構造の転換が必要であるとして、産業界の自立促進、企業主導の技術イノベーションなど四つの取り組みを提言する。