【1月5日号】 2014年の「まち・ひと・しごと創生総合戦略」発表から始まった、国挙げた「地方創生」も今年で4年目。新年最初の特集として日本総合研究所上席主任研究員・藤波匠氏の「地方創生の成否は地域住民の取り組み次第」を掲載した。各地の地方創生施策について「中には一過性の誘導策に終始し、目先の『数』の確保に走っていると見られるものもある」とする藤波氏。現状で東京圏への転入超過を引き起こしている若い世代10万人を奪い合うより、すでに地方で暮らしている80万人の若者を、富を生み出す主役として活(い)かす地域社会変革を訴える。
【1月6日号】 「デュアルスクール」という制度の構築を徳島県が進めている。都市と地方の2地域に居住拠点を構える新しい暮らし方に対応し、子どもが県内に数週間から数カ月の短期滞在を繰り返すごとに、地域の学校で受け入れようという取り組みだ。昨年10月には2週間限定で東京から引っ越す初の事例が実現。県教委は、将来的に転校手続きを省いて柔軟に通学できる仕組みを目指す。初めてのデュアルスクール実践の様子をリポートする。
【1月6日号】 待機児童をどう解消するか。施設整備と同様に、保育人材の確保が鍵を握ることは論を待たない。京都総局の松岡一弘記者は、保育人材に「キャリアパス」を導入しようとの京都府の動きを解説した。キャリアパスとは新人、一般職員、主任、園長などの職位ごとに、業務内容や求められる能力と資格、必要な研修、経験年数などを整理し、各職位に等級を付けてそれぞれのキャリアアップを認証する仕組みらしい。多くの企業で行われる人事評定を特定の職域全体に広げるようにも見え、賛否両論はあると思われる。だが導入により▽府の保育士間では職位が上がるにつれ責任が重くなり、処遇も良くなることが期待される▽子育てなどの理由でいったん退職した保育士が別の施設に復職した場合、処遇が下がってしまうケースもあるが、キャリアパスを導入して府内各園に普及させられればそれを防ぎ、再就職を後押しできる▽保育人材が将来のステップアップを考えるきっかけになり、ベテラン職員をしっかり評価することで長く働く条件をつくり、学生が就職先を選ぶ際の参考にもなる―とみて、府は2017年度にモデル案と導入方法をまとめ、国に対しても全国への普及を求めていくという。単に「保育人材確保」を唱えるのではなく、明らかにネックとなっている「処遇」の改善につなげようとする自治体の側からの試みとは言えそうだ。
【1月6日号】 「ニュース詳報」は17年度政府予算案を特集。予算規模や税収見通し、経済成長予測など多角的に分析。併せて、地方財政計画について4ページの資料付きで解説した。それにしても、昨年6月に安倍首相が消費税増税の2年半先送りを表明して以降、それでいいのかという検証論議は聞かれず、自民党税制調査会の存在感が一層薄まるばかり。税制を「鶴の一声」で決めるようになってしまったのはいかがなものかと、片山善博慶大教授が新春論文で説いている。他に、景況判断を1年9カ月ぶりに引き上げた12月の月例経済報告などを報じた。「私の苦心」は静岡県の下田財務事務所を紹介。伊豆半島南部の1市5町による地方税債権回収の取り組みの成果を説明している。
【1月5日号】 1月20日にドナルド・トランプ氏がいよいよ米国大統領に就任する。みずほ総合研究所の安井明彦欧米調査部長は「理念なき大統領が誕生する」として、どのような政策を打ち出すのか、先行きを読むのは難しいと指摘。トランプ氏の政策はレーガン大統領の経済政策「レーガノミクス」と共通性があるともいわれるが、政策を貫く理念は見当たらないと手厳しい。そこにあるのは「最善のディール(取引)を手に入れる」というディール至上主義であるとして、経済運営の勘所を見極めるには時間がかかると主張する。「News Eye」を計5本掲載し、それぞれ日米欧の今年の金融政策などを見通した。このうち「トランプ政権、ウォール街に追い風」では、トランプ相場に沸く米金融機関の反応を取り上げた。大幅な金融規制緩和方針を掲げるトランプ氏への期待が高まる一方、様子見姿勢もあり、やはり具体的な政策が打ち出されるまでは安心できないようだ。