【2月27日号】 内閣府は1月31日、災害時の住民避難など対応をまとめた「避難勧告等に関するガイドライン」の改訂版を公表した。昨年8月の台風10号の際、岩手県岩泉町の高齢者施設で多数の入所者の避難が遅れて死亡したことを受け、従来の「避難準備情報」は「避難準備・高齢者等避難開始」に変更された。この改訂作業に有識者検討会の委員として関わった鍵屋一跡見学園女子大教授が、本号から3回連続で改訂ポイントを解説する。
【3月2日号】 慶応大の玉村雅敏教授の研究室が中心となって執筆する「自治体経営の生産性改革」が、鳥取県を取り上げた。人口が最も少ないものの、多様な主体による連携・協力体制が構築しやすい特性を有し、全国初の手話言語条例をはじめ先駆的な取り組みが多い鳥取県。同研究室は、多様な主体の「つながり」によって成り立つソーシャル・キャピタル(社会関係資本)の豊かさに着目し、同県を舞台に地域活動の活発化に結び付く「つながりの豊かさ」の可視化プロジェクトを推進中という。
【2月28日号】 国立教育政策研究所は、不登校やいじめの未然防止に向けた「魅力ある学校づくり調査研究事業」(第3期、2014〜15年度)の報告書をまとめた。それによると、各学校で取り組みを進める際、「PDCAサイクル」を年に3回繰り返すと、個々の教員の思い込みや認識のずれが修正され、共通理解によって実践が進むことから効果が高まると分かった。同研究所は「これまで学校で大切にしてきた取り組みを計画的・継続的に点検・見直しをするだけで大きな効果がある」としている。
【3月3日号】 文部科学省は、中学3年生6万人を対象に実施した2016年度「英語教育改善のための英語力調査」の結果(速報)を公表した。読む、聞く、書く、話す──の4技能のうち、政府が目標としている「50%の生徒が英検3級程度以上」を達成したのは「書くこと」だけだった。また、「話すこと」については各学校の教員が対面による会話で採点したが、同省は正しい評価よりも高めの点を付ける傾向がある、などと主張。19年度から全国学力・学習状況調査の一環として実施する3年に1回程度の調査では、民間業者に採点させる方針を示している。
【2月28日号】 毎週火曜掲載の京極高宣氏による「社会福祉法人の経営戦略」は、特別養護老人ホームや病院などのサービス管理の上で、ベッドの利用率が最も基本的な数値目標になると指摘している。100床の特養でベッドが80床しか利用されていなければ、得るべき収入も80%にとどまる。他方で入居希望が多いにもかかわらず待機者に20%の空きベッドを提供できないとすれば、社会資源の無駄づかいを放置することになる、と説く。だが入所者が急病で入院したり、死亡したりするなどの原因で現実には100%は不可能で、より近い目標値の設定が必要という。社会福祉法人、さらには医療法人の経営の現実が伝わる。
【3月3日号】 巻頭言「打診」で、NPO法人会長の藤堂栄子氏が、2016年4月の障害者差別解消法施行に伴い広まりつつある、障害者への「合理的な配慮」という同法の文言を取り上げた。何がそれに当たるかの基準がはっきりしないため、現場(筆者注:企業、学校、役所など?)では戸惑いが生じているという。一人ひとりのニーズに合った、本人の本来の力が発揮できるような調整が社会全体で行われていくことで、より豊かな社会になることは目に見えている、という結語部分の言葉には考えさせられるものがある。
【2月28日号】 「税制改正と今後の展望」の第3回は都道府県税関係。都道府県間の清算基準が変更された地方消費税をはじめ、ゴルフ場利用税、軽油引取税について解説している。「ニュース詳報」はふるさと納税で、千葉県勝浦市が導入した返礼割合が7割に及ぶ地域商品券が問題視されて廃止が決まったことに併せ、総務省が返礼割合の上限を示すなどの改善策を検討していることを報じた。地方銀行協会がまとめた2月の地方経済天気図では景況判断DIが約3年ぶりに60台乗せし、個人消費は芳しくないものの、経済の好転を感じさせる。「私の苦心」では、山形県酒田市の税理士が中小企業の概念が法律によって異なるための苦労を語っている。他に、「事例で読み解く滞納整理 第7回」などを掲載している。
【2月27日号】 「巻頭言」は損保ジャパン日本興亜の中川洋顧問執筆の「人口減少VSイノベーション」。最近、人口が減ってもイノベーションでカバーできるとの主張が注目されているが、「人口減少の負荷に打ち勝つほどのイノベーションのうねりが果たして到来するのだろうか」と疑問を投げ掛ける。日本には、イノベーションに不可欠なアニマルスピリットが育ちにくいとして、成長力低下に備えた改革の必要性を説く。
【3月2日号】 内閣府が1月に発表した「中長期の経済財政に関する試算」は、経済成長見通しが楽観的過ぎるとの指摘をよく耳にする。一橋大経済研究所の小塩隆士教授はこの試算を取り上げ、楽観的見通しを前提に財政・社会保障政策に当たると「改革への取り組みにブレーキを掛ける」と批判。高めの成長見通しをはじき出したカラクリを紹介するとともに、経済企画庁OBらしく、内閣府がそのような見通しを出さざるを得なかった裏事情も解説する。