【6月8日号】 昨年5月26、27両日の伊勢志摩サミット(主要国首脳会議)から1年が経過した。開催地の三重県では、そのレガシーを持続的発展につなげる「ポストサミット」の活動が展開されている。伊勢志摩サミット三重県民会議事務局の担当者が、サミットの総括とその後の県民運動について寄稿。歴史的なイベントを足掛かりに、MICE(国際会議)誘致やインバウンド(訪日外国人旅行者)の取り込みでさらなる発展を期する三重県の意気込みを伝えている。
【6月6日号】 2016年度に兵庫県内の小中高校などで実施された学校歯科検診で、虫歯が見つかるなど「要受診」と診断された児童生徒のうち、医療機関を受診していなかった子どもの割合が65%だったことが、県保険医協会の調査で分かった。虫歯が10本以上あるなど「口腔(こうくう)崩壊」状態とされる児童生徒がいる学校の割合も35%に上った。未治療の子どもがいる世帯では経済的困難を抱える現状があり、同協会は「かなり深刻な状況」と警鐘を鳴らしている。
【6月9日号】 シリーズでお伝えしてきた全国連合小学校長会の研究紀要シリーズの5回目(最終回)は教員養成や免許更新制などについて全国の小学校長に聞いたアンケートの結果を紹介。免許の更新講習について聞いたところ、講習内容として取り上げてほしい内容として「学校内外での危機管理能力」を挙げた校長が43%(複数回答)いたのに対し、講習の修了者がこの能力を身につけていると答えたのはわずか7%。校長の希望と講習内容のギャップが明らかになった。
【6月6日号】 「巻頭言」は、岐阜医療科学大名誉教授の阿部順子氏が「がんの当事者になって」と題して、自身の体に難治性のがんが見つかってからの心情をつづった。多くの人たちからの励ましの言葉が「安易な気休めのようで、押しつけがましく感じられた」ときもあり、「右往左往せずに治療・生活が送れるようになったのは3カ月が過ぎた後のことである」と胸の内を吐露した。
福祉や医療、環境などに関する出来事をベテラン記者が論評する「スコープ」は、先月26日に成立した改正介護保険関連法を取り上げた。2年前の見直しに続く自己負担割合の引き上げを「急場しのぎの感」と批判しつつ、いずれ「公費の割合を高くするなど抜本的な見直し」が必要になるだろうと見通している。
【6月9日号】 東京医療保健大の山西文子氏は「巻頭言」で、がんに関する病院と研究所の視察で訪米し、施設のスケールの大きさに驚き、研究に対する支援に目を見張ったことを紹介。「豊かな資金は人を豊かにし、研究では豊かな発想や視点に立った成果が出る」と指摘し、「先進国であるわが国は恥ずかしくない支援をすべき」と訴える。
国内外の政策などに対する厚労省の生の声を伝える「トピックス」。認可保育所に入れない待機児童の解消を目指す政府の新プランについて、同省幹部が本音を明かす。特に、プランの実行には安定財源が必要になるが、今のところ明確な答えがあるわけではなく、この幹部は「財源確保が一番頭の痛い問題……」とつぶやいていたという。
【6月6日号】 「ニュース詳報」は2本立てで、まず金銭貸借や物品売買など契約に関するルールを定めた債権規定を、インターネット時代に対応して抜本的に見直した改正民法の成立を報じた。もう1本は、イタリアで開かれたG7サミットとその後の動向をまとめた。「都道府県・政令市の税収見通し」の第20回は秋田県、三重県、香川県を掲載。「私の苦心」には、預金保険機構でバブル後の不良債権処理に当たった経験を持つ長野税務署長が登壇。変化の激しい時代の債権回収や財産調査では、縦割り体制ではなく、さまざまな分野の専門知識を持つ人たちとの横のつながりを活用すべきだと説いている。
【6月9日号】 「税制・税務」面では、19年秋から予定する地方税の電子納税システム導入について、法人事業税など企業関連税目から優先的に進める方向で検討されていることなどを報じた。「社説を読む」では、「こども保険」構想に関する主要紙社説を点検。評価や期待を示す論調が多いが、産経が「増税でやるよりも国民の反発をかわしやすい、といった発想が見え隠れする」とかみついた上で、「(育児支援の財源は)国政の最優先課題として、税財源で予算を確保するのが本道」と正論を唱えたことに注目したい。地方自治体の税収見通しは岩手県、福井県、仙台市を掲載。「私の苦心」では大阪市の収税課長が、16年度から導入された納税猶予制度をめぐり、適切に滞納整理につなげるノウハウを説いている。
【6月5日号】 大規模な金融緩和を正常化させる「出口戦略」について、日銀の黒田東彦総裁は4月下旬の記者会見で「今から具体的に話せば市場に混乱をもたらすため、時期尚早」と述べている。しかし、金融関係者の間では、その在り方をめぐる議論がかまびすしい。日本総合研究所の河村小百合上席主任研究員は「最も重要なのは、これほどまでに大規模に拡大させてしまった(日銀)自らのバランスシートを、将来的に正常化させる意思があるのかどうかを明確にすることであろう」と指摘。大量の国債購入で、日銀の資産は500兆円を突破しており、自らの財務運営への影響も丁寧に説明すべきだと主張する。
「Vox Femina」では、名古屋商科大の大槻奈那教授が高等教育の無償化問題を取り上げた。「高等教育がタダで提供されるようになったら、学生の側にも学ぶことのありがたみが実感しにくくなる」と批判。その上で、給付型の奨学金を今より格段に充実させる必要があると主張する。