【7月10日号】 月曜連載「危機管理概念の拡大と自治体政策」がスタートした。筆者は、東京都副知事(危機管理、防災、都市構造、財政等を担当)を経て学者に転身した青山佾・明治大公共政策大学院教授。テロや自然災害など突発的な危機に対し、地方自治体がいかに日常の政策の中で対処の範囲を広げていくべきかを、歴史をひもときながら論じる。5回連載。
【7月13日号】 東京都民は都議選の投票行動で、それまで第1党だった自民党を惨敗させ、設立から日が浅い地域政党「都民ファーストの会」に議会の主導権を与える選択をした。しかし、そうした投票行動以外に政治を変える手段はないのだろうか。未来工学研究所の中村美千代研究員が「お任せ民主主義からの脱却」と題して本誌に寄稿。インターネットを駆使した直接民主制や予算決定プロセスを模索する米国の研究事例を紹介する。
【7月11日号】 今年3月、文部科学省の「いじめ防止等のための基本的な方針」が改訂され、これに伴い「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」が策定された。こうした動きを受け、日本女子大学教職教育開発センターがこのほどワークショップを開催した。その模様を詳しく紹介する。
【7月14日号】 ドイツでは9月に総選挙が予定されている。知的障害がある有権者にとっても、選挙権を行使する貴重な機会だが、知的障害者には、選挙の仕組みや政党の公約についての理解しやすい情報が少ない。こうした課題に対処しようと、独北部のハノーバー大学は毎年、自己決定をテーマに知的障害者と学生が共に学ぶ講座を開き、知的障害者が情報にアクセスできる場を提供してきた。講座で議論した内容は分かりやすい言葉で冊子にまとめ、広く障害者が入手し、学べる仕組みも確立した。6月2日行われた同大の講座の模様を紹介する。
【7月11日号】 巻頭言は、「スリーA予防デイサービス折り梅」所長の増田末知子氏が認知症患者を抱える「家族のさみしさ」をつづった。認知症の方は言葉で訴えることができない。家族は状態を聞き出すこともできない。先の予測ができないので、家族は不安にさいなまれる。筆者は「その瞬間だけでも不安を打ち消すことができれば」と願って、家族に「定期電話」を入れている。
「アクセシブルデザインの世界」の30回目は「障害者専用の床屋さん」。それは、全国障害者総合福祉センター(東京都新宿区)の地下1階にある。茂木充子さんが「経験はないけれど、重要な仕事と思った」と引き受けたのは、今から32年前のこと。以来、茂木さんは毎日毎日、異なる障害のある多くの人の髪を切り、髭>を剃り、整え続けている。
【7月14日号】 巻頭言は、国際医療福祉大学総長の矢崎義雄氏による「いま注目される薬剤耐性対策」。医療が高度化・複雑化するに伴って、医療機関では多剤耐性の緑膿菌などが感染症の原因菌として広がりつつあり、大きな脅威になっている。最近では医療機関外においても薬剤耐性菌の感染症が増加しており、薬剤耐性対策は国全体として取り組むべき課題になっていると指摘する。
厚生労働省内の生の声や動きを伝える「TOPICS」の一コマは、通常国会明け幹部人事の内幕。省内外の事情通の間では「次期次官は旧労働省出身者が就くのではないか」との事前予想も出ていたが、結果は旧厚生省出身が2代続くことに。通常国会での成立を目指していた、たばこの受動喫煙対策を強化する健康増進法改正案が、自民党との意見対立で提出すらできなかったことが、幹部人事にも影響したとか。
【7月11日号】 ニュース詳報は3本立てで、まず国の一般会計決算概要がまとまり、税収が7年ぶりに前年度割れしたことを資料付きで報じた。当初見込み比では2兆円強の下振れとなった。このほか、大企業製造業の指数がプラス17と3年3カ月ぶりの高水準に改善した6月の日銀短観、住民基本台帳に基づく17年1月の人口統計について報告している。「私の苦心」は福岡市でコンサルタント業務も兼務する税理士が登壇。退職金引当金は企業会計では損金扱いされるが、税金計算上は損金とはならない。企業買収における「のれん」でも、減価償却するかどうかは会計方法で変わる。「正しい答えがたくさんある」という悩ましい課題を披露している。
【7月14日号】 日欧EPAで大枠合意がまとまったことについて、ニュース詳報で4ページを割いて報じた。孤立主義に走る米国へのけん制になるとの期待もあるが、日欧はあくまでまだ大枠合意。12年に欧州議会で否決された日欧偽造品取引防止協定(ACTA)の例もあり、油断は禁物とくぎも刺している。「私の苦心」は札幌市の納税指導課を紹介している。
【7月10日号】 少子高齢化に歯止めがかからないが、小塩隆士一橋大学経済研究所教授はその対策として「『支える』人を増やす政策を」と訴える。少子高齢化で社会保障制度の改革が急がれるが、増税や社会保険料の引き上げだけでは問題は解決しないと主張。高齢層の働き方の見直しを通じて、「支えられる」人をできるだけ「支える」側に回すことが求められるとしている。
【7月13日号】 神奈川大学の田中弘名誉教授によると、ある試算では、マクドナルドの「ビッグマック」の本当の値段は、1個200ドルになるという。しかし、実際には100分の1の値段で売られている。そのからくりは、ドライブスルーの二酸化炭素排出のコストや、糖尿病や心臓病といった健康への多大な影響が考慮されていないからだという。しかし、これらの費用は誰かが負担しなければならない。田中名誉教授は、企業はこうした問題をほったらかしにしているとして「利益は私有化、損失は社会化」と手厳しい。会計の専門家である筆者自身も「今の会計は企業の生産・販売活動に伴って発生した環境破壊・大気汚染・健康被害などの予防と回復にかかるコストは、無視してきた」と自戒。損なわれる自然環境を回復するのに必要なコストを費用として損益計算書に載せるなど、大胆な改革が必要と訴える。