早読み行政誌

米貿易政策、経済の基本からあまりに乖離(かいり)―小峰・大正大教授(8月7日―8・15日合併号)

地方行政

【8月7日号】 苦情・クレーム対応アドバイザー関根眞一氏の「役所の苦情危機管理術」が、ゲリラ豪雨にまつわる苦情対応の事例を紹介した。夏休み、某市の人気イベントでゲリラ豪雨発生。その翌日役所に、「風邪引いた」「濡れた服のクリーニング代を」と50件近くの苦情が殺到した……。そんなケースでも、その場しのぎの約束はNG。全員に払ったら予算がオーバーすることなどをきちんと説明し理解を求める、毅然とした態度が必要だと関根氏は強調する。苦情を言ってきた人だけなく、その背後の何倍もの人を含めた市民全体の奉仕者だという自覚と責任が、市職員には求められている。

【8月10日号】 総務省がこのほど発表した普通交付税の配分額は、道府県分が前年度比3.6%減の8兆2524億円、市町村分が0.6%減の7兆977億円。全体で2.2%減となる中で、道府県分と市町村分で減少率に差がついたのは、道府県から政令市への教職員給与負担事務移譲などが要因という。時事通信総務省記者クラブキャップが、交付団体にとって気になる算定のポイントについて詳述した。

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内外教育

【8月8・15日合併号】 文部科学省が公表した小中学校の次期学習指導要領の「解説」を紹介するシリーズは、前号に引き続き「総則編」の内容を取り上げる。次期指導要領の総則では、障害のある児童生徒や海外から帰国した児童生徒、不登校の児童生徒などへの対応について、項目を新設したり、記述を大幅に増やしたりして内容の充実を図った。これを受けて指導要領解説総則編では、通常の学級にも特別の支援を必要とする児童生徒が在籍している可能性があることを前提に、「全ての教職員が特別支援教育の目的や意義について十分に理解することが不可欠」だと明記。個々の児童生徒が持つ障害などの状況に応じた対応の手順や留意点などについて、それぞれ説明を加えている。

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厚生福祉

【8月8・15日合併号】 巻頭言は、元駐スウェーデン大使・渡邉芳樹氏の「スウェーデンの医療と国民性」。スウェーデンの医療は欧米11カ国の中で第3位という評価で、患者負担、公平性、効率性、健康寿命の指標では良くても、アクセス、効果、連携、患者中心度では大いに劣っている。決して患者に優しい医療ではないという。なぜそうなのか? その基本的な疑問に筆者が答えている。
 まだ安全に食べられるのに廃棄される食品を企業や個人から無償で提供してもらい、生活困窮世帯などに配布する「フードバンク」。群馬県太田市は、市直営の「フードバンクおおた」を開設し、食事に困っている人への食品配布を続けている。「インタビュールーム」は、その中心的な役割を担う田端洋司・太田市社会支援課長(59)に焦点を当てた。

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税務経理

【8月8・15日合併号】 ニュース詳報は、先に総務省がまとめたふるさと納税の16年度実績を報じた。高額な返礼競争を抑制するため自粛を求める通知を出した総務省に対し、順応と反発に分かれる自治体の反応も追っている。都道府県・政令市の16年度税収決算見込みの第5回は、相模原市と名古屋市を掲載。名古屋市の徴収率は99.4%で、政令市の中で5年連続首位となりそうだ。「私の苦心」では、東京都狛江市の納税課を紹介。緊張感とリフレッシュできる空気を維持するために導入している下克上ありの「班長」制度と、成績優秀だった人に置き物の「金の招き猫」がついて回る仕組みが興味深い。

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金融財政ビジネス

【8月7日号】 中国の民主活動家でノーベル平和賞受賞者の劉暁波氏が7月に亡くなった。北海道大大学院の西本紫乃研究員寄稿の「劉暁波死去と世論の現実」は、劉氏の死去が中国共産党や世論に与える影響を解説した。当局が次々に削除したものの、ネット上では劉氏の死去を悼むコメントが相次ぎ発信された。こうしたコメントは「公共知識人」と呼ばれるオピニオンリーダーたちが発信しているという。以前は世論形成に大きな影響力があったが、習近平政権のイデオロギー統制で次第に力を失う。公共知識人の地位は失墜し、人々の批判の矛先がいつの間にか共産党から彼らへと転換したという。言論統制は厳しさを増しており、劉氏の死去が共産党独裁の足元を揺るがす火種にはならないと予想する。

【8月10日号】 大正大の小峰隆夫教授がトランプ米政権の貿易政策を解説した。小峰教授はその政策について、経済の基本からあまりに乖離(かいり)していると批判。「輸入は雇用を減らさない」「多国間貿易交渉は重要」などと主張し、トランプ政権の五つの誤った認識を指摘する。三菱UFJリサーチ&コンサルティングの土田陽介研究員が、選挙イヤーとなった今年の欧州の政治情勢を報告した。現状は「既存の中道政治の退潮が着実に進んでいる」とする一方「急進政治も未成熟なため、中道政治の前では有力な対抗馬にはなり得ない状況にある」と分析。今後は中道と急進のせめぎ合いが続くと見通すが、戦前のドイツにおけるナチ党の躍進のように、急進勢力が勢いを増す展開を懸念する。

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