【9月25日号】 内閣府参与岡本全勝氏の月曜連載「明るい公務員講座(中級編)」で、パソコンが生む時間の無駄について論述している。玉石混交で読んでみないと内容が分からないメールに仕事を中断されないためには、▽むやみに送らない▽表題を工夫する──という送り手の工夫が必要。受け取る側も、例えば1時間おきに見るなどの自制が必要だとし、パソコン画面を四六時中見続ける勤務の在り方に疑問を呈する。ウェブの閲覧も、週刊誌やスポーツ新聞を広げるより格段に罪悪感が低い「時間泥棒」と問題視し、「パソコンの使い方についてルールを導入し、職員に指導することは、職場管理の大きな課題」と指摘した。
【9月28日号】 地域再生プランナー久繁哲之介氏の木曜連載「働き方と、意識を改革せよ」は、独自の視点で、役所で人材育成が進みにくい理由を考察した。久繁氏は、役所では上司が部下に名刺交換などの基本作法さえ指導せず、若い公務員は上司から最高の応援を引き出す人間性の指導も受けていない、と指摘。一方で、上司から最高の応援を引き出す人間性こそ、市民から最高の応援を引き出す協働の原動力になると訴え、公務員が自ら人間性を磨く自学自習の大切さを訴えた。
【9月26日号】 奈須正裕上智大学教授による新連載「新学習指導要領と授業づくり」がスタートした(月1回連載)。新指導要領は、「主体的・対話的で深い学び」や「各教科等の特質に応じた見方・考え方」といった新たな表現が登場。「理念的には何となく分かるが、具体的に何をどうすればいいのか。そこがもう一つ分からない、イメージが湧かない」という人は少なくない。中央教育審議会で、教育課程部会教育課程企画特別部会などの委員を務めた今次改訂のキーマンが、毎回具体的な授業の場面や子どもの姿を紹介し、そこから新学習指導要領の理念を実現する教育方法の在り方について、また、それを基礎づける子どもの学びのメカニズムについて解説する。
【9月29日号】 第32回時事通信社「教育奨励賞」の受賞校が決まった。優秀賞は、神戸市立御影幼稚園と大阪府立堺工科高等学校定時制課程の2校で、御影幼稚園には併せて文部科学大臣奨励賞も授与する。教育の今日的課題に積極的に対応し情報通信技術(ICT)などの活用で成果を挙げている学校に授与する特別賞は、長崎市立西坂小学校、高島小学校に贈る。また、神奈川県寒川町立寒川中学校、新潟県長岡市立上通小学校、愛知県立加茂丘高等学校、京都市立洛央小学校の4校に優良賞を、24件25校に努力賞を授与する。本号では、優秀賞と特別賞の取り組みを紹介する。
【9月26日号】 巻頭言は、元スウェーデン大使の渡邉芳樹氏による「新しい福祉モデルの示唆」。10月21日から仏ナント市で、障害者の文化芸術国際交流事業「ジャパン×ナントプロジェクト」が開催される。日本からは、生の芸術といわれるアール・ブリュット作品約1000点が送られ、「KOMOREBI(こもれび)展」として展示されるという。筆者は、今日ではアール・ブリュットが対象者本人の芸術作品として評価されており、そこには「福祉と芸術のシームレスな協働関係が生まれている」と指摘する。
障害者自立支援法の施行により就労継続支援・就労移行支援サービスが始まって11年。障害者にとって仕事は、稼ぐ力を身に付け自立した生活を送るために必要なものであり、社会と関わり自分の存在意義を確かめる生きがいにもなっている。同サービスを利用してレストランと農業現場で働く障害者らは、食に関わる仕事に大きな手応えを感じていた。特集記事で詳しく紹介する。
【9月29日号】 巻頭言は北海道芽室町・宮西義憲氏による「二つの勇気」。昨年8月、台風10号などの連続した豪雨で主要河川が決壊し、同町は「まさに未曾有の大災害」となった。誰も経験したことのないこの被害から立ち上がるとき、貴重な「二つの勇気」が寄せられた。一つは、農業者の「祖父や父が年数をかけて造りあげた大地を、私の代で駄目にするわけにはいかない!」という悲痛な叫び。二つ目は、「全国から同町に馳せ参じてくれた、災害に高い対応力を持った自治体職員の存在と勇気」だった。
特集は「障害者就労支援でラン栽培」。NPO法人「AlonAlon」(那部智史理事長)は、千葉県富津市で国内初のコチョウラン栽培を事業内容とする障害者の就労継続支援B型事業所を開設し、お披露目会を開いた。事業では、コチョウランの苗のオーナーを募集して、オーナーからの寄付金で苗を購入。知的障害者らが半年かけてコチョウランを栽培し、企業に販売して障害者の収入に充てる。那部理事長は「新しい花の買い方を提案したい」と呼び掛けている。
【9月29日号】 ニュース詳報は3本立て。安倍首相が25日に記者会見し、28日召集の臨時国会冒頭で衆議院を解散し、総選挙を実施すると表明したことを報じた。首相は19年10月に予定される消費税増税による増収分の使途を変更し、社会福祉を「全世代型」にする方針について信を問うとしたが、20年度の財政健全化目標は先送りする。官邸主導の選挙公約づくりに党内から不満が出ていることや、地方財政に影響が出かねないことも併せて伝えた。ほかに、長期金利を0%位程度に誘導する日銀の新金融政策導入から1年がたち、政策効果は見当たらないことや、7月1日時点の基準地価を取り上げた。都道府県・政令市の16年度税収決算見込みの第16回は、北海道、兵庫県、島根県、鹿児島県を掲載した。「私の苦心」は、川崎市収納対策課を紹介。収納強化担当課長が登壇し、3年計画で取り組んだ収入率98.5%の目標を1年前倒しで実現できた成果の背景などを説明している。
【9月25日号】 「News Eye」では、金融庁の組織改革を取り上げた。同庁の象徴的存在である検査局をなくし、検査官らを監督局などに移すのがポイント。処分権限をちらつかせるのではなく、対話によって銀行などを「育成」する金融行政に転換するのが狙いだとしている。「経済東奔西走」によると「民泊」の普及により、フランスやスペインなど欧州の一部都市で住宅難の問題が深刻化している。富裕層がアパートを購入し、賃貸よりも収益性が高い民泊用の物件として運用するケースが増えているためで、わが国にとっても今後本格的に導入する上で参考になりそうだ。
【9月28日号】 「巻頭言」は、門間一夫みずほ総合研究所エグゼクティブエコノミストによる「『名目』の方が実感に近いという誤解」。国内総生産(GDP)統計を報道する際、メディアは「生活実感に近い名目で見ると」という表現をよく使うが、違和感があり正反対だ、と主張する。生活水準をより正確に評価できるように物価変動を調整した数字が「実質値」であるとして、こうした誤解が定着した背景には「名実逆転」の恒常化があると説く。「名目の方が生活実感に近い」という誤解が「デフレが諸悪の根源であり、まず物価を上げなければ経済はよくならない」という誤った理解を招いたとしている。