【2月19日号】 「TPP(環太平洋連携協定)が発効したら、日本の地方自治体も地域経済もコミュニティーも弱体化する、と言わざるを得ない」と筆者は指摘する。規制緩和の名の下、水道、郵便、教育、交通など広範囲に外資が参入したら地方自治体はどうなるのか。米国抜きのTPP11の署名が間近に迫る中、これまであまり論じられていなかった地方自治とTPPの関係をテーマに、ジャーナリストで北海道大客員教授の久田徳二氏が寄稿した。
【2月22日号】 関東学院大准教授・牧瀬稔氏がメインで執筆する木曜連載「議員提案政策条例の現状・課題・展望」は今回が最終回。牧瀬氏が地方議会の底上げに向け条例制定以外の改革案に言及した。例えば、執行機関への立ち入り調査権。「執行機関の活動に怪しい点がある場合は、権能として議会が執行機関に乗り込んでいくのはどうだろうか」と提案。また、「執行機関への監視機能と議会の政策創出を強化するため」の調査・研究部門〝議会シンクタンク〟の必要性にも踏み込んだ。
【2月20日号】 東京大学の高大接続研究開発センターは10日、シンポジウム「大学入学者選抜における英語試験のあり方をめぐって」を開催した。開会あいさつした石井洋二郎東大副学長は「教育担当の副学長会議に参加していても、高大接続改革に対して十分に納得して事が進んでいる感じではない」と国立大学全体の雰囲気を紹介。昨年11月に行われた英語を除く共通テストのプレテスト(試行調査)の記述式問題についても「問題そのものは、よく工夫されている」としながらも「問われているのは一定の条件下での情報整理能力や想定される正解の発見能力であり、決して本物の思考力・表現力ではない」と批判。「一番影響を受ける高校生たちが無用に迷ったり負担を被ったりすることのないよう、実りある改革を切に願っている」と苦言を呈した。
【2月23日号】 日本高等学校教職員組合(日高教・麹町派)は、傘下単組の組合員などに聞いた生活実態や処遇改善に関する意識調査の結果をまとめ公表した。公立高校教員の働き方改革で最重要視する事柄として「時間外勤務の縮減」を挙げる者39%に対し、「給与総額の増加」(35%)はわずかに下回り、また働き方改革の施策を有効に行うのに必要な事柄としては「教職人定数の改善」(33%)が「給与・処遇改善」(20%)を超える結果だった。部活動の今後に関しては「社会体育に位置づけるべき」(52%)が過半数だったものの、「現状維持」(30%)、「教育課程に位置づけるべき」(16%)といった回答も一定割合あり、こうした回答の背後には、部活動を学校存続の一つの方策と位置付けている高校もあることをうかがわせる。
【2月20日号】 再犯で刑務所に入った受刑者の約7割が無職だった──。こうした実態を改善するため、受刑者に対する出所後の就職支援が喫緊の課題となっている。札幌市の「北洋建設」は1973年の創業以来、出所者を積極的に雇用し続けてきた。これまでの採用人数は500人を超える。小澤輝真社長「人間は失敗するから、やり直せる社会でなければ」と、就職を希望する全国の受刑者の元に駆け付けている。(特集「再犯防止へ就職支援」)
【2月23日号】 医療・介護分野を経営という視点から分析するアプローチが、次第に定着してきている。厚生労働省が発表している医療経済実態調査や介護事業経営実態調査に対する関心も高まっているようだ。両調査の結果は診療報酬・介護報酬改定を行う際の基礎データの一つとなり、その改定内容は医療や介護の経営に大きな影響を与える。本連載では、両調査のデータを基に医療・介護経営の現状を点検し、少子高齢化時代における課題を探る。(連載「医療・介護経営の現状と課題①」)
【2月20日号】 「税制改正と今後の展望」の第2回は、総務省自治税務局による「地方税の税収見込み等」を掲載。ニュース詳報では、17年10〜12月期実質GDPが年換算で前期比0.5%増となり、8期連続のプラスを続けていることを報じた。ただ、2月に入って為替が円高に振れ、株式市場も調整色を強めている。有識者は「個人消費の勢いは景気をけん引するとまでは言えず、今春闘での賃金の引き上げが課題」と指摘する。「私の苦心」は、長野県の税務課。出先機関の見直しに合わせて、地方事務所に配置していた税務業務を集約。今年4月には四つの県税事務所を設置し、本庁税務課には新たに「外形標準課税調査班」を設置するという。法人課税への対応は注目されそうだ。
【2月23日号】 財務省・総務省幹部による税制改正の解説第3回は、各都道府県の関心が高かった「地方消費税の清算基準の見直し」を掲載した。ニュース詳報は2本建て。4月に任期を迎える日銀総裁人事について政府が現職の黒田総裁再任案を提示したことと、閣議決定された高齢社会大綱について報じた。「私の苦心」は、京都府の税務課を紹介。広域連合京都地方税機構と連携した取り組みについて解説している。
【2月19日号】 ジャーナリストの中島恵氏が、中国人のインバウンド最新情勢を寄稿した。今年も中国の春節(旧正月)期間中、多くの中国人が来日したが、地方の魅力にはまる富裕層が増えているという。その実態をリポートした。コラム「経済人」は「金融政策に必要な中期的視野」。景気は2017年度をピークに鈍化し始め、19年度は後退に陥る可能性があるとの見方が広がっている。こうした状況を受け筆者の鈴木淑夫氏は「緩和しっ放しの金融政策には何ができるのであろうか」と疑問を投げ掛ける。さらに「米連邦準備制度理事会(FRB)が小刻みに利上げを急ぐ理由の一つも、19年以降の景気後退に備え、金融緩和の『のりしろ』をつくることにあることを日銀は見逃してはならない」と説く。
【2月22日号】 「チャイナ・ウオッチ」は、中国で起きている社会主義の在り方をめぐる論争を取り上げた。保守派の学者が公然と「私有制消滅」を主張し、改革派の学者を私有制支持派として非難しているという。筆者は「習近平体制下で左傾化が進んでいることを示している」と警鐘を鳴らす。大阪経済大の岩本沙弓客員教授が、米国の税制改革が為替相場の行方に与える影響について解説した。「減税で歳入が減る一方、歳出削減ができず、景気後退による財政悪化も重なるなら為替市場はドル安・円高に推移しやすい」と分析する。