【3月5日号】 前週から始まった月曜連載「ID地方自治論とガバナンス」は、本号で地方議会を取り上げた。筆者の木村俊介明治大教授が注目したのは地方議会の定数と報酬。定数については、自治体の人口や財政力と高い相関関係が認められる一方、報酬については、これらの指標に加え、平均課税対象所得などとの相関関係が弱いことが浮き彫りになる。それを踏まえ筆者は、議員報酬が「結果的にはその団体独自の過去の実績を基にした増分主義に陥っているのではないか」と指摘。「特定の社会指標との関連性がより分かりやすくなるような積算方法の検討も求められる」と訴えた。
【3月8日号】 地域再生プランナー久繁哲之介氏が地方公務員に向けて執筆している木曜連載「働き方と、意識を改革せよ」は、同氏が愛知県豊川市で行った職員研修のエッセンスを「『郷に入れば郷に従え』だから、人が流出」のタイトルで紹介した。「田舎を東京みたいに変換されても困ります」と語る、変化を容認できない既存住民が、外部からの人口流入を阻んでいる一因になっていることを指摘。多様性に富む、ダイバーシティな自治体組織を目指そうと呼び掛けた。
【3月6日号】 天皇陛下の退位により平成は31年で終わる。この時代に教育界で起きた事象を整理・検証するとともに、当事者もしくは至近距離でことの推移を見守った識者へのインタビューで構成する連載企画「平成の学校教育30年」がスタートした。筆者は教育ジャーナリストの矢内忠氏。まずは「ゆとり教育」見直し、あるいは「脱ゆとり」として語られる政策転換について振り返る。
【3月9日号】 文部科学省は2月7日、2017年度の「公立学校教員採用選考試験の実施状況調査」の結果をまとめた。それによると、17年度採用試験の受験者は約16万6000人で、4年連続して減少したことが分かった。競争倍率は、前年度と同じ5・2倍。景気の回復傾向により大卒者の就職状況が好転していることもあって、教員採用試験受験者の減少に歯止めがかからない状況が続いている。
【3月6日号】 わが国の認知症高齢者の数は2012年現在で462万人、25年には約700万人、65歳以上の高齢者の約5人に1人に達すると見込まれ、国民にとって身近な病気になっている。そこで、「認知症にやさしいまちづくり」を進める動きが全国に広がっており、福岡県大牟田市もその一つとして02年度から実践し始めた。4回連載で同市の取り組みを紹介する。(連載「まちで、みんなで認知症をつつむ」)
【3月9日号】 福祉医療機構は、平成28年度の「医療法人の経営状況」について分析結果をまとめた。それによると、収支は診療報酬改定の影響などを受けて増収・減益となり、「事業収益対事業利益率」は前年度から0.3ポイント低下して2.4%となった。赤字法人の割合は2.3ポイント上昇し20.4%。人件費率は1.7ポイント上昇して58.1%となっており、人件費の増加が減益の主因と考えられる。(特集「平成28年度医療法人経営状況」)
【3月6日号】 「税制改正と今後の展望」の第5回は、軽油引取税とゴルフ場利用税に関する総務省の解説に加え、新税として27年ぶりに創設される「森林環境税(仮称)」の前半を掲載した。ニュース詳報は2本建てで、厚労省がまとめた毎月勤労統計データで17年の実質賃金が0.2%のマイナスとなり、賃金は上昇傾向にあるものの、物価の上昇に追いついていない実情について、財務省発表の18年度国民負担率の推計と併せて報じた。また、役所以外の場所での勤務を可能にするテレワークについて、各都道府県の取り組みが進んでいるとの時事通信社調査を紹介した。「私の苦心」は、福島県古殿町の税務課を紹介している。
【3月9日号】 都道府県と政令市の新年度税収見通しに関する恒例の全国特集がスタート。初回は長野県、愛知県、川崎市を掲載した。併せて、対象67団体の当初予算案のまとめと分析をニュース詳報で報じた。「税制改正と今後の展望」の第6回は、森林環境税(仮称)の後半を掲載。長い検討の歴史を経て新税創設が決まったが、「創設されること自体が目的ではない」と指摘。新たな財源が「地方自治体で適切に活用され、我が国の森林の管理が、一層適切に進められることが期待される」と強調している。「私の苦心」には岩手県沿岸広域振興局の県税室長が登壇。東日本大震災直後、被災者の安否確認を求める電話対応をはじめ、自動車二税の非課税措置や家屋評価事務に没頭したことを振り返りつつ、来年の「三陸防災復興博(仮称)」などのイベントを成功させるため取り組む決意を語っている。
【3月5日号】 「巻頭言」は、オックスフォード・エコノミクスの長井滋人在日代表による「ドル安を恐れない」。米国の経済学者の実証分析によると、ドル安が進むと世界貿易量が増える結果になったという。長井氏は「円高が進むことへの懸念も高まるが、過度に悲観的になるべきではない」と主張する。「News Eye」は、上場企業の2017年4〜12月期連結決算をまとめた。円安や資源高で、経常利益は前年同期比20%近い増益となった。大阪が誘致を進める国際博覧会(万博)とカジノを含む統合型リゾートの効果と課題について、日本総合研究所の研究員が解説した。「関西経済の地盤沈下を食い止める起爆剤となる可能性がある」とする一方、カジノをめぐる①反社会的組織の関与②地域環境の悪化③ギャンブル依存症─など負の側面への対応が必要としている。