早読み行政誌

1年間の変形労働制移行を軸に検討へ―学校働き方改革特別部会長(3月12日-16日号)

地方行政

【3月12日号】 ドラッカーの経営哲学を手掛かりに自治体の在り方を見直そうという月曜隔週連載「ドラッカーを参考に、行政経営のイノベーション」の今回の副題は「市民、若者、住民、国民…言葉をやめよう」。この中で筆者の松藤保孝関西学院大教授は、「『地域振興』や『地域活性化』ではなく、『地域住民の活性化』という言葉を使うべきだ」と訴える。「『地域』『活性化』と言われると、自分自身のニーズと直接関係がない政策であっても、地域の誰かが元気になるに違いないというイメージが先行し、反対しにくい。一方、『地域住民』の活性化と言われると、その住民とは誰だ、私のことを考えろ……という具体的な議論が起きる」と指摘する。行政顧客の絞り込みの一つのアイデアだ。

【3月15日号】 木曜連載「働き方と、意識を改革せよ」で筆者の久繁哲之介氏が「役所の引き継ぎ改革」を論じた。「昔の方法を延々と踏襲してしまう」役所体質を変える発想として「前例としての方法」ではなく「目的、価値」を引き継ぐことを提案。それも「自分の担当(専門)分野に限定せず、自都市の教訓・課題を引き継ぐ」のがよいと強調した。10年がかりでいなり寿司(ずし)ブランド化を進める愛知県豊川市の取り組みを例示。人事異動の時期、引き継ぎのポイントを改めて考えたい。

地方行政表紙 地方行政とは

内外教育

【3月13日号】 文部科学省はこのほど、国立教員養成大学・学部の2017年3月卒業者の教員就職状況をまとめた。卒業生全体に占める教員就職者の割合は、59・3%(前年度比0・4㌽増)で、ほぼ横ばいとなっている。また、教職大学院修了者の教員就職率は91・7%(同1・4㌽増)だった。 

【3月16日号】 中央教育審議会「学校における働き方改革特別部会」の部会長を務める小川正人放送大学教授は9日、東京都渋谷区内で開催された「教育の情報化推進フォーラム」の中で講演し、教職員の勤務体制の在り方について、1年間の変形労働制への移行を軸として検討を進めたい考えを表明した。現在、教育公務員を含む地方公務員は1年間の変形労働時間制が適用除外となっているが、小川部会長はこれを認め、繁忙期と閑散期で業務のめりはりをつけたい考えを示した。

内外教育表紙 地方行政とは

厚生福祉

【3月13日号】 自治体関係者から「地方に若手医師を集めるには、どうすればいいでしょうか」と質問されることが多い。彼らは、地元の大学に寄付講座を設置したり、地元の病院に退職した大物の医学部教授を招聘したりすることが有効と考えているようだ。私の考えは全く違う。優秀な若い医師を集めたければ、「医学論文を書く環境を整備することです」と回答している。悲惨な地域に強制的に出向させられるのを喜ぶ人はいない。一方、若い真面目な人は自らが成長できると思えば、どこへでも行く。(医療ガバナンス研究所理事長・上昌広氏の「オピニオン」)

【3月16日号】 2月のある金曜日の昼下がり。前橋市内にあるデイサービスセンター前に1台のトラックが到着した。荷台の扉が開く。中の棚には、揚げたてのチキンカツやメンチカツ、果物、菓子などがそろえられている。オルゴールの軽快な音が流れ始めると、センター利用者らが1人、2人と施設から出てきた。これは、通所多機能型事業所で総菜や精肉を販売している「よろず屋寒春」が毎週金曜日に実施している移動販売だ。(「地域を支える」)

厚生福祉表紙 地方行政とは

税務経理

【3月13日号】 「税制改正と今後の展望」の第7回は、固定資産税関係の前半を掲載。3年に1度の評価替えに当たるため分量が多くなり、次号との連載となった。さまざまな留意点や特例措置の扱いなどについて解説している。都道府県と政令市の税収見通しの第2回は、神戸市と福岡市を掲載。「私の苦心」は、静岡県西伊豆町の窓口税務課を紹介。かつて個人住民税の収入率が全国ワーストだった静岡県が、12年度に県内市町村と連携して収入率向上に取り組み始めたのをきっかけに、西伊豆町でも少額分納の見直しや滞納整理の進行管理を推進。その結果、14年度から3年連続で県内トップとなった。「できることから着実に処理すること」と、その極意を披露している。

【3月16日号】 「税制改正と今後の展望」の第8回は、固定資産税関係の後半で、都市計画税不動産取得税について解説している。ニュース詳報では、財務省決済文書書き換え問題に絡み、佐川国税庁長官が辞任したことを報じ、専門家から「罪が成立するレベル」との指摘があることなどを紹介した。「私の苦心」には山梨県の税務課長が登壇。設立10年目を迎えた地方税滞納整理機構の実績について、自律的に滞納整理を進められる自治体が複数ある一方、多くの市町村ではなお支援を必要としており、機構の今後のあり方を検討する必要性がある、と指摘している。

税務経理表紙 地方行政とは

金融財政ビジネス

【3月12日号】 三菱UFJリサーチ&コンサルティングの杉山敏啓金融戦略室長が、邦銀の収益はなぜ低いのか分析した。邦銀の貸出金利は欧米銀行と比較して低い。金融機関の過当競争が原因の一つといわれるが、調査の結果、最近10年間に邦銀の貸出金利が低下した主な原因は市場金利低下にあり、競争による値引きの影響はさほど大きなものではなかったとしている。コラム「三都物語」は、清華大学・野村総研中国研究センターの松野豊副センター長による「中国の先進サービスとグローバル化」。中国では先進ITサービスが急速に普及した。しかしこれは、従前の小売業のサービスレベルの低さや現金決済にまつわるトラブルを解決する仕組みとして生み出された。このため、スマホ決済などは「中国という土台があってこそ生まれた社会イノベーション」であるとし「彼らがこのサービスモデルを他国に輸出しようとするときは、大きな壁にぶつかる」と語る。

【3月15日号】 「巻頭言」は、大阪経済大の高橋亘教授執筆の「京都の二面性」。京都は街のつくりや人柄などに二面的があるという。この二面性は「時として悪くも言われるが、バランスを取ることはさじ加減ともいうべき人間の知恵である」と述べる。日銀の金融政策への提言でもある。英国の欧州連合(EU)離脱まであと1年となった。みずほ総合研究所欧米調査部の吉田健一郎上席主任エコノミストが「日本企業が備えるべき五つのシナリオ」と題し、解説した。離脱協定の破綻や離脱の取りやめなどについて、その可能性を分析している。作家・江上剛氏の連載「続・怒れるガバナンス」は「みんなで走ればうつも飛んで行くんやで」。うつ病に対するジョギングの効用を説き、病気に悩む人たちを救うために自身が6年前に始めたボランティア活動を紹介している。

金融財政ビジネス表紙 地方行政とは